相続税の賢い節税対策14選!覚えておくべきポイントを解説
- 相続税の節税で覚えておくべきポイントは?
- 誰でもできる相続税の節税対策は?
- 専門家からのアドバイス後に行うべき節税対策は?
「相続税額を節税する方法はないか?」とお悩みの方、必見です。相続税の節税対策は、相続財産を減らす、評価額を下げるなどの方法が効果的です。
この記事では、相続税の節税における重要なポイントや効果的な節税方法について解説します。「資産が多く節税できるか不安」「初めての相続で知識がない」などと、相続税でお困りの方はぜひ参考にしてください。
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相続税の節税対策で重要なポイント3つ
相続税の節税対策は数多くありますが、とくに以下3つのポイントが非常に重要です。
- 相続税の基礎控除額は法定相続人数で変わる
- 相続財産を減らす
- 相続税評価額を下げる
1. 相続税の基礎控除額は法定相続人数で変わる
相続税の節税対策で非常に重要なポイントは、基礎控除額が法定相続人の数によって変わることです。基礎控除額とは、相続財産から差し引かれる金額のことです。基礎控除額が大きければ大きいほど相続税の課税対象となる財産が減ります。
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出可能です。法定相続人が多ければ基礎控除額も大きくなります。被相続人の配偶者と子ども3人が法定相続人の場合、基礎控除額=3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円となります。養子縁組して法定相続人が増えれば基礎控除額はさらに上がります。
2. 相続財産を減らす
相続税の節税対策では、相続財産をいかに減らすかがポイントとなります。相続税は相続財産全体から基礎控除額を引いたものに課税されるため、相続財産が基礎控除額の範囲内であれば課税されません。基礎控除以外にも非課税枠があるケースも多く、効果的な節税が可能です。
相続財産を減らすため、生前贈与をすることも1つの手段です。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、基礎控除額の範囲内で贈与を行い非課税のまま相続財産を減らすことが可能です。
3. 相続税評価額を下げる
相続税評価額を下げることも節税に効果的です。不動産は取得額=相続税評価額とはならず、相続税評価額は、取得価額の80%程度となります。
預貯金は相続が発生した時点での時価で100%評価されるでしょう。預貯金を他の資産に変えておくことで大きな節税になる可能性があります。5,000万円相当の土地を購入した場合、相続税評価額は80%の4,000万円前後となり、5,000万円の現金にかかる相続税よりも少なくなります。
誰でもできる相続税の節税対策5選
相続税の節税対策において、簡単にできる方法は以下のとおりです。
- 暦年贈与による節税対策
- 住宅取得等資金の贈与による節税対策
- 小規模宅地の特例による節税対策
- 生命保険による節税対策
- 葬儀費用による節税対策
1. 暦年贈与による節税対策
相続税の節税対策としてよく行われる方法が暦年贈与です。暦年贈与とは、年間110万円の基礎控除を利用し、その範囲内で生前贈与を行うことです。たとえば、100万円の現金を子や孫に贈与した場合、基礎控除の範囲内であるため贈与税はかかりません。
暦年贈与による節税対策における注意点は、定期的に一定額を贈与すると定期贈与とみなされ贈与税が課税されるおそれがあることです。被相続人が亡くなる3年以内に行った贈与も、暦年贈与ではなく相続財産とみなされるため、相続税対策になりません。
2024年1月1日以降は、被相続人が亡くなる前の7年間に期間が延長されることになっており、早めの暦年贈与が必要です。
2. 住宅取得等資金の贈与による節税対策
相続税の節税対策で、住宅取得等資金の贈与を利用する人もいます。子や孫が住宅を取得する際の資金を援助したいと考える親や祖父母のために、最大1,000万円までが非課税となります。
住宅取得等資金の非課税枠を利用するためには、受贈者が贈与者の直系尊属でなければなりません。受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上でなければならず、翌年3月15日までに贈与された金額をすべて使い住宅を取得することが求められます。
3. 小規模宅地の特例による節税対策
相続財産に土地が含まれる場合、小規模宅地の特例を利用して大幅な節税が可能になります。面積の大きな土地や評価額の高い土地を相続するケースでは、相続税額が大きく変わるケースも少なくありません。
被相続人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地によって減額割合が以下のように変化します。
減額割合 | 限度面積 | |
---|---|---|
特定事業用宅地 | 80% | 400 |
特定居住用宅地等 | 80% | 330 |
貸付事業用宅地等 | 50% | 200 |
特定事業用宅地や特定居住用宅地では評価額が最大80%減額されるため、制度を利用することで相続税を節税できます。
4. 生命保険による節税対策
生命保険を利用することで相続税の節税が可能です。被相続人が生命保険の受取人を相続人にすると、相続人1人につき500万円の死亡保険金が非課税となります。生命保険の受取人は複数指定できるため、非課税枠を増やすこともできるでしょう。
不動産は取り分による相続人同士の争いが起こりやすい一方、死亡保険金の節税対策は財産を平等に分割できる便利な方法です。相続人同士のトラブルを防ぐ方法としておすすめです。
5. 葬儀費用による節税対策
相続人が行える相続税対策として、葬儀費用を相続財産から控除する方法が挙げられます。被相続人の死亡により当然発生する葬儀費用は相続財産から控除可能です。控除できる葬儀費用には以下のものが含まれます。
- 通夜や告別式の費用
- 葬儀で出された食事代金
- 遺体の搬送費用
- 火葬料・埋葬料
- 受付や運転手への心付け
- 僧侶に支払う読経料・戒名料
- 納骨費用
以下の費用は相続財産から控除されません。
- 香典返し
- 墓石の購入費用
- 位牌・仏壇の購入費用
- 初七日・四十九日にかかる費用(繰上げ初七日を除く)
- 生花・盛籠の費用(喪主が費用負担する場合を除く)
通常葬儀にかかる費用は200万円ほどと考えられており、大幅に超える高額な葬儀費用は認められないおそれがあるため注意しましょう。
下記の記事で、相続財産から葬儀費用として控除できるもの控除できないものを解説しています。葬儀費用を節税するポイントも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
資産が多い人向け相続税の節税対策3選
資産が多い人が活用できる相続税の節税対策は以下の3つです。
- 不動産運用による節税対策
- 養子縁組による節税対策
- 寄附による節税対策
1. 不動産運用による節税対策
資産が多い方は、現金を不動産に組み替えて運用することで相続税対策を行えます。アパートやマンションを経営すると、土地や建物の相続税評価額が下がり、結果的に相続人が支払う相続税を減らせるでしょう。
アパートが建っている土地は貸家建付地とみなされ、相続税評価額を「土地の評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」によって算出します。建物の相続税評価額も借家権の評価額30%が差し引かれるため、固定資産税評価額の70%程度になるでしょう。
2. 養子縁組による節税対策
資産が多い人が利用できる別の節税方法は、養子縁組です。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されるため、法定相続人が多ければ基礎控除額が上がります。
養子縁組によって養子を迎えると、実子と同じように相続権を得るため、相続人の数を増やすことが可能です。相続税のみならず、生命保険の死亡保険金、死亡退職金の非課税枠も拡大します。実子がいる場合は養子のうち1人まで、実子がいない場合は養子のうち2人までが法定相続人になれます。
3. 寄附による節税対策
資産を減らして相続税額を下げる方法に、寄附があります。国や地方公共団体、学校、NPO法人などに財産を寄付した場合、寄附した金額を相続税の課税対象から控除可能です。被相続人が寄附するケースだけではなく、相続人が相続後に寄付した場合にも適用を受けられます。
注意点は、寄附先が寄附した日から2年以内に特定の公益法人や公益信託該当しなくなった場合は、特例が受けられなくなることです。寄附した人や親族の贈与税や相続税が不当に減るケースでも、非課税の特例が認められないことがあります。
税理士のアドバイス後に実行すべき相続税の節税対策6選
相続税の節税対策には、税理士のアドバイスを受けてから実行すべきものもあります。とくに以下の6つの節税対策を検討する際は、税理士に相談するといいでしょう。
- 相続時精算課税制度による節税対策
- 贈与税の配偶者控除による節税対策
- 小規模宅地の特例による節税対策
- 結婚・子育て資金の一括贈与による節税対策
- 民事信託による節税対策
- 死亡退職金の非課税枠による節税対策
1. 相続時精算課税制度による節税対策
相続税の節税で利用できる制度の1つが、相続時精算課税制度です。贈与税に関して2,500万円の特別控除があり、控除額以下の評価額の財産であれば非課税で贈与可能です。相続時に贈与された財産を相続財産に組み込んで相続税を計算します。
贈与時よりも相続時の方が財産の価値が上がっているケースでは、相続税の大幅な減額が期待できるでしょう。暦年贈与が使えなくなる、必ずしも相続人の得になるわけではないなどのデメリットがあるため、税理士に相談しながら最適な方法を見つけるべきです。
2. 贈与税の配偶者控除による節税対策
相続税対策として、贈与税の配偶者控除を利用する方法も考えられます。配偶者に対して居住用不動産を贈与する場合、最大2,000万円が非課税になります。贈与税の配偶者控除は110万円の基礎控除と併用できるため、最大2,110万円の財産を非課税で減らせます。
財産を減らせば、被相続人が亡くなったときの相続財産を減らして相続税を減額することが可能です。不動産を配偶者名義に変更する費用がかかるため、贈与税・相続税の節税分と名義変更の費用のどちらが大きくなるか、税理士に相談する必要があります。
3. 小規模宅地の特例による節税対策
土地を所有している方の場合、小規模宅地の特例を活用した節税対策がおすすめです。小規模宅地の特例は、被相続人の配偶者や子供が、受け継いだ土地に住み続けるため制定された制度です。不動産には相続税評価額を基準にした相続税が課税されますが、小規模宅地の特例では土地の評価額を最大80%減額可能です。
相続人が住むための土地である場合、特例の適用を受けられるのは最大330屐別100坪)まで、適用を受けられるのは配偶者や同居の親族と定められています。条件によって同居していない親族に対しても適用されるケースがあるため、詳しい条件は税理士に相談するといいでしょう。
4. 結婚・子育て資金の一括贈与による節税対策
相続税の節税で生前贈与がよく活用されますが、結婚・子育て資金の一括贈与もその1つです。直系尊属である親や祖父母から結婚資金もしくは子育て資金の贈与を受けた場合、最大1,000万円までが非課税となります。110万円の基礎控除以上の贈与でも贈与税がかからない方法です。
結婚・子育て資金の一括贈与で、受贈者は18歳以上50歳未満でなければなりません。受贈者が50歳になった時点で残高がある場合、残高に対して贈与税が課税されます。受贈者が50歳未満でも、50歳になる前に贈与者が亡くなると残高に相続税が課税されるため注意しましょう。
5. 民事信託による節税対策
直接的な節税対策ではないものの、民事信託を活用して柔軟かつ積極的な財産管理が行えます。被相続人が、自分の財産を信頼できる家族に託す制度で、一般的には財産を任せる委託者と任せた財産から利益を受けられる受益者は被相続人です。
たとえば、被相続人が持てあましている更地にアパートを建て、手続きや管理を民事信託契約によって子どもに任せるケースがあります。さらに不動産を共有財産にするとトラブルが起こりそうな場合に、民事信託の受益者を複数の相続人にすることで収益を平等に分配可能です。
6. 死亡退職金の非課税枠による節税対策
被相続人が在職中に死亡した際に支払われる死亡退職金の非課税枠を使い節税対策を行えます。死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設定されており、この範囲内であれば相続税を納める必要はありません。養子縁組によって法定相続人の数が増えれば、さらに節税可能です。
被相続人が会社を経営している場合、死亡退職金を支払うことで相続財産を減らし節税できる可能性もあります。退職金の支給には支給規定が必要であるため、非課税枠を使えるのか税理士相談するといいでしょう。
まとめ
相続税の節税対策は非常に多岐にわたります。誰でもできる節税対策もあれば、専門家のアドバイスが必要なケースもあるでしょう。相続人数や所有している資産などに応じ、最適な相続税対策を行うことが重要です。
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札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
評価額を下げる代表的な方法は小規模宅地等の特例です。
これは事業用、居住用、貸付用に供されている土地のうち一定の要件を満たすものの評価額を80%または50%減額するものです。限度面積要件や取得者要件などがあり非常に細かい要件になっています。
一般的に不動産の相続税評価額は市場で取引されている金額より低い場合が多いです。賃貸用不動産は借り手の権利が加味されており、借地権割合や借家権割合等が控除されています。
不動産のデメリットは分割が難しく、換金が容易ではない面です。土地を例に考えるとどのように分筆するかで同じ面積であっても等しい価値にならない場合があり、分割方法が決まらない可能性があります。
分割せず共有する方法もありますが、不動産の売却でトラブルになる可能性が高くおススメできません。
贈与で相続財産を減らすことは相続税の節税につながります。贈与は暦年課税と相続時精算課税という課税方式があります。
暦年課税は年間110万円までの基礎控除があり控除額以下の贈与は贈与税がかかりません。相続時精算課税には2,500万円までの非課税枠があり、超えた分は20%の贈与税が発生します。
相続時精算課税適用財産は、相続税の計算に含まれるので注意しましょう。計算に含まれる財産の価額は贈与時の価額なので、値上がりが見込まれる財産の贈与に適しています。
相続時精算課税適用財産につき課された贈与税は相続税から控除でき、もし控除しきれなかった場合は還付が可能です。
相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫への贈与が対象です。
この制度は相続時精算課税選択届出書の提出が必要で、この制度の適用を受けると暦年贈与に変更できなくなるため注意が必要です。
税負担が生じず相続財産を減らす方法もありますが、財産を残す方が財産を使ってしまう方法です。相続対策は財産を受け継ぐ側の視点で話すことが多いですが、財産を残す人が何に使いたいのかを聞いてみてはいかがでしょうか。
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