葬儀費用は相続財産から控除できる?賢く節税するポイント3つを紹介!

上仲パートナーズ税理士事務所
監修者
最終更新日:2023年09月06日
葬儀費用は相続財産から控除できる?賢く節税するポイント3つを紹介!
この記事で解決できるお悩み
  • 葬儀費用は相続財産から控除できる?
  • 相続財産から控除できる費用は?
  • 効果的に節税するためのポイントは?

葬儀費用は高額になることが多いため「相続財産から費用を差し引けないか」と考える方も多いでしょう。葬儀費用は相続財産から控除されるため、どの費用が該当するのか把握することが重要です。

この記事では相続財産から控除できる葬儀費用について紹介します。賢く節税するための方法も解説するため、相続で悩まれている方はぜひ参考にしてください。

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葬儀費用は相続財産から控除できる

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誰かが亡くなった場合、葬儀にかかった費用は相続財産から控除できます。重要なポイントは、葬儀費用を相続税額から差し引けるわけではなく、相続財産の総額から差し引かなければならない点です。

基礎控除と課税対象の計算例

以下のケースで基礎控除と課税対象の計算例を解説します。

  • 相続財産:5,000万円
  • 葬儀費用:250万円
  • 相続人:Aさん1人

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の人数」で計算します。このケースでは3,600万円です。

課税対象は「相続財産−葬儀費用−基礎控除額」で計算します。このケースでは「相続財産5,000万円−葬儀費用250万円−基礎控除額3,600万円=1,150万円」となり1,150万円が課税対象となります。

取得金額が1,000万円を超え3,000万円以下の場合では、相続税率が15%であるため、1,150万円×0.15=172万5,000円が納めるべき相続税額です。

相続財産から控除できる葬儀費用6つ

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相続財産から控除できる代表的な葬儀費用は以下の6つです。

  • 通夜や告別式の費用
  • 火葬料や埋葬料
  • 葬儀場までの交通費
  • 納骨の費用
  • 葬儀を手伝ってくれた方への謝礼
  • お布施・読経料・戒名料

国税庁HPもぜひ参考にしてください。

1. 通夜や告別式の費用

相続財産から控除できる葬儀費用には、通夜や告別式の費用が含まれます。

社会通念上、誰かが亡くなれば葬式をするのは当然と考えられ、葬儀会社への代金や通夜や告別式で提供された飲食代は必要不可欠な費用として相続財産から控除可能です。

注意点は、常識の範囲を超える高額な費用は認められない場合があることです。葬儀の一般的な費用は200万円程度と考えられています。

2. 火葬料や埋葬料

火葬や埋葬の費用も相続財産からの控除対象です。火葬や埋葬は葬儀が執り行われた後に当然行われるため、葬儀費用の一部とみなされます。

亡くなった方を火葬するためには、役所から火葬許可証を発行してもらわなければなりません。火葬後は日付や証印が入った火葬許可証が返却され、埋蔵許可証として使用できます。死亡届の提出、火葬許可証の発行にかかった費用も葬儀費用の一部として相続財産から控除可能です。

3. 交通費

葬儀場までの行き帰り、遺体の運搬費用などを含む交通費も控除できる葬儀費用です。病院や自宅で故人が亡くなった場合、亡くなった場所から葬儀場までの費用を葬儀費用と見なせます。

交通事故に遭った故人を運んでくる費用、行方不明者を捜索した際の費用も交通費や運搬費用として葬儀費用から控除できます。

4. 納骨の費用

納骨とは石材店に墓石を開閉してもらい、遺骨を納めることです。葬儀と一体ではなく四十九日の際に行われることが多いですが、葬儀費用とみなされ相続財産から控除可能です。

近年増加している、遺骨を山や海にまく自然葬の費用も葬儀費用から控除できます。

5. 葬儀を手伝ってくれた方への謝礼

葬儀を手伝ってくれた方への謝礼も、葬儀費用の一部として認められます。香典を受け取る受付をしてくれた方へのお礼、霊柩車やマイクロバスの運転手への心付けなどが挙げられます。

葬儀に参列してくれた方々への会葬御礼も相続財産から差し引くことが可能です。会葬御礼は通常1人あたり1,000円程度が一般的で、香典返しとはみなされません。

常識の範囲を超える高額な会葬御礼は香典返しとみなされて控除が認められないケースもあるため注意しましょう。

6. お布施・読経料・戒名料

仏式葬儀で僧侶に渡すお布施や読経料、戒名料も相続財産から控除されます。葬儀場までの交通費である「お車代」や食事を辞退したときの「御膳料」も控除の対象です。

相続財産から控除できない葬儀費用5つ

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相続財産から控除でき控除できない費用もあります。主に以下の5つの費用は注意が必要です。

  • 香典返し
  • 墓地・墓石の購入費用や借入料
  • 位牌や仏壇の購入費用
  • 生花・盛籠
  • 初七日や法事の費用

1. 香典返し

香典返しは、四十九日を終えてから何らかの品物をお返しすることです。葬式とは別日に発生するため、葬儀費用になりません。

香典は遺族が受け取るもので相続税や贈与税が発生しない点もポイントの1つです。香典は課税対象外であるため、香典返しも相続財産からの控除はできないことになります。

2. 墓地・墓石の購入費用や借入料

墓地や墓石の購入費用や借入料は、控除の対象となりません。墓地や墓石は社会通念上不可欠なものと思えますが、法律上お墓を用意する義務はないため、相続財産から控除できない費用です。

墓地や墓石は、相続税が発生しない非課税財産である点もポイントです。香典と同様に相続税がかからない財産であるため、相続財産からの控除もできません。

3. 位牌や仏壇の購入費用

位牌や仏壇の購入費用は、葬儀のためではなく故人を供養するためのものとみなされます。費用は、基本的に控除されないと考えましょう。

位牌や仏壇も墓石のように祭祀財産と呼ばれ、相続しても相続税の課税対象外です。したがって生前に墓石や仏壇を購入することで、資産が減り相続税が課税されないため節税となります。

4. 生花・盛籠

葬儀では生花や盛籠の費用は相続財産から控除できません。ただし喪主が負担した分は、葬儀費用に含まれ相続財産からの控除が可能です。

生花や盛籠の費用を喪主が負担したこと、葬儀費用の一部であることを証明するために、領収書を保管しましょう。トラブルにならないよう、誰が費用を負担したのか明らかにすることが重要です。

5. 初七日や法事の費用

初七日や法事、葬儀そのものではなく故人を供養するためにあとで行われるため、葬儀費用とは認められず、相続財産から控除できません。

初七日を告別式と同じ日に行い、繰上げ初七日にした場合には、葬儀費用に含まれるといえます。葬儀会社からの請求書で告別式と繰上げ初七日の区別がなされていないケースでは、相続財産から控除できる可能性が十分あるでしょう。

葬儀費用で賢く節税する3つのポイント

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葬儀費用は相続財産から控除可能ですが、賢く節税するための3つのポイントを紹介します。

  1. 領収書をすべて保管する
  2. 葬儀費用の申告方法を把握する
  3. 税理士の力を借りる

1. 領収書をすべて保管する

葬儀費用を相続財産から控除するための重要なポイント1つめは、領収書をすべて保管することです。葬儀費用の控除を申告する際、対象となる費用の領収書を添付しなければなりません。領収書がない場合、控除が認められないおそれがあるため注意しましょう。

僧侶へのお布施や運転手への心付けなど、領収書が発行されないものは、支出の日付や目的を詳細に記したメモ書きを残すことで控除可能です。税務署から不信感を持たれないようにするため、正確な情報を記載しましょう。

2. 葬儀費用の申告方法を把握する

葬儀費用を相続財産から控除するために、相続税の申告方法を把握することも重要です。相続税申告の際、申請書類の作成や負担する金額を計算する必要があります。

申告に必要な相続税申告書第13表「債務及び葬式費用の明細」は、税務署に取りに行くか国税庁HPからダウンロードすることで手に入ります。

3.税理士の力を借りる

葬儀費用を相続財産から控除するために、専門家である税理士の力を借りるのも1つの手です。税理士は税務のプロであり、相続財産のサポートをしてくれます。

香典や葬儀代、墓石の購入費用など葬儀にかかる費用は高額になり、相続税の支払いに直結するものです。故人を失った悲しみを抱えながら複雑な手続きを行うのは負担が大きいと感じる人もいます。煩雑な業務を依頼できる点でも、税理士の力を借りることにはメリットがあります。

まとめ

葬儀費用は相続財産の総額から差し引くことができ、相続税を軽減するのに役立ちます。葬儀費用と認められるものと認められないものの線引きは難しいため、専門家に相談しながら、賢く節税することが重要です。

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監修者のコメント
上仲パートナーズ税理士事務所
所長 上仲 孝明

1987年 東京都府中市出身。みずほインベスターズ証券、KPMG税理士法人等を経て開業。個人事業主、営利法人、公益法人等の税務顧問等を行っている。常にお客様の立場に立って考え、長期的な視点で寄り添うパートナーを目指して活動。リモート対応可能な税理士として全国エリアでお客様を支援している。

相続が発生した際には、相続人の判断で相続放棄や限定承認をすることができます。しかし、相続財産の処分など民法で定められている行為を行うと、相続放棄や限定承認ができなくなり相続することとなります(法定単純承認)。

例えば、亡くなった方(被相続人)が所有する自動車を売却するなどの行為を行うと法定単純承認となってしまいます。葬儀費用については一般的な金額であれば相続財産から支払っても単純承認とはならないと考えられます。

ただし、あまりにも高額な葬式費用を支払う場合や、被相続人が多額の債務を抱えていることが分かっているのに相続財産から葬儀費用を支払う場合などは単純承認とみなされる可能性もあるため、事前に専門家へ相談することオススメします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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