オウンドメディアのマネタイズの手法にはどんなものがある?
企業が持つオンラインメディアはオウンドメディアと呼ばれ、様々な目的で利用されています。企業活動の一環ですので、当然そこには利益が関係していなければなりません。そのため、単にサイトを立ち上げるだけで終わるのではなく、マネタイズつまり収益化がうまくできていなければ成功とは言えないのです。そこで、マネタイズをするための基本的な理解、そして具体的な手法について考察することができます。
オウンドメディアとマネタイズの関係性
まず、そもそもオウンドメディアはどんな目的で企業によって運営されるのか、どのように利益をもたらすのかという基本的な考え方を理解することから始めましょう。サイトの種類によって、利益を得るということについての考えが異なることを意識するのがポイントとなります。
オウンドメディアのそもそもの目的
オウンドメディアは、そもそも企業活動を促進するため、マーケティング手法の一環として運営するオンラインメディアのことを指しています。特に、企業そのものやブランドについての認知度と印象を高めるために用いられることが多いです。
その典型と言えるのがブランディングサイトで、特にサイト内で物販をすることもなく、ブランドのイメージを高めるために運営されます。このように、直接販売行為をするためのメディアというよりも、ユーザーの購買意欲を高めるために用いるのが主な目的と言えるでしょう。
必ずしもサイトそのものから利益を得るわけではない
こうした目的を考えると、オウンドメディアではそこから利益を得るということは、直接的な目的とはなりません。あくまでも、間接的に収益を高めるための手段として用いられることが多いのです。
もちろん、オウンドメディアそのものでも利益を出すことはできます。しかし、それは二次的な手段、もしくは販売サイトを兼用しているという考え方に基づいています。
このように、本来のオウンドメディアの考え方は、いわゆる商業メディアと言われるものとは違います。商業メディアは、直接的にサイトから利益を得ることを主な目的としています。
たとえば、広告を貼って広告収入を得たり、ECサイトのように物を売ったりといった形です。一方で、オウンドメディアはあくまでも事業全体への貢献が主眼となっているのです。
マーケティング戦略の一部として、売り上げにつながるプロセスの一部です。売り上げの最終的な着地点は実店舗であったり、他の販売サイトであったりします。
リードを獲得するためにオウンドメディアを構築する
オウンドメディアの役割として重要なものの一つは、リードもしくは見込み顧客の獲得です。サイトによってブランドや商品についての認知度を高めて、そこからユーザーの関心を高めます。
それによって、サイト内で会員登録をしてもらったり、問い合わせフォームからコメントをもらったりします。そこまでのアクションがないとしても、販売サイトへのリンクによる誘導などを行って、購買までの道筋を付けるというのも目的の一つとなります。
こうした目的であれば、サイトはキーワードの選定やコンテンツSEOを中心とした、新規ユーザーの流入の手法を検討することがポイントとなります。サイトの快適性を高めて、SEO対策を質の高いものとするというのもリード獲得のための重要な策となります。
結果として利益を出すオウンドメディア
このように、オウンドメディアについての主な考え方は、売り上げにつながるサポート役、ユーザーを顧客へと成長させるためのプロセスとして用いられます。もちろん、そこには常に最終的に利益を出すという目標があります。
そのため、オウンドメディアのマネタイズというのは、マーケティング戦略全体の流れの一つとして行っていくべきことであることが分かります。サイト単独で収益化を考えるのではなく、次につなげていくメディアという立ち位置で利益の出し方を工夫していくことで、効果的な運営ができるようになるのです。
オウンドメディアをマネタイズするための手法
こうした大まかなオウンドメディアについての理解を得ることができたら、具体的にどのようにマネタイズの流れを取るのかを確認してみましょう。オウンドメディアには主に二つのマネタイズの方向性がありますので、それぞれで考慮することができます。
購買への誘導
本来のオウンドメディアの考えである、事業への貢献を通してマネタイズをするという手法です。このタイプのサイトでは、あくまでも新規ユーザーを引き寄せたり、既存客に思い出しをさせたりして購買意欲を高めます。
そこから販売サイトへ誘導、または商談を行うといった流れが生まれることになります。そのため、この種のオウンドメディアのマネタイズは、つなぎ役として効果的に機能することを重要視します。
問い合わせ数を増やす
人的サービスや大規模なサービスもしくは商品を提供する企業においては、いきなり商品を購入してもらうのではなく、事前に商談をして契約を結んでから販売に至ります。そのため、オウンドメディアのマネタイズとしては、リードからの問い合わせを獲得することがメインとなります。
そのため、サイトにおいてはサービスの魅力や優位性について、ユーザー目線で取り上げることが多いです。商談のアポイントを取れるように、問い合わせフォームの機能をより具体的にして、会社名や部署名などを記入するようにしているケースが多く見られます。
ユーザーの情報を獲得
オウンドメディアを訪問してくれたユーザーへ、こちらから積極的にコンタクトを取れるように、情報を収集する機能を設置します。資料請求フォームに会社名を記入してもらうのも一つの方法です。
また、特定のページやより深い情報にアクセスするためには、会員登録をしないといけない仕組みにしておくのも有効です。こうして企業名やメールアドレスを収集して、そこにメルマガを配信したり、アポイントのためのメールを送ったりできます。
資料請求をしてきたり、メールアドレスを残したりするということは、ある程度の関心を示していることの表れです。そのため、より見込みの高いリードを手に入れられるというメリットがあります。
販売サイトへの誘導
ブランディングサイトのように、商品やサービスの認知度を高めて良いイメージを持ってもらうことをメインとすることもあります。そのサイトでは直接販売をしない代わりに、すぐに物販サイトに飛べるようにリンクを用意しておきます。
もしくは、サイト内でクーポンなどのお得なサービスを提供して、後に販売サイトを訪問してもらえるように誘導します。他にも、SNSの友だち登録やメルマガの登録を促して、その中でECサイトへ誘導するという手段もあります。
こうして、新規ユーザーを販売サイトへ送り込む役割を果たします。この目的を果たすためには、単に認知度を上げるだけでなく、商品のメリットを意識させて購買意欲を持たせるための施策を考える必要があります。
商談へのプッシュ
BtoBのサービスを提供しているのであれば、商談獲得のためにオウンドメディアを用いることができます。サイト内でサービスの詳細やメリットについて解説します。最終的な代金や契約の仕方などは直接商談で話し合うということにして、申込フォームに記入してもらうように促します。
ここまでサイトで直接的な商談獲得ができなくても、見込み顧客の認知を上げるという目的でオウンドメディアを利用することもできます。あくまでもサイトはブランディングに徹して、テレアポなどで商談獲得をするというやり方です。
オウンドメディアにおいてある程度の情報を得ていますし、信頼も勝ち得ているのでアポイントを取りやすいというメリットがあります。また、サイトを見た人には特別な割引をするといった特典を付けるのも一つの方法です。
紹介による購買数アップ
既存顧客から引き合いを紹介してもらうために、サイトを活用することができます。知り合いからの紹介という経路は、とても効率が良い営業方法です。
やはり引き合いによる商談は契約率が高くなりますし、契約までのスピードも早いです。そのため、知り合いを紹介してくれたらキャッシュバックがあるなど、何らかの特典を提示して紹介を増やす工夫ができます。
知り合い紹介は受注率がかなり良いというメリットはあるものの、あまり全体的な件数としては多くありません。そのため、引き合いの獲得はあくまでもサブ的な手段として考えることができます。
リード獲得などのメインとなる目的にプラスして、サイトの中で一つの特集として知り合いの紹介キャンペーンを張るなどの取り組みをすると良いでしょう。こうすることで、多方面からのアプローチができるようになります。
サイト自体のマネタイズ
もう一つのオウンドメディアの収益化の手法は、サイト自体で利益を得るというものです。サイトの中に収益化のための仕組みを設けて、訪問するユーザーによって直接利益を得られるようにします。
もちろん、これはユーザーが報酬を支払うということではなく、主に広告収入という手段を採ります。前述のような手法で、オウンドメディアによって本来事業の売り上げ貢献をしつつも、同時に収入を上げるやり方です。
こうすることで、サイトを最大限に活用して収益を余すことなく得られるのがメリットです。この手法においては、どのように広告を貼るかによって戦略が変わってきますので、自社に合った方法を採ることが重要です。
アフィリエイト
広告収入の代表と言えば、やはりアフィリエイトです。メインとなる記事の上下やサイドに広告を貼って、それをユーザーがクリックすることによって報酬を得られるという手法です。
そのためには、ASPと呼ばれるネット上の広告代理店との契約をして、広告バナーを手に入れることになります。クリックだけで得られる報酬の他に、ユーザーがリンク先で商品を購入した時に報酬が発生するシステムもあります。
アフィリエイトをする際には、作成した記事とは関係なく広告を貼るだけのものもあれば、記事で広告に関係した商品を紹介することもあります。それにより、ページの作り方や広告の選び方も大きく変わってきます。
扱う商材も広告タイプも、かなりバリエーションが豊かです。それだけに奥が深いマネタイズの手法となりますので、しっかりと研究して利用したいものです。
広告枠の販売
ページ内の特定の場所を広告枠として、他社に販売します。PVの多いサイトだと、そこに集まるユーザーのクリックを期待して、固定された広告枠を購入したいという要望が強くなります。
SSPとも呼ばれる手法で、報酬はクリック回数によって決まります。広告を貼る大きさや扱う業界によっても異なりますが、クリック単価は0.2円から0.3円というのが相場となっています。
自社としては、広告枠を設けてそこに表示させるだけで良いので、特に面倒な手間はかかりません。しかも、PV数によってある程度報酬を予測できますので、安定して収益化ができるのもメリットです。
この手法で収益化を成功させるためには、サイトもしくはブランドの知名度が高いこと、PV数が高い状態を維持していることが必須となります。そして、クリック報酬制を採るのであれば、クリック回数のカウンター機能を入れる必要があります。また、広告主との契約を確実に行うことでトラブルを避けられます。
インフィード広告
やはり広告をクリックしたことによって報酬が発生する仕組みの広告です。インフィード広告の特徴は、記事の中に広告を埋め込むのではなく、コンテンツを移動する際に表示されるという点です。
たとえば、トップページから特定の記事にジャンプする時に、合間に画面内に表示されるという形です。もしくは、説明動画やイラストを表示させる際に、やはり全画面で広告が表示されます。
多少クリック単価自体は低いのですが、目立つ形で表示されるということもあって、クリック率が高いのがメリットです。そのため、トータルで考えると効率の良いマネタイズができることになります。
さらに、ホームページだけでなく、アプリでもこの手法を利用することができます。自社サービスのためのアプリを提供しているのであれば、そこにインフィード広告を埋め込んで収益化することが可能です。
タイアップ広告
どこかの企業から依頼を受けて、特定の商品や企業そのものを取り上げるコンテンツを作ります。商品の紹介記事を作るなどして、そこからアクセスがあった場合にそのPV数に応じて報酬が発生します。
PV単価は50円から100円と高く、安定したPVを得られるのであれば効率的なマネタイズが可能となります。ただし、オウンドメディア自体のPVがかなり多いことや、タイアップを申し込んでくれる企業がなければ成立しません。
また、報酬を確定するためのPV数チェックなどは、特殊なプログラムが必要となります。単に依頼を受けてコンテンツを作るというだけでは成立しません。このように、多少難度の高い手法ではありますが、質の高いメディアを構築しているのであれば検討の価値が十分にあります。
ブランディング型オウンドメディアのマネタイズ手法
多くの企業がオウンドメディアを利用する目的として、ブランディングという効果を上げます。ブランド力を高めることによって、企業そのものと商品シリーズへの知名度を上げると共に、信頼性を高めることができます。
また、特定のイメージを作り上げることによって、ターゲット層に訴えやすくなるという効果もあります。このブランディング型オウンドメディアを構築するに当たっては、二つのタイプの戦略があります。
ブランドリフト
一つ目はブランドリフトというものです。これは、長期的かつ間接的なマネタイズの手法となります。ブランドに対する認知度と魅力を高めることを目的として、サイトやSNSなどを通じたマーケティングを実施していきます。
個々の商品というよりもブランドネームを覚えてもらうことに力を入れるのが特徴と言えます。こうすることで、様々な商品ラインナップがあるとしても、別々に宣伝をしなくても、ブランド商品の一つとして認識してもらえるのが強みです。
また、長期的にマーケティングを行っていきますので、商品の改良や更新があった時にも同じ流れでマーケティングを組んでいけます。長期的に見るとコストや手間が軽減されることになるのです。
サーチリフト
ブランド力を上げるという意味では同じですが、サーチリフトの場合は特にユーザーがブランド名での指名検索を行うことを目標とします。ブランド名を打ち込んで検索をしてもらうということは、強い関心を持っていることを指し、購買へと結びつきやすい状態にあります。
こうした高い関心を育てるためにも、様々な経路でブランド名の露出を増やすことが行われます。SNSやネット広告、キャンペーンイベントなどで認知を深めていきます。
この手法においては定常的に宣伝活動を行っていきますが、とりわけ新商品を発表する時などにイベントを行い、露出を高めます。これにより、サーチされるチャンスを増やすことができるわけです。そしてアクセスしてきたユーザーを離脱させることなく、購買まで持って行けるわけです。
事業貢献型オウンドメディアのマネタイズ手法
オウンドメディアによって、売り上げアップにつながるルートを作り上げることを目的とした手法です。単にブランド力をアップするというだけでなく、直接商談などの機会を作り上げる、より積極的なアプローチをすることが多いのが事業貢献型オウンドメディアの特徴となります。その施策によって、いくつかの目的を達成することができます。
見込み顧客アップ
オウンドメディア内に、見込み顧客を獲得するための機能を盛り込みます。たとえば、資料請求フォームやダウンロード機能を設けるといった方法です。また、問い合わせフォームを作り、質問を受け付けるというのも間接的に見込み顧客を獲得できる手段となります。
他にも、会員登録をしてもらう、メルマガ配信を行うなどもリード獲得につながる大きな経路です。事業の種類によっては、無料セミナーを開催してその予約をサイト内で行うといった踏み込んだやり方もできます。
こうしたアプローチに反応してくれるユーザーは、すぐに成果に結びつかないかもしれません。しかし、全くの新規ユーザーよりも確実に顧客に変化する可能性が高いため、オウンドメディアでリードを得ることは効率の良いやり方と言えます。
顧客数アップ
よりシンプルな仕方で顧客を獲得できるビジネスモデルであれば、オウンドメディアから直接顧客を獲得することを目的にできます。たとえば、写真素材や無料アプリの配布をアカウント発行によって行うサービスです。
最初は無償でアプリや素材ダウンロードサービスを利用してもらい、サービス内課金によって収益を得るなどのマネタイズ手法を採れます。より直接的なので、成果の評価がしやすいことや人的コストがかからないのがメリットです。
リード獲得と同じように、オウンドメディアの中ですぐにユーザーのアクションを得られるようにする必要があります。そのため、魅力的なコンテンツを作成して、そのままアカウント発行フォームに誘導できる作りを構築することが重要になってきます。
直接利益型オウンドメディアのマネタイズ手法
今まではオウンドメディアは、あくまでもユーザーの購買意欲を高め、間接的に収益を出すというモデルでした。しかし、この直接利益型オウンドメディアでは、サイトそのものから利益を得られるという手法を採ります。いくつかのモデルがありますが、主に広告収入と課金サービスという二つの大枠で捉えることができます。
広告
サイト内に広告を貼り、ユーザーがクリックをしたり広告経由で商品を購入したりすることで収入が発生する仕組みです。広告にもいろいろな種類があり、アドセンス広告はユーザーの検索履歴などから自動的に広告が選ばれ表示される作りです。
アフィリエイト広告の場合は、サイトで直接特定の商品を取り上げて紹介します。その記事内に対象となる商品の広告を貼ることによって、ユーザーを販売サイトへ誘導するという直接的な行動を促します。
こうした広告収入を得るためには、アクセスを高い状態にキープするために徹底したSEO対策と質の高い記事の提供が欠かせません。本来事業のためのサイトに広告を貼ることによって、副次的な収入を得られるというメリットもあり、多くの企業が何らかの形で広告を使ったマネタイズをしています。
課金
サイト内でユーザーに課金をするというスタイルで収益化を図ります。代表的な例が漫画や新聞などの出版社や、素材配布サイトなどのコンテンツ提供サイトです。
情報もしくはコンテンツそのものを商品として販売する形となります。そのためには、トップレベルの高い質でこうしたコンテンツを提供しなければなりません。
そのため、このビジネスモデルを採用できる企業もしくは業界には限りがあります。しかし、課金によるマネタイズができるオウンドメディアを作り上げることができれば、安定した収益を得られるというメリットがあります。
一度購入をしてくれたユーザーはそのサイトのファンとなってくれているわけですから、繰り返し購入する可能性が高いからです。無料で見られるコンテンツを用意して、一般ユーザーを引き寄せて有料サービスに誘導するという形でメディアが作られることが多いです。
まとめ
オウンドメディアは企業がマーケティングのために構築して利用する、様々なオンライン媒体のことを指します。ブランド力を向上させる、リードを得る、広告によって直接利益を得るなどの使い方ができ、それぞれの目指すビジネスモデルに合わせることが可能です。
どのような手法や目的を採るにしても、充実したコンテンツと使いやすいサイトの作りが必須となります。ユーザー目線で質が高く有益なメディアとなるように工夫し、安定したアクセスをキープできるように努めたいものです。その上で、効率的な収益化ができるようにビジネスモデルを練り上げていくようにしましょう。
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