BtoBにおけるECサイトとは?市場規模から4つの構築手法まで解説
- BtoBにおけるECサイトとは?
- BtoBにおけるECサイトの市場規模は?
- BtoB-ECサイトの構築手法は?
BtoBのECサイトを導入すると、インターネット環境があれば手軽に企業間の受発注業務が可能です。
この記事では、BtoBのECサイトの導入を検討している企業・担当者の方に向けて、BtoBにおけるECサイトとは何かを紹介します。
最後まで読めば、構築手法がわかります。市場規模や代表的な活用パターンも解説するため、ぜひ参考にしてください。
BtoBにおけるECサイトとは:企業間における電子商取引
BtoBにおけるECとは、企業間における電子商取引のことです。
BtoB(Business to Business) は企業間取引のことで、EC(Electronic Commerce)とは電子商取引を意味しています。
オンラインで商品を販売するWebサイトはECサイトで、企業が企業に対して商品を販売するWebサイトをBtoB-ECサイトと呼びます。BtoB-ECの代表例は、小売店に商品を販売する卸売ECサイト・事業用商品を販売するECサイトなどです。
企業間における取引で用いられるしくみ
BtoB-ECを通じた取引は、主に「EDI」と「ECサイト」の2種類の形態を指すことが多いです。
以下からくわしく解説します。
EDI(Electronic Data Interchange)
「電子データ交換」のことです。通信回線を通じ、ネットワーク経由で標準的な書式に統一された発注書・納品書・請求書などの文書を電子的に交換する取引形態を指します。
EDIの導入により、専用回線・インターネットなどを介して取引情報のやり取りを標準化できます。紙の帳票を作成する手間やコスト削減だけではなく、データの一元管理も可能です。
ECサイト
電子商取引を行うすべてのWebサイトの総称です。ネットショップ以外にもネットオークション・コンテンツ配信・オンライントレードのサイトなどが含まれます。実際には、ECサイトはショッピングができるWebサイトの意味で使われることが多いです。
EDIは古くから用いられている取引で、いずれ切替が必要です。EDIからECサイトへ移行する企業も多く、EC化率が増加しているため、以下からECサイトの解説をします。
BtoB ECサイトとBtoC ECサイトの違い3つ
BtoB ECサイトとBtoC ECサイトの違いを3つ紹介します。
- 掛率管理:取引先ごとに販売価格の表示を区別する
- 決済管理:取引先ごとに決済方法を設定する
- 販路管理:取引先ごとに異なる商品の掲載をする
詳細は以下のとおりです。
掛率管理:取引先ごとに販売価格の表示を区別する
BtoBでは、取引先ごとに商談して売買する商品の価格を設定します。取引の量・条件の違いにより、同商品でも取引先ごとに異なる価格で販売します。
よってBtoB-ECサイトでは、取引先ごとに販売価格の表示を区別する必要があるでしょう。BtoCのECサイトでは販売価格の表示を分けることができませんでしたが、BtoB-ECサイト構築パッケージでは可能です。
決済管理:取引先ごとに決済方法を設定する
BtoC-ECサイトはクレジットカード・コンビニ払い・代金引換・銀行振込を、決済方法として利用します。BtoB-ECサイトでは、上記の決済方法にくわえて掛売(後払い)も使われます。掛売は、取引量・信用状況などで取引先を限定することも必要です。
掛売りは企業間取引において一般的な決済方法であり、ECサイトでの取引で掛売りを希望しているケースが多いです。希望の決済方法がない場合は、サイト離脱が増えます。
掛売りを導入していなければ、同業他社のECサイトに流れてしまうことが起こり得るでしょう。よってBtoB-ECサイトは、取引先ごとに利用できる決済方法を設定する必要があります。
販路管理:取引先ごとに異なる商品の掲載をする
BtoB-ECサイトの構築パッケージは、特定の取引先への販売を実現するため、取引先によって異なる商品の掲載・販売が設定可能です。
BtoB-ECでは、それまでの取引慣習・実績などに応じて、商品取引の可否を調整するケースが多く見られます。たとえば「取引先A社には全商品を販売するが、取引先B社には特定カテゴリーの商品しか販売しない」ケースです。
よって「個別の取引先ごとに取扱品目を変更する」「価格を調整する」などの機能が、BtoB-ECでは求められます。
BtoB-ECサイトの2つのタイプ
BtoB-ECサイトは2つの種類があります。
- クローズド型:既存の取引先に限定した取引を行う
- スモールB型:新規顧客の開拓を広く行う
以下から詳細を解説します。
クローズド型:既存の取引先に限定した取引を行う
既存の得意先と1対多数の関係で構築する形式で、自社の受注処理に関する業務省力化が目的です。ID・パスワードなどでアクセスに制限をかけることが多く、あらかじめ取引がある得意先以外はサイトを閲覧できない仕組みになります。
特定の企業のみが利用するため、仕様・設計などが売り手目線になってしまうことが多く、買い手目線での使いやすさを意識しての構築がポイントです。使い勝手が悪いとECサイトは利用されず、電話・メールで発注されてしまう可能性もあるでしょう。
スモールB型:新規顧客の開拓を広く行う
法人の顧客を対象としているものの、全く取引がない新規の顧客を広く開拓することが目的です。遠方の取引先・小口取引のみの顧客など営業担当者がリーチできていないロングテール層の顧客がターゲットとなります。
ロングテールとは、主にネットにおける販売においての現象です。売れ筋のメイン商品の売上よりも、あまり売れないニッチな商品群の売上合計が上回る現象のことです。
スモール型BtoB-ECサイトを構築することで、日本全国からの注文を受けられるようになります。よって、今まで取引のなかった新規顧客を獲得できる可能性が広がるでしょう。
BtoBにおけるECサイトの市場規模
令和3年の国内のBtoB-ECの市場規模は372.7兆円(前年334.9兆年、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)です。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が強まった令和元年における国内BtoB-EC市場規模は350.0兆円でした。
令和3年度の数値を見ると、令和元年の市場規模を上回る結果となっていることから、BtoB-EC市場はコロナ禍以前の勢いを取り戻しているといえます。
EC化率は、BtoB-ECで35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあり、日本国内の商取引の電子化が引き続き進展傾向です。
参考:経済産業省|令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書
BtoB-ECサイトの市場規模が拡大した6つの理由
BtoB-ECサイトの市場規模が拡大した理由を6つ紹介します。
- 働き方改革の施策
- ITインフラの整備
- スマートフォン・タブレットなど各種デバイスの普及
- BCP(事業継続計画)の対策
- DX(デジタル変革)の推進
- EC化率(商取引のEC市場規模が占める割合)の向上
以下から詳細を解説します。
働き方改革の施策
働き方改革は、企業において長時間労働の解消・生産性の向上が求められています。多くの企業で使用されている電話・FAX・書類でのやり取りは、業務効率が悪く早急な対策が求められています。よって、BtoB-ECが活用されはじめました。
ITインフラの整備
国内のほとんどのエリアでは、ITインフラが整備されつつありますが、BtoBビジネス企業ではアナログなやり取りが多いです。インターネット・デジタルデバイスが日常に普及していますが、業務上では電話・FAXなどのやり取りが少なくありません。
日常と業務でのIT活用の差が市場規模の拡大背景のひとつでもあります。
スマートフォン・タブレットなど各種デバイスの普及
スマートフォン・タブレットの普及も、BtoB-ECの市場規模の拡大をあと押ししています。従来、BtoB-ECを展開させるために、企業は独自のシステム構築に莫大な費用を投資していました。
近年は、デバイス端末の普及により、システム構築に費用をかけなくてもBtoB-ECを展開できる仕組みが整ってきています。よって、モバイルデバイス・クラウドサービスなどのシステム導入・活用がしやすくなり、BtoB-ECの利用が増加しました。
BCP(事業継続計画)の対策
感染症のパンデミック・自然災害発生など変化が激しい世界情勢において、有事に事業継続できるかをあらかじめ計画することが求められています。BCP(事業継続計画)と呼ばれ、策定が進められています。
BtoB-ECはデータをクラウド上に保管可能なことからBCP対策に適しているといえるでしょう。
DX(デジタル変革)の推進
DXとはDigital Transformationの略です。デジタルを効果的に活用し提供ができるよう、ビジネスや組織の活動・内容・仕組みを戦略的・構造的に再構築していくことを指します。
2018年に経済産業省がDX推進ガイドラインを公表したことにより、一般に広まり推進されています。BtoB-EC導入により、受発注業務の業務プロセスを変えていく機運が高まっています。
EC化率(商取引のEC市場規模が占める割合)の向上
EC化率が増加傾向にあることから、他社・取引先などのBtoB-EC利用率が高まっているため、導入する企業が多いです。「取引先に対応できるよう導入する」「販売機会の損失を防ぐ」などの理由があります。よって、商取引のEC市場規模が占める割合が向上しています。
BtoBにおけるECサイトの代表的な3つの活用パターン
BtoBにおけるECサイトの代表的な活用のパターンは3つあります。
- Web受注型
- Web発注型
- 本部−店舗型
以下に詳細を解説します。
Web受注型
自社の商品・サービスなどを、得意先・新規企業などに向けて販売するためにECを活用することです。電話・FAXなどを通じて受けていた受注をWeb上で行うもので、一番多く活用されています。
Web発注型
自社の仕入先への発注・在庫・納期・出荷などの状況確認を効率的に行うために、ECを活用するケースです。電話・FAXなどアナログで対応していた業務をECサイト上で完結できるため、業務の効率化を図れる仕組みとして近年ニーズが高まっています。
仕入れ先が多い企業には業務効率化のメリットが大きいでしょう。
本部−店舗型
複数の店舗を展開する業態が、本部と各店舗の商品・部品・備品などの受発注をスムーズに行うためにECを活用する手法です。本部側の集計業務と、店舗側の発注業務を大幅に削減する仕組みとして注目されている方法です。
BtoB-ECサイトの4つの構築手法
BtoB-ECサイトの構築手法を4つ紹介します。
- ASP
- パッケージEC
- クラウドEC
- フルスクラッチ
以下にくわしく解説します。
ASP
ASP(Application Service Provider)は、あらかじめカートシステムがインストールされているサーバーをレンタルできるサービスです。カートシステムとは、インターネット上で商品を販売するための処理をする仕組みのことです。
ホームページ作成ができるものも多く、レンタルカートの提供会社と契約することで、簡単にECサイトを立ち上げることができます。代表的なBtoB-EC専用のASP型カートは「Bカート」「楽楽B2B」などがあります。
実装したい機能によってカートを選ぶのがポイントでしょう。汎用性が高く利用しやすいため、ASP型カートを選ぶことが主流です。
パッケージEC
システム提供事業者が顧客の要望にあわせて個別に、ゼロからECサイトを構築するサービスです。カスタマイズの自由度が高いため、自社のECサイト運営に必要な機能を網羅できます。
ECパッケージの制作会社は、開発内容を明らかにしていないため、外部からのウイルスによる攻撃に強くセキュリティ面で安心でしょう。部分改修する際は、システムの開発者でないと行えないこともあるため、提供事業者に対応してもらわなければいけないことがデメリットです。
クラウドEC
クラウド上にあるECプラットフォームを利用して、ECサイトを構築できるサービスです。ASP型はサイトデザインのカスタマイズがしづらいですが、クラウド型はカスタマイズの自由度があります。導入費用が高額なため、大手企業向けのカートシステムです。
フルスクラッチ
既存のプログラム・ソフトウェアなどを使用せずに、ゼロからオリジナルのECサイトを構築する方法です。デザインやシステム管理を内製化しているため、あらゆるシーンで柔軟かつスピーディな対応が可能です。
たとえば「トラブルが起きた際の対処」「古いシステムのアップデート」なども、プロバイダーに依存することなく自社で行えます。
マーケティング戦略として新しいサービス機能・システムを導入したい際も素早く実行できますが、開発期間や費用がかかることがデメリットです。
BtoB-ECは通常のECサイトとは異なり、会社ごとの独自性が必要であるため、BtoB-ECサイトの構築手法とは相性がよいでしょう。
まとめ
BtoBにおけるECサイトとは何かの紹介と、代表的な活用パターン・市場規模・構築手法を解説しました。
ITの発展・普及により今後、BtoBビジネスを展開する企業が成長を続けるためには、BtoB-ECへの参入・デジタルシフトが重要になるでしょう。
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ECサイトと言えば一般消費者向けのものが多いのは変わりませんが、近年BtoBビジネスでもECサイトを立ち上げて積極的に活用していく動きが増えている印象です。特に、新型コロナウイルス感染拡大以降、テレワークなど従来と違った働き方を採用する企業も増えていますので、これを良い機会にと新しいオペレーションを整備し、よりデジタルを活用した事業展開に舵をきる企業が増えているのではないでしょうか。
細かい成功事例はすでに数多く存在しています。会員制のクローズドECを立ち上げお得意先との取引効率化を測ったり、会員ごとにグレードを設定し顧客ロイヤリティを高めたりと、ECサイト独自の機能をうまく活用して既存事業をより発展させているケースもみられます。BtoBビジネスにおいてもECは大きなマーケットへ成長し、主戦場の一つとなることでしょう。
ECサイト構築・運用に際して発生するコストや決済まわりの複雑な調整、従来の業務フローを変えていかなければならないなど悩ましい課題は多くありますが、今後を見据えるとそれを超えるメリット、取り組む意義があるのではないかと考えています。従来の常識が通用しないくらいに時代が変化している今だからこそ、これまでデジタルを必要としていなかったBtoB企業の皆様もECサイトの立ち上げを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。