法人の確定申告期間はいつ?手続きの具体的な流れや注意点を徹底解説
- 法人で確定申告をする期間はいつ?
- 法人の確定申告の流れは?
- 確定申告の際の注意点は?
「法人の確定申告の流れがわからない」法人の代表者は必見です。この記事では法人の確定申告期間や具体的な手順を解説します。最後まで読めば、法人がいつまでに確定申告すべきかがわかり、適切に申告・納税できるようになるでしょう。
法人の確定申告期間は、事業年度終了から2カ月以内です。
申告する税金ごとの必要書類も紹介するため、経理担当者の方もぜひ参考にしてください。
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法人の確定申告期間は事業年度終了後2カ月以内
法人の確定申告期間は、事業年度終了後2カ月以内です。法人の確定申告は、個人の所得税の確定申告とは異なり、一律の特定期間内におこなう必要はありません。法人の決算月は企業によって異なり、決算日に基づいて事業年度が決まるためです。
法人の確定申告では、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税の4つの種類があります。いずれの場合は事業年度終了後2カ月以内の申告が求められているため、決算終了後は速やかに申告準備を始めましょう。
【税別】法人の確定申告にはなにが必要?
法人の確定申告は、次の4つの種類があります。
- 法人税
- 消費税
- 法人住民税
- 法人事業税
それぞれの申告に必要な書類を解説します。
法人税の確定申告に必要な書類
法人税の確定申告に必要な書類は、次の5つです。
- 法人税申告書及び地方法人税申告書(各種別表)
- 法人事業概況説明書もしくは会社事業概況書
- 勘定科目内訳明細書
- 決算報告書
- 適用額明細書(必要な場合)
法人税とは「各事業年度で得られた所得に対して課される税金」を指します。法人税で課税される所得とは、会社の利益ではなく、益金から損金を差し引いた金額です。 益金・損金は、会計上の収益・費用をベースにして、法人税の税法に従って細かい調整を行いながら算出します。
消費税の確定申告に必要な書類
消費税の確定申告に必要な書類は、会社で取り入れている仕入れの消費税額の計算方法により異なります。
「一般課税」は実際の売上分の消費税から実際の支払分に生じた消費税を差し引く計算法です。一般課税の場合の書類は、以下のとおりです。
- 消費税及び地方消費税の確定申告書(一般課税用)
- 付表2 または 付表1および付表2−(2)
- 消費税の還付申告に関する明細書(還付申告の場合)
「簡易課税」は実際の売上分の消費税に、支払分にかかるとみなした消費税分を差し引く計算法になります。簡易課税の場合の書類は以下のとおりです。
- 消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)
- 付表5 または 付表4および付表5-(2)
消費税は「物品やサービスを消費した際に課税される税金」を指します。国内でおこなわれる物品の販売やサービスの提供は、ほぼすべてが課税の対象です。 提出書類の「付表」とは、税率の異なる消費税の計算表で、一般課税か簡易課税かによりフォーマットが異なります。
法人住民税の確定申告に必要な書類
法人住民税の確定申告に必要な書類は、次のとおりです。
- 自治体(道府県民税・市町村民税)の申告書
- 別表(必要な場合)
法人住民税とは「法人都道府県民税」と「法人市町村民税」の総称です。法人の事業所がある自治体に納める地方税の1種です。
個人が住居のある都道府県や市町村に住民税を支払うように、法人も事業所を構える自治体に住民税を支払います。納税を通じて、行政サービスに必要な経費を負担する仕組みです。
法人事業税の確定申告に必要な書類
法人事業税の確定申告に必要な書類は、次のとおりです。
- 法人事業税の申告書
- 別表(必要な場合のみ)
法人事業税は、法人が事業のために利用している公共施設や公共サービスに対して課せられる税金です。道路や港湾、消防、警察などが該当します。
法人の事業所得に対して地方自治体が課す地方税の1種です。当該都道府県に事業所を設けて事業をおこなう法人、収益事業のある人格のない社団や財団が納税者にあたります。法人事業税は、原則的に所得が赤字の場合は納付義務がありません。
法人の確定申告の手順
法人の確定申告の手順は、次の4ステップです。
- 取引記帳
- 決算整理
- 決算書作成
- 申告書作成・提出
手順1. 取引記帳
法人の確定申告には取引記帳が必要です。取引記帳は、期間内におこなわれた取引を記録した帳簿を指します。取引記帳は、確定申告のためにまとめておこなうより、日々継続的におこなうことが理想です。
決算終了後にすべてを記帳すると、作業量が膨大になり時間がかかります。ミスを減らし正確に申告するためにも、日ごろからこまめな記帳を心がけましょう。
手順2. 決算整理
記帳作業完了後、決算整理をおこないます。決算整理とは、次の事業年度に会計を引き継ぐため、期を分けて整理する作業です。とくに入金や支払いが期をまたぐ取引がある場合、仕分けをおこない帳簿を変更します。
決算整理には、資産の棚卸をおこない在庫の原価を把握する作業も含まれます。固定資産の減価償却も決算整理の一部です。
手順3. 決算書作成
取引記帳、決算整理が完了したら、決算書を作成します。決算書は、企業の収支や財産状況など、決算整理をとおして明確になった金額を記載する書類です。
決算書のなかには、次の書類が含まれます。
- 貸借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- 株主資本等変動計算書(S/S)
- 個別注記表
- 勘定科目内訳書
- 事業概況説明書
手順4. 申告書作成・提出
決算書の作成が完了したら、申告書を作成し税務署や都道府県税事務所に提出します。決算書に記載された内容をもとに、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税の申告が必要です。税金の種類に応じて、申告先が異なります。
法人税 消費税 |
所轄税務署 |
---|---|
法人住民税 法人事業税 |
都道府県税事務所 |
いずれの申告も、事業年度終了から2カ月以内と定められています。期限を過ぎるとペナルティが発生するため、申告期限をあらかじめ把握し計画的に準備しましょう。
法人が確定申告する際の注意点
法人が確定申告する際には、次のポイントに注意しましょう。
- 申告漏れはペナルティが発生する
- 書類準備には時間がかかる
注意点1. 申告漏れはペナルティが発生する
法人の確定申告を怠ると、ペナルティが発生するため注意が必要です。ペナルティは付帯税として追加徴税が課せられる場合や、青色申告を取り消される場合も想定されます。
確定申告を期限内におこなっていても、申告すべき内容に漏れがある場合、税務署から指摘を受けることがあります。トラブルにならないよう、提出前の申告書は慎重に確認しましょう。
注意点2. 書類準備には時間がかかる
法人の確定申告の準備には、時間がかかることを念頭におきましょう。法人は個人の確定申告に比べて必要な書類が多いため、処理や修正にも時間がかかります。とくに取引記帳は確定申告直前におこなうと漏れやミスが発生しやすいため注意が必要です。
書類準備にかかる時間から逆算し、期限から余裕をもって作業を開始すると安心です。事業年度終了後2カ月の期限を過ぎてしまった場合、追加徴税のペナルティが発生します。
法人が確定申告期間を過ぎたらすぐに自主申告すべき
法人で万が一確定申告期間を過ぎてしまった場合には、すぐに自主申告しましょう。期限から遅れたケースでも、早く申告することでペナルティが重くなりません。反対に、申告を先延ばしにすると延滞期間に付随して発生する追加徴税の金額が増えます。
法人が確定申告期間を守らなかった際の4つのペナルティ
法人が確定申告期間を守らなかった場合、次の4つのペナルティが発生します。
- 延滞税
- 無申告加算税
- 重加算税
- 青色申告の取消
ペナルティ1. 延滞税
法人が確定申告期間を過ぎてしまうと「延滞税」が発生します。延滞税とは、納付期限を過ぎてから確定申告をおこなった法人に対し、遅延した日数に応じて課せられる税金です。
期限内に申告したとしても、納税(入金)が遅れた場合は延滞税が課せられます。納付すべき税金が1万円未満のケースでは、延滞税は発生しません。
延滞税の計算方法は、次のとおりです。
延滞税の金額=納付すべき税額×延滞税率※×期限の翌日から完納までの日数÷365
※年7.3%または特例基準割合+1%のどちらか低い割合を適用する。
延滞税の金額=2カ月以内に納税した場合の延滞税の金額+(納付すべき税額×延滞税率※×2カ月を経過する日の翌日から完納までの日数÷365)
※基本は年14.6%で計算するが、特例として年14.6%と特定基準割合+7.3%のうち低い方の割合を適用する。
2カ月以上納税が遅れた場合、2ヵ月以降分の延滞税率が大幅に増えるため、2カ月以内で納税した際よりもペナルティが重くなる仕組みです。
ペナルティ2. 無申告加算税
無申告加算税は、納税すべき所得を申告しなかった場合に課税されるペナルティです。納税額は、次の方法で算出されます。
条件 | 本来の納付税額 | 加算税率 |
---|---|---|
税務調査後に申告 | 50万円まで | 15% |
50万円を超える部分 | 20% | |
税務調査通知後〜税務調査通知前に申告 | 50万円まで | 10% |
50万円を超える部分 | 15% | |
税務調査通知前に自主的に申告 | 額にかかわらず | 5% |
税務署の調査を受ける前に申告をした場合、ペナルティは「無申告加算税=納めるべき税金×5%」に軽減されます。申告期限に遅れても自主申告した方が、ペナルティが軽く済む仕組みです。
ペナルティ3. 重加算税
重加算税は、意図的な無申告や申告内容に隠ぺいや改ざんが認められた場合に課せられるペナルティです。重加算税は「納税額×35〜40%」を追加で徴収されます。
重加算税は延滞税、無申告課税とともに課せられるケースもあります。結果的に本来の納税額の倍に近い額を徴収される可能性もあるため、非常に重いペナルティです。
ペナルティ4. 青色申告の取消
青色申告をする法人の場合、青色申告を取り消されることがあります。2期連続で期限内に申告がないと、青色申告の承認が取り下げになるペナルティです。
青色申告の承認がなくなると、減価償却費に計上できる特別償却や、一定額の法人税控除などが受けられません。節税メリットがなくなるため、法人にとって青色申告の取り消しは深刻なペナルティです。
まとめ
法人の確定申告は必要な書類や計算が多いため、処理に時間を要します。しかし、定められた期限である「事業年度終了後2カ月」を守らない場合、厳しいペナルティを課せられるため注意が必要です。万が一期限を過ぎてしまっても、必ず自主申告しましょう。
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なぜなら、これらを理解していないと中間納税や消費税などの予期しない出費に見舞われてしまい、資金繰りに影響を及ぼす可能性があるからです。可能なら、確定申告は終わった段階で、税理士と打ち合わせを行ない。来年一年間でどのタイミングでいくらの納税が発生するのかのスケジュール感を共有してもらうとよいでしょう。
また、各税目間の関係性を理解することで、実はほとんど法人税の申告によって、住民税や事業税の税額も決まってくるということを理解できると思います。これに、より法定実効税率の意味を理解することができ、利益がいくら増えた場合に税額がいくら増えるのかの感覚が掴めるようになります。
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