相続税はいくらからかかる?相続の基礎知識や相続税の計算方法を解説
- 相続税はいくらからかかるの?
- 控除ってどのようなものがあるの?
- 実際に支払う相続税の金額を知りたい
遺産相続の際、相続税がいくらかかるか不安に感じる方も多いでしょう。相続税がいくらからかかるのか、ポイントとなるのは遺産総額が3,600万円を超えているかどうかです。
この記事では 相続税がかかるパターンや相続税の計算方法について解説します。最後まで読めば、相続税を払う必要があるのか判断したり、実際に支払うおおよその金額を計算したりできるようになるでしょう。
相続税を支払う必要があるのかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
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相続税の基準は遺産総額3,600万円
相続税がかかる基準は、遺産総額が3,600万円を超えているかどうかです。遺産総額が3,600万円を超えていない場合、相続税は一切かかりません。
遺産総額には現金だけではなく、有価証券・投資信託・生命保険なども含まれます。亡くなった人の持っていた貴金属・ブランド品・家電なども遺産です。どこまで遺産に含まれるのか割り出すことが難しいため、遺産総額を計算するのは容易ではありません。
基準額の3,600万円を超えていても、相続税がかからない場合もあります。基礎控除制度があり、一定の範囲であれば、相続税がかからない仕組みです。
基準額が3,600万円と聞き、高いと感じるか低いと感じるかは人それぞれ違うでしょう。国税庁のHP「令和3年分相 続税の申告事績の概要」によると、実際に相続税がかかるケースは全人口の9.3%程度と統計が出ています。
遺産相続にあたり、相続税が多くかかると心配する方も多いですが、数値から考えると該当する相続人の方は少ないのではないでしょうか。
遺産総額3,600万円を超えてもかからない場合
遺産総額が3,600万円を超えても相続税がかからない場合は、以下の2パターンです。
- 相続税の基礎控除を下回っているパターン
- 基礎控除を超えても課税されないパターン
相続税の基礎控除を下回っているパターン
遺産総額が3,600万円以下であれば、相続税も申告も一切必要ありません。 相続税が課税されない基礎控除の範囲で、最も低い金額にあたるためです。基礎控除の計算によっては、3,600万円を超えても相続税がかからずに済むケースもあります。
基礎控除の範囲
3,600万円は、法定相続人が1人である場合に該当します。基礎控除の計算方法は「3,000万円+600万円×法定相続人の数 」です。法定相続人の人数が増えれば、基礎控除も増えるため、相続税がかからない範囲が広くなる仕組みになっています。
たとえば、法定相続人が2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円までが控除範囲です。法定相続人が1人のときよりも、税金が課せられる額が高くなります。 法定相続人は、亡くなった方(被相続人)との関係で相続順位が決められるため、覚えておきましょう。
- 第1順位 子ども
- 第2順位 親
- 第3順位 兄弟姉妹
配偶者は生きている限り必ず法定相続人になるため、相続順位に含まれません。
法定相続人に該当しても、本人の意思で相続を放棄することが認められています。相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上では、法定相続人の数は減りません。
たとえば、配偶者と子ども2人が法定相続人で、子どものうち1人が相続を放棄したとします。 法定相続人の数は3人として計算するため、基礎控除額は4,800万円です。
基礎控除を超えても課税されないパターン
相続税が免除されるのは、基礎控除だけではありません。 ほかにも相続税を減らす税額控除や特例があり、適用できれば最終的に相続税をゼロにできる場合もあります。
配偶者の税額の軽減
配偶者が相続する財産額が1億6,000万円まで、もしくは法定相続分までは相続税を課税しない特例です。 配偶者は財産額が基礎控除を超えても、特例に当てはまる場合は相続税がかかりません。
未成年者の税額控除
未成年者の法定相続人がいる場合「10万円×(18歳−相続開始時の年齢)」が相続税額から控除されます。15歳の誕生日を迎えたばかりの場合と15歳11カ月の場合は、どちらも15歳の扱いになるため注意しましょう。
障がい者の税額控除
障がい者の法定相続人がいる場合「10万円×(85歳−相続開始時の年齢)」が相続税額から控除されます。特別障害者である場合は「20万円×(85歳−相続開始時の年齢)」と控除される額が変わるため、気をつけましょう。
暦年課税の贈与税額控除
相続や遺贈、相続時精算課税にかかる贈与により、亡くなった方から相続開始3年以内に財産を取得した場合、取得した財産は遺産総額に含まれます。財産を取得した際に贈与税がかけられている場合、相続税との二重課税になってしまうため、贈与税が控除される仕組みです。
相似相続控除
10年以内に被相続人(亡くなった方)が相続税を課税されている場合、被相続人の相続人に課せられる相続税額から一定の金額が控除されます。
短期間で同じ財産が2度も相続された場合、相続した財産に対する相続税の負担が大きいです。相続税の負担を少しでも軽くするために、2回目の相続が行われる際は一定の金額が控除される仕組みとなります。
小規模宅地などの特例
亡くなった方の自宅や、営んでいた事業の事務所や店舗など、宅地の評価額を大きく下げてもらう措置があります。
基本的に市街地の宅地は「路線価方式」で評価され、宅地が面する道路の価格を基準にして評価額を計算可能です。 税務署が公開している路線価の一覧図「路線価図」を使って調べることもできますが、そのままの評価では高額になる場合もあるでしょう。
相続財産のうち、土地建物は大きな割合を占めるケースが多いため、遺産総額が基礎控除を超えてしまう場合は、特例を確認することが大切です。 特例と認められれば「居住用」「事業用」の宅地は80%差し引かれ「事業用」で他人に貸付している土地は50%差し引かれます。
相続税の課税対象になるといくらかかるのか
さまざまな控除や特例を駆使しても、課税対象となる金額が発生する場合は、相続税を納める必要があります。 対象となるのは控除を超えた「課税遺産総額」に対してのみです。相続税の計算は以下の順番で行います。
- 課税遺産総額を法定相続分で分割する
- 1の金額に相続税率をかけ、控除額も含めて、それぞれの相続税額を計算する
- 全員の相続税額を合計する
- 相続税額の合計金額を、実際の取得割合にあわせて各相続人に分ける
1度法定相続どおりに遺産を相続したとして、納めるべき相続税の全額を計算し、実際に各自が相続した額にあわせた割合で税負担を振り分けます。
相続税の税率と控除額
相続税の金額は、法定相続分に応じた取得金額に対する税率と、それぞれの控除額から計算されます。以下の表が、相続の取得金額・税率・控除額です。
取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 控除なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円以上 | 55% | 7,200万円 |
相続税は遺産の金額にあわせて、10%から55%の範囲で定められます。遺産が低額の場合は税率が低くなり、高額の場合は税率が高くなる仕組みです。
相続税の計算例
たとえば、亡くなった方の遺産総額が2億円で、配偶者と子2人が相続する場合の相続税を計算してみましょう。 法定相続人は3人であるため「3,000万円+600万円×法定相続人の数 」に当てはめると、基礎控除は4,800万円です。
課税遺産総額は、2億円−4,800万円=1億5,200万円となります。 1億5,200万円を法定相続分で分けると、配偶者は2分の1で7,600万円、子はそれぞれ4分の1ずつで3,800万円です。それぞれの金額に相続税率を掛け、控除額を差し引いて計算します。
- 配偶者:7,600万円×30%−700万円=1,580万円
- 子 :3,800万円×20%−200万円=560万円
相続税額の合計は、1,580万円+560万円×2人=2,700万円となります。
相続税の早見表
税金の負担額の目安として、遺産額と相続税の金額をまとめてみましょう。相続人に配偶者が含まれる場合と含まれない場合では「配偶者の税額の軽減」が適用されるため、相続税の金額が大きく変化します。
相続人が「配偶者と子1人の場合」「配偶者と子2人」の場合、相続税は表のとおりです。
遺産額 | 配偶者と子1人の場合 | 配偶者と子2人の場合 |
---|---|---|
4,000万円 | 0円 | 0円 |
5,000万円 | 40万円 | 10万円 |
6,000万円 | 90万円 | 60万円 |
7,000万円 | 160万円 | 113万円 |
配偶者が生存しておらず、相続人が「子1人」「子2人」の場合、相続税は表のとおりです。
遺産額 | 子1人の場合 | 子2人の場合 |
---|---|---|
4,000万円 | 40万円 | 0円 |
5,000万円 | 160万円 | 80万円 |
6,000万円 | 310万円 | 180万円 |
7,000万円 | 480万円 | 320万円 |
遺産額が高くなれば税額も高くなりますが、相続人が多くなれば税額は低くなります。特例や控除によって税額は変化するため、表の金額は目安です。詳しい金額は細かいシチュエーションを加味して、考える必要があるでしょう。
相続税がかからなくても税務署への申告は必要?
相続税がかからない場合でも、税務署への申告が必要なケースと必要ないケースがあります。遺産総額が基礎控除の範囲内か、特例措置を取ったかにより、申告が必要かどうか変わるため注意しましょう。
申告しなくてもいいケース
相続財産が基礎控除の範囲内である場合、相続税の課税対象ではなく申告義務もありません。 「3,000万円+600万円×法定相続人の数 」の式を使って基礎控除額を出し、課税対象になるか確認しましょう。
相続税がかからなくても申告が必要なケース
「配偶者の税額の軽減」や「未成年者の税額控除」などの特例を適用する場合には、相続税がかからなくても申告が必要です。 特例が使えるのかどうか、相続人本人が税務署へ申告したうえで、税務署が判断します。
相続税がかかりそうな場合
相続税がかかりそうな場合、以下の3点を行っておくといいでしょう。
- 活用できる控除を把握する
- 相続財産の分配方法を話し合う
- 申告・支払いの準備をする
活用できる控除を把握する
「配偶者の税額の軽減」や「未成年者の税額控除」など、節税に利用できる控除はいくつもあります。自分の状況に当てはまるものを把握し、利用することで支払う相続税を減らすことが可能です。
相続財産の分配方法を話し合う
相続税の計算方法は一定ですが、実際に個人が支払う金額は相続する割合によって異なります。早めに相続人同士で話し合い、どのように遺産を分配するか決めた方がいいでしょう。
申告・支払いの準備をする
遺産は現金だけではなく、不動産や車など現物で受け取るものもあります。不動産や車にも相続税はかかるため、支払いに必要な現金を準備することが必要です。相続税を支払うために、売って現金化する場合は時間がかかります。支払いに遅れないために、早めに行動するといいでしょう。
申告期限は相続を知った翌日から10カ月
相続税の申告は、相続を知った日から10カ月以内に税務署へ行う必要があります。申告期限を過ぎてしまった場合、延滞税や無申告加算税などが追加でかけられてしまうため、注意しましょう。
人が亡くなってから、葬儀の準備や亡くなった人の契約解除をはじめ、することがたくさんあります。10カ月は何もないときに聞くと長く感じますが、相続の当事者になると忙しくてあっという間に過ぎてしまうでしょう。早めに申告の準備を行い、期限に遅れないようにすることが大切です。
困ったときにはプロに相談
遺産総額は、現金だけではなく不動産や保険なども関わるため、算出することが難しいです。自分で申告することが難しい場合、税理士を頼る方法があります。相続税のアドバイスをもらったり、代わりに手続きを行ってもらったりすることが可能です。
まとめ
相続税がかかる基準額は、遺産総額3,600万円です。3,600万円を超えていなければ相続税の課税対象にはなりません。超えている場合も、基礎控除や特例の適用により、課税対象から外れる可能性もあります。
相続税は、遺産総額の算出や特例の適用など考える要素が多いです。なかなか手続きを行う時間が取れない方もいるでしょう。
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1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
税額控除のうち、最もメジャーなのは「配偶者の税額軽減」です。全財産が1億6,000万円以下で、それを配偶者が全部取得した場合には、相続税はゼロ円になるという制度です。この特例を適用するためには、「申告することが要件」となっていますので、相続税がゼロでも申告書を提出する必要があります。
基礎控除額の金額が従来より下がったため、相続税の申告を行う方が増えているのは事実ですが、制度を上手く利用することで、納税は回避できる場合もあります。まず税理士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。
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