奨学金が払えない場合の任意整理・個人再生・自己破産|4つの救済措置も解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年03月27日
奨学金が払えない場合の任意整理・個人再生・自己破産|4つの救済措置も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 奨学金が払えない場合の対処法はある?
  • 奨学金の返済が滞った場合どうなる?
  • 債務整理したあとの影響とは?

「奨学金が払えず、任意整理をはじめとした債務整理を検討している」と考えている方必見。

この記事では奨学金の返済に悩んでいる方に向けて、債務整理の方法や奨学金返済が滞った場合はどうなるのかを詳しく解説します。最後まで読めば、選択するべき対処法や返済できなかった場合のペナルティの内容がわかります。

債務整理以外の救済措置や債務整理した場合の影響も紹介します。「保証人に迷惑をかけたくない」「債務整理したら子供は奨学金を借りられないの?」と不安をお持ちの方はぜひ参考にしてください。

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任意整理をはじめとした奨学金債務整理の3つの方法

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日本学生支援機構の調査によると、大学生のおよそ半数が奨学金制度を利用しています。多くの学生が借りている奨学金ですが、返済が困難な場合にどのような対応策があるのでしょうか。

奨学金の返済に困っている方には、奨学金債務整理の方法があります。主に次の3つです。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

※債務整理の方法には「特定調停」もありますが、現在はほぼ利用されていないため本記事では割愛しています。

利息や遅延損害金のカットのみで元本の減額は難しい「任意整理」

「任意整理」は裁判所を通さずに返済負担を軽減できる方法で、債務整理の中でも広く利用されています。任意整理の特徴は、元本の減額はできず、借金のうち利息と遅延損害金のみカットされることです。

奨学金を任意整理した場合でも、保証人の返済義務が消えるわけではなく、返済額は連帯保証人(両親)や保証人(親族)に請求されます。保証人がおらず機関保証を利用している場合、保証機関が返済した後の請求先は奨学生本人です。

任意整理を利用するデメリットは以下のとおりです。

  • 借金自体の帳消しや元本の減額はできない
  • 信用情報機関に登録される(ブラックリスト入り)
  • 任意整理後5年程はローンを組むことやクレジットカードの使用が制限される

借金の元本を大幅に減額できる「個人再生」

「個人再生」は、裁判所を介して手続きをおこない、奨学金の元本を大幅に減額できる方法です。利息と遅延損害金をカットした元本の原則5分の1(借金の額によっては最大10分の1)に借金を減額でき、残った負債を3年から5年で分割返済します。

個人再生の場合、減額された金額分の請求先は保証人です。たとえば、500万円の奨学金を個人再生した場合、本人は100万円を返済、保証人は減額分の400万円が請求されます。

個人再生を利用するデメリットは以下のとおりです。

  • 手続きが複雑で、完了するまで半年〜1年半の期間を要する
  • 信用情報機関に登録される(ブラックリスト入り)
  • 官報に住所・氏名などの情報が掲載される
  • 個人再生後5〜10年はローンを組むことやクレジットカードの使用が制限される

奨学金以外も含めほぼすべての借金をゼロにできる「自己破産」

「自己破産」は、裁判所を介して借金が免除される手続きです。手続きが認められた場合、奨学金以外の借金も含め、ほぼすべての借金がゼロになります。奨学金以外にも返済困難な借金がある場合に有効な方法です。

自己破産の場合、本人の返済義務はなくなりますが、奨学金の全額が保証人に請求されます。

自己破産を利用するデメリットは以下のとおりです。

  • 手続きが複雑で、完了するまで半年〜1年半の期間を要する
  • 信用情報機関に登録される(ブラックリスト入り)
  • 官報に住所・氏名などの情報が掲載される
  • 家や財産など、多くの財産が没収される
  • 法律上の職業制限がかかる
  • 自己破産後5〜10年はローンを組むことやクレジットカードの使用が制限される

士業の場合は資格の失効、警備員の場合は解雇・休職・他部署への異動など、職業によっては業務に大きな支障をきたす可能性があります。自己破産は借金がほぼゼロになる一方で、リスクやデメリットも大きいため注意が必要です。

任意整理は奨学金のみを返済したい場合には向かない

奨学金の債権者となる日本学生支援機構は、通常、奨学金の延滞金・利息のカットには応じないとしています。もし利息カットすることができたとしても、もともと利率が低いため任意整理では大きな減額は期待できません。

奨学金以外に利息の高い借金がある場合は任意整理をおこなうことで返済額を減らせますが、借金が奨学金のみの場合は任意整理は向かないといえます。

奨学金返済で選択する債務整理方法をケース別に解説

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任意整理・個人再生・自己破産はいずれも奨学金返済に対する債務整理として利用できますが、それぞれ向いているケースが異なります。

奨学金返済の債務整理で選択するべき方法をケース別に紹介するため、参考にしてみてください。

任意整理に向くケース

任意整理に向くケースとして、たとえば次の事例が挙げられます。

任意整理に向くケース事例

奨学金以外にカードローンなどの借金があり、奨学金以外の借金の利息カット、または返済計画を変更できれば生活に余裕ができる。

奨学金は他の債務と比較して利息が低く、奨学金の利息がカットできたとしても減額効果はあまりありません。任意整理では個別に交渉先を選択できるため、奨学金を対象から外し、より利息の高いカードローンやクレジットカード、消費者金融を対象にできます。

奨学金以外の借金の利息をカットすることで借金を返済できそうであれば、任意整理の選択がおすすめです。

個人再生に向くケース

個人再生に向くケースとして、たとえば次の事例が挙げられます。

個人再生に向くケース事例

奨学金以外の借金返済も苦しく、任意整理で利息カットしたのみでは返済の継続が困難。しかし、ローン返済中の自宅は残しておきたい。

個人再生による債務整理は、整理先の選択ができません。ただし、奨学金も含めすべての借金が原則5分の1に減額されるため、任意整理よりも減額の効果は大きい方法です。

自己破産ではローン返済中の自宅も没収される財産に含まれるため、自宅を残したい場合は個人再生を選択するといいでしょう。

自己破産に向くケース

自己破産に向くケースとして、たとえば次の事例が挙げられます。

自己破産に向くケース事例

奨学金を含むすべての借金返済が困難。借金の利息を任意整理でカットする方法や、個人再生で債務を減らす手法では返済が継続できない。

まずは任意整理や個人再生でどうにか借金が返済できないか検討し、難しい場合は自己破産の検討をおこないましょう。

奨学金返済における債務整理以外の救済措置4つ

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奨学金の返済が困難な場合、債務整理以外に日本学生支援機構が用意した救済制度を利用することが可能です。

債務整理はどの方法を選択した場合も必ずデメリットが発生します。債務整理をおこなう前に、まずは下記で紹介する4つの救済制度により奨学金が返済できないかを検討しましょう。

  • 減額返還制度
  • 返還期限猶予制度
  • 猶予年限特例(所得連動返還型無利子奨学制度)
  • 返還免除制度

月々の奨学金返済負担を軽減する「減額返還制度」

「減額返還制度」は最長15年間、奨学金返済の月額を2分の1もしくは3分の1に減らせる制度です。返済総額が減額されるわけではなく、月々の返済負担を軽減し、返済期間を2倍から3倍に延長します。

減額返還制度の利用条件は、年収325万円以下です。

参照:日本学生支援機構HP

奨学金の返済期限を延長できる「返還期限猶予制度」

「返還期間猶予制度」は奨学金の返済を一時停止し、最長10年間、返済期限を延長できる制度です。あくまで返済期限の延長を目的としており、元金や利息の免除はありません。

返済期間猶予制度の利用条件は、年収300万円以下です。

参照:日本学生支援機構HP

返済額変動型の「猶予年限特例(所得連動返還型無利子奨学制度)」

「猶予年限特例」は年収が300万円以上になるまで、所得に応じ、毎月の返済額が変動する制度です。期間に制限はないですが、返済そのものが免除されるわけではありません。

平成24〜28年度採用者までは所得連動返還型無利子奨学金と呼ばれていましたが、平成29年度以降採用者からは猶予年限特例に名称が変更されました。

奨学金には「第一種奨学金」(無利子)と「第二種奨学金」(有利子)の2種類があります。所得連動返還型無利子奨学制度を利用できるのは、大学院を除く無利子の第一種奨学金のみです。

参照:日本学生支援機構HP

特定の理由で働けない場合や死亡した場合の「返還免除制度」

奨学金を返済できない理由が以下のいずれかに当てはまる場合は「返還免除制度」が利用できます。

  • 精神・身体の障害など健康上の理由で働けなくなった場合
  • 奨学金を借りた本人が死亡した場合

対象の場合は、奨学金の全額または一部の返還免除を願い出ることが可能です。

参照:日本学生支援機構HP

奨学金返済支援制度と任意整理は併用可能

任意整理単体では奨学金返済が難しいですが「個別に交渉する債権先を選択できる」という特徴を利用し、奨学金返済支援制度と併用できます。

奨学金返済支援制度とは、地方公共団体で制定されている場合がある「奨学金を一部肩代わりしてくれる制度」です。奨学金は奨学金返済支援制度、奨学金以外の借金は任意整理を選択することで、借金の返済負担を軽減できます。

奨学金返済支援制度の条件は各地方公共団体によって異なるため、詳しくは公式サイトで確認してみてください。

奨学金の返済が滞った場合のケースを紹介

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もし債務整理などの対応をおこなわずに奨学金の返済が滞った場合、督促がおこなわれます。最悪の場合は給与差し押さえのような強制執行を余儀なくされることもあるため、必ず返済することが必要です。

下記では、奨学金を返済しなかった場合に発生するケースを段階ごとに紹介します。

本人や保証人に督促が来る

奨学金返済を滞納した場合、返済期限の翌日以降に本人や連帯保証人宛に督促が来ます。延滞している日数に応じて、年3.0%の延滞金もかかるため、できる限り早く返済することが重要です。

信用情報機関(ブラックリスト)に登録される

滞納期間が3カ月を超えると、信用情報機関(ブラックリスト)に登録され、ローンを組むことやクレジットカードの使用が制限されます。

滞納が続くと、分割払いから一括での支払いに請求が切り替わることにも留意が必要です。

債権回収会社から取り立ての連絡が来る

滞納期間が4カ月を超えると、債権回収が債権回収会社に委託され、債権回収会社からの取り立てが開始します。見覚えのない債権回収会社からある日突然、督促状が届きます。

給与差し押さえの可能性がある

債権回収会社の取り立ても無視し続け、延滞が9カ月以上になると、財産や給与の差し押さえなど強制執行に至る可能性があります。

以上の内容から、債務整理のデメリットを避けようとして返済を滞納すると、債務整理と同等またはそれ以上のデメリットを被ります。借金の返済が困難な場合は放置せずに、債務整理や救済措置などの方法を検討して必ず対応しましょう。

奨学金の債務整理を考えている場合はまず保証人を確認する

奨学金には保証人がついているため、債務整理を考えている場合はまず保証人が誰に設定されているか確認する必要があります。保証人の種類は「人的保証」と「機関保証」の2パターンです。

保証人や連帯保証人が親や親戚の場合の「人的保証」

「人的保証」は連帯保証人が親・保証人が親戚のケースが一般的です。債務整理を利用する場合、親や親戚に迷惑がかかることを十分理解しておく必要があります。

保証会社が奨学金を保証している場合の「機関保証」

「機関保証」は保証会社が保証しているケースで、保証人がいない場合に利用されます。機関保証の場合は債務整理の選択肢が広がるため、別途確認が必要です。

債務整理しても自分の子供は奨学金を利用できる

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債務整理を利用すると信用情報に記録が残り、自分の子供は奨学金が利用できないと考えてしまいます。結論、親が債務整理しても子供は奨学金を利用することが可能です。

奨学金を借りる子供本人と親は別であるため、親の信用情報は関係ありません。しかし、子供が奨学金を借りる際には注意点が残るため、以下で解説します。

債務整理した親は子供の奨学金において保証人にはなれない

子供が奨学金を利用することは可能ですが、債務整理した親は連帯保証人にはなれません。父母ともに信用情報に記載がある場合、他に連帯保証人に指定できる人がいない場合、子供は人的保証を利用できません。

機関保証の場合は親が保証人となる必要がないため、人的保証以外の方法で奨学金を利用することは可能です。

まとめ

奨学金の返済が困難な場合は、任意整理をはじめとした債務整理の方法があります。本記事では、債務整理の種類や選択するケース事例、債務整理以外の方法などを紹介しました。

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監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

「任意整理」「個人再生」「自己破産」などの債務整理手続きでは意外と知られていない項目があります。

例えば、個人再生では自宅や車を残すことも可能です。しかし、自宅の場合は住宅ローン特則が付いていてそれが認められる必要があります。

また車についてはローン完済済み、もしくはローンの返済中であっても車の名義が当人になっているというのがその自動車は手元に残すことができる条件になります。車の名義人が信販会社やディーラーなどになっているいわゆる「所有権留保」状態であると、自動車は引き上げられてしまいますのでご注意ください。

自己破産でいうと、裁判所により借入金の支払い免除(免責)が認められれば原則的にすべての債務が免除されます。しかし免責不許可事由というものがありその項目に該当する場合は免責が認められない場合もあります。

免責不許可事由に該当するものとしては、ギャンブルや浪費によって作った借金・自己破産申立てを前提に借入れた借金・過去7年以内に免責を受けたことがある者などです。

他にも手続き上の細かな点は多岐にわたります。 ご自身にとって一見して都合の良い条件であるということのみを鵜呑みにして飛びつくのではなく、メリットやデメリット、適用範囲や適用条件などしっかりと調査する必要があります。それらに対しての費用対効果等も考えたうえで、専門家への相談や依頼もご検討いただければと思います。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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