事業再構築補助金の申請要件・補助額と申請後の流れを解説

最終更新日:2023年07月20日
事業再構築補助金の申請要件・補助額と申請後の流れを解説

総予算1兆1485億円の超大型補助金である事業再構築補助金。発表後、各方面で話題となっている補助金ですが、事業計画書の策定や認定機関探しなど申請の準備に手間が掛かる補助金でもあります。本記事では、経済産業省から出されている「事前再構築補助金の概要」に沿って解説していきますが、初めて補助金申請される方に向けて、より読みやすくより嚙み砕いた解説を心がけています。本記事で補助金の要点を掴んでもらい、しっかりと準備を進めて頂ければと思います。

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当該記事は事業再構築補助金の内容をざっくりと把握していただくことを目的としているため、内容が不完全な場合があります。そのため、この記事により生じた損害等に関して、弊社は責任を負いかねますので、予めご了承ください。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、中小企業、中堅企業がポストコロナ・ウィズコロナの時代を乗り切るために、事業の再構築を支援する補助金です。

特筆すべきは予算額が1兆1,485億円で計上されている点で、これは歴史的に見てもかなり大規模な補助額となっています。日本経済の構造転換が期待される、大注目の補助金です。

事業再構築補助金は、コロナの影響で売上が減った事業者が対象です。中小企業、中堅企業だけでなく小規模事業者や個人事業主も対象となります。補助金の公募は、1回だけでなく令和3年度に複数回実施する予定とのことで、多くの方が今回の補助金を受給できることが期待されます。

事業再構築補助金の申請要件

事業再構築補助金を受給するには、事業計画書を作成して応募する必要があります。しかし事業計画書を作成すれば誰でも補助金を受け取れるわけではなく、設けられている申請要件に該当していなければなりません。

申請要件は以下の3つとなります。ここでは要件それぞれの詳細を解説していきます。

  • 1. 売上が減っている
  • 2. 事業再構築に取り組む
  • 3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を査定する

1. 売上が減っている

コロナ禍で売上が減少したことが条件になります。具体的には申請前の直近6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1〜3月)の同3ヵ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが条件となります。

※ここでの「任意の3ヵ月」は連続している必要はありません。

2. 事業再構築に取り組む

事業再構築補助金という名前の通り、事業再構築に取り組んだ際に支出した経費を支援する補助金となります。そのため、事業再構築指針に沿った業態転換、新分野展開、あるいは事業・業種転換等を行う必要があります。経済産業省の事業再構築補助金特設ページ(電子申請システム)では、いくつかの具体例が掲載されています。

業態転換の事例(飲食業)

新分野展開の事例(サービス業)

3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業計画は税理士、司法書士、弁護士等の認定支援機関と策定する必要があります。また、補助金額が3,000万円を超える案件の場合、事業計画の査定は金融機関(銀行、信金、ファンド等)と行わなければなりません。

また作成する事業計画にも条件が課せられており、補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画にしなければなりません。

付加価値額とは営業利益に人件費と減価償却費を足したものです。つまり売上から原価を差し引いた額のことを指します。この額を年率平均で3.0%以上増やす事業計画が今回の補助金を受給する条件となります。ちなみに年率平均3.0%が達成できなくても、返還が求められることはありません。あくまでも達成は「目標」となっています。

補助額に関して

事業再構築によって掛かる経費の何割かが補助金として支払われます。補助の割合と上限は、企業の規模によって変わります。また、緊急事態宣言の被害を受けた企業を対象とした特別枠も用意されており、補助額が通常よりも多くでます。

中小企業の補助額

中小企業の定義は、中小企業基本法と同様で以下の通り業種によって定義が異なります。ほとんどの企業が中小企業枠になるかと思います。

製造業・その他業界 資本金3億円以下の会社又は従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金1億円以下の会社又は従業員数100人以下の会社及び個人
小売業 資本金5千万円以下の会社又は従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金5千万以下の会社又は従業員数100人以下の会社及び個人

中小企業には「通常枠」と「卒業枠」が設けられています。卒業枠とは、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの枠で400社限定の特別枠となります。恐らくほとんどの企業が通常枠に該当するかと思います。それぞれの補助額と補助率は以下の通りです。

補助額 補助率
通常枠 100万円〜6,000万円 2/3
卒業枠 6,000万円超〜1億円 2/3

中堅企業の補助額

中堅企業の定義ですが、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社が中堅企業扱いとなります。

中堅企業には「通常枠」と「グローバルV字回復枠」の2つの枠が用意されています。グローバルV字回復枠とはグローバル展開を果たす事業が条件の100社限定の特別枠です。

グローバルV字回復枠で申請するには、付加価値額の年率が5.0%以上増加を見込む事業であり、コロナ以前の3ヵ月の合計売上高が15%以上減少していなければなりません。それぞれの補助額と補助率は以下の通りです。

補助額 補助率
通常枠 100万円〜8,000万円 1/2(4,000万円超は1/3)
グローバルV字回復枠 8,000万円超〜1億円 1/2

緊急事態宣言特別枠

緊急事態宣言特別枠とは、緊急事態宣言に伴い、飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により深刻な影響を受けた事業者に設けられた特別枠です。

令和3年1〜3月のいずれかの売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象になります。緊急事態宣言が発令された地域以外の事業者でも「取引先が緊急事態宣言が発令された地域におり、その影響で自身も被害を受けた」など説明ができれば対象になります。

補助金額、補助率は以下の通りです。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円〜500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6〜20人 100万円〜1,000万円
21人以上 100万円〜1,500万円

もし緊急事態宣言特別枠で不採択になった場合、加点の上「通常枠」で再審査されます。緊急事態宣言特別枠には、採択件数に限りがあるようなので、積極的に申請しましょう。

補助対象経費

次に補助の対象となる経費について解説していきます。対象となる経費は「主要経費」と「関連経費」に分けられ、それぞれ以下の通りです。

主要経費 建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費
関連経費 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、研修費(教育訓練費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)、リース費、クラウドサービス費、専門家経費

関連経費は主要経費があってこそ生じると考えられるため、関連経費のみで申請しても採択が難しいかもしれません。

また以下の経費は補助対象外となります。車両やスマートフォンなど、策定した事業計画以外でも使える汎用性の高いものは対象外となってしまうので、注意しましょう。

補助対象外の経費の例 補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費、不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費、販売する商品の原材料費、消耗品、光熱水費、通信費

事業計画の策定について

事業計画は合理的で説得力のあるものでなければなりません。審査は事業計画を基に行われますので、認定支援機関と相談して審査が通る事業計画を策定しましょう。

具体的な審査項目は公募開始と同時に掲載予定とのことですが、現時点で以下のポイントが明らかになっています。

  • 現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
  • 事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
  • 事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
  • 実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

事業系計画の策定に関して、本記事では概要のみ紹介致します。詳細を知りたい方は事業再構築指針の手引きをご参照ください。

申請後の流れ

無事、事業計画が採択された後の流れについて解説していきます。採択後、即入金されるわけではなく、まず交付決定を待たなくてはなりません。交付決定は数週間〜数ヶ月程度かかるといわれています。交付決定が出たタイミングで新事業をスタートする形となります。

交付決定後、補助事業期間が設けられます。補助事業期間とは、申請した経費を実際に使う期間のことで、期間内に経費を使い、最後に実際にいくら使ったか実績報告をします。※期間は補助金の額によって変わります。

実績報告後、確定検査が入り、支払われる補助額が確定します。その後、補助金が入金されるといった流れになります。

次年度からは、事業計画期間が設けられ、5年間、事業の進捗や売上など年次報告が必要となります。

概算払制度について

今回の事業再構築補助金も概算払制度を設ける予定とのことです。概算払制度とは、申請して採択された補助金の何割かが先に支払われる制度です。上記の通り、基本的に補助金は後払いで支払われるものですが、去年のコロナ特別枠補助金からこの概算払制度が設けられるようになりました。

コロナ特別枠補助金の際は50%が先に入金されました。資金繰りに困り、今すぐキャッシュが欲しい事業者に嬉しい制度となります。

事前着手承認制度に関して

原則として公募開始前に購入したものは補助対象にはならないのですが、とはいえ事業の改革を急ぐ事業者もいるかと思います。事前着手承認制度を利用すれば、公募開始前に購入した設備費なども補助対象に成り得ます。

事前着手承認制度を希望する場合、公募開始後に事前着手申請を提出する必要があります。事前着手申請が承認されると2月15日以降の設備・投資費用が補助対象となります。残念ながら、2月15日以前のものは補助対象にならないようです。

また、事前着手申請では、不正防止のために設備の購入等では相見積もりが必要になります。A社B社C社で相見積もりをとり、相場から逸脱していないことを証明しなければなりません。

当然ですが、事前着手申請したものの、不採択となる可能性があります。

事前準備

補助金は要件を満たせば全員が貰えるといったものではありません。要件を満たしているのは前提であり、様々な審査項目を突破して初めて貰うことができます。そのため、しっかりと審査に通るための準備が必要になります。

更に補助金は後に応募するほど予算が減り、競争が激化するため採択率が下がっていく傾向があります。そのため、早めの準備をお勧めします。申請前に行うべき準備は以下の通りです。

  • 電子申請の準備
  • 事業計画の策定準備
  • 認定経営革新等支援機関との相談

電子申請の準備

申請は全てjGrants(電子申請システム)での受付となるため、「GビズIDプライムアカウント」の発行が必要になります。アカウント発行には2〜3週間要する場合があるため、まだ取得していない人は早めの取得をお勧めします。Gビズアカウントはサイト上で必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成できます。

事業計画の策定準備

今回の補助金を受給する上で肝となる事業計画の策定ですが、一般に、事業計画の策定には時間がかかります。認定支援機関への相談が必須となりますが、「こういうことをやりたい」とふんわりしたイメージだけで認定支援機関に相談しても、的確なアドバイスを得ることはできません。

認定支援機関に丸投げするスタンスではなく、どういうことをやりたいか、そのためにどのような投資が必要か、見積もりの結果だいたいこのくらい費用がかかりそうなど、事業計画の策定をスムーズに進めるためにできる限りの下準備を行いましょう。

認定経営革新等支援機関の選定

認定支援機関の選定も重要です。すでに融資などで金融機関との付き合いがある方は、融資とセットなら報酬を支払わずに、補助金の相談が可能なケースもあるので、問い合わせてみましょう。

民間の認定支援機関を探される場合、税理士、公認会計士、司法書士、行政書士など士業から選ぶことになりますが、行政書士のみ書類の作成、申請の代行が可能です。丸投げができるからといった理由で安易に行政書士を選ぶのではなく、事業計画の作成が得意な事務所や、数字が強い事務所など、他士業の事務所も含めて、ケースバイケースで選びましょう。

税理士や行政書士など民間の支援機関を探される方は以下の中小企業庁のホームページから認定支援機関を検索することができます。
https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

しかし、こちらのサイトだと補助金の支援をしていない認定支援機関も表示されてしまうため、あまりオススメできません。

比較ビズでは「事業再構築補助金の相談」で募集をかけれるので、補助金の支援をしている認定支援機関を探すのに最適です。お近くの地域で探せるのはもちろん、費用や打ち合わせ方法など細かい条件の指定ができます。まだ認定支援機関が見つかっていない方はこちらのフォームから探せます。

まとめ

事業再構築補助金は予算が1兆1485億円組まれていることから、各方面で話題となっています。超大型の補助金であるため、多くの事業者が受給対象になるのではと期待されていますが、優れた事業計画書が優先して採択されますので、事前準備をしっかりと行うことが大切です。

事業計画書をしっかりと作成するためにも、パートナーとなる認定支援機関探しが重要です。対面が希望な方は近くの認定支援機関がいいでしょうし、事業計画書の作成に力を入れたいなら、経営・数字に強い事務所を探さなくてはなりません。

比較ビズでは、条件に合う認定支援機関のマッチングを行っておりますので、まだ認定支援機関が見つかっていない事業者様は是非ご活用ください。

比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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  • 補助金の種類や申請条件がわからない
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