国民健康保険の納付済証明書で支払い金額がわかります。原則的に1〜2月に郵送されますが、郵送しない自治体もあるため注意しましょう。納付済証明書が届かないもしくは紛失した場合、口座の支払い記録から金額を調べる必要があります。
確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除とは?条件や手順を詳しく解説
- 確定申告せずに国民健康保険料の控除を受けられるケースとは?
- 国民健康保険料の控除があり・なしで還付金額はどのくらい変わる?
- 国民健康保険料の控除を受けるための確定申告の手順は?
国民健康保険料の控除を受けたい方、必見です。国民健康保険料の控除を受けるためには、年末調整か確定申告のいずれかをする必要があります。
この記事では、国民健康保険料の控除を受けるための申告手順を解説します。最後まで読めば、控除をあり・なしでどれくらい還付金額が変わるかがわかるでしょう。
確定申告におけるよくある質問も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除とは
国民健康保険料の確定申告での控除は、社会保険料控除の1つです。納税者は、支払った社会保険料分の控除を受けられます。控除は自己もしくは自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料が対象です。
対象年に支払った金額や、給与や公的年金から差し引かれた金額の全額が控除されます。支払った保険料を所得から差し引くことで、所得税額を減額できる仕組みです。
国民健康保険料の控除を受けるために確定申告が必要となる条件
確定申告を行う際に、必ずしも国民健康保険料の控除を申告する必要はありません。下記の2つの条件をともに満たしている場合に、控除を申告しましょう。
- 国民健康保険に加入して保険料を支払っている
- 年末調整で控除申請をしていない
条件1. 国民健康保険に加入して保険料を支払っている
国民健康保険料の控除が適用されるのは、国民健康保険の加入者です。個人事業主やフリーランスで確定申告の必要がある人や退職したまま再就職をしていない人に多いでしょう。
生計を同じくする家族の国民健康保険料を支払っている場合も、確定申告をすると保険料控除が可能です。ただし1年間に支払われた給与が「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」の合計103万円以下である場合は条件が異なります。国民健康保険料の控除を受けなくても所得税の負担がないためです。
条件2. 年末調整で控除申請をしていない
サラリーマンでも年末調整で国民健康保険の控除をしていない場合、確定申告で控除を申告しましょう。原則的に、企業から給与がある人は年末調整において基礎控除、配偶者(特別)控除、および所得金額調整控除が受けられます。
たとえば、年末調整をする従業員が保険料控除申請が必要だったにもかかわらず、申告期限に間に合わなかったケースが該当します。
年収103万円以下なら控除を受ける必要はない
1年間に支払われた給与が103万円以下の場合は、国民健康保険料の控除を受けなくても所得税の負担はありません。103万円は「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」の合計金額にあたるためです。
そのほかの除外規定は次のとおりです。
- 給与による収入から基礎控除と医療費控除、寄付控除や雑損控除以外の所得控除を引いた金額が150万円以下の場合
- 給与所得と退職所得以外が20万円以下の場合
除外規定は、主たる勤務先では給料から甲欄で源泉徴収がされていて、そのほかからは乙欄で源泉徴収されている必要があります。
甲欄、乙欄とは、国税庁が作成している「給与所得の源泉徴収税額表」の税額欄です。主たる勤務先は甲欄を見て税額を算出し、そのほかは乙欄を見て税額を算出します。
国民健康保険料の控除を受けるための確定申告の手順
国民健康保険料の控除を受けるための確定申告は、次の手順で進めます。
- 確定申告用紙を用意する
- 源泉徴収票を用意する
- 国民健康保険の納付済証明書を用意する
- 社会保険の控除証明書を用意する
- 税額を計算する
手順1. 確定申告用紙を用意する
はじめに確定申告用紙を用意しましょう。主な取得方法は、次の3つです。
- 税務署や申告会場などにある用紙を取りにいく
- 税務署に郵送での送付を依頼する
- 国税庁のホームページからダウンロードする
手順2. 源泉徴収票を用意する
源泉徴収票を用意します。源泉徴収票とは、1年間の収入と納付した所得税額が記載された書類です。勤務先の会社から発行されます。
個人事業主の場合は、源泉徴収票は発行されないため、個人による所得金額の管理が必要です。月々の請求書や個人事業主が取引先から受け取る支払調書は取引金額を記載しているため、大切に保管しましょう。
手順3. 国民健康保険の納付済証明書を用意する
確定申告用紙と源泉徴収票の用意ができたら、国民健康保険の納付済証明書を用意します。納付済証明書は自治体により名称が異なりますが、納付を証明できる書類であれば問題ありません。
納付済証明書は支払い金額がわかる形式で作成され、一般的に1月〜2月に送付されます。送付を行わない自治体もあります。領収書や口座振替記録などから算出しましょう。
手順4. 社会保険の控除証明書を用意する
社会保険の控除証明書を用意します。社会保険の控除証明書の多くは、原則10月から11月に届きます。
手順5. 税額を計算する
必要な書類が手元に揃ったら、確定申告書への記入を始めます。保険料の金額を計算し、税額を書類に記す段階です。
内容に誤りがあるとスムーズに申請できないため、計算ミスや記入ミスがないか入念に確認しましょう。
国民健康保険料の控除を受けると所得税額はどれくらい変わる?
国民健康保険料の控除を受けると、所得税は以下の方法で計算されます。
所得税=(収入−必要経費−所得控除)×所得税率−税額控除
所得税率および税額控除は、国税庁「所得税の税率」を参考にしてください。
控除額が多ければ所得金額が少なくなり、所得税額を抑えられます。源泉徴収されている所得税額より支払うべき所得税が少ない場合、差額分が還付金として返されます。
控除あり・なしのシミュレーション
国民健康保険料の控除ありと控除なしのシミュレーションをとおして、差額はどの程度か確認してみましょう。
(例)年間給与総額350万円で給与総額に対する源泉徴収税額は10万円
- 国民健康保険料を控除申告しなかった場合の還付金
- 国民健康保険料を控除申告した場合の還付金
それぞれの算出方法を詳しく解説します。
国民健康保険料を控除申告しなかった場合の還付金
はじめに給与所得控除後の給与を算出します。年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(令和4年分)を参照しましょう。
350万円−(350万円×30%+8万円)=237万円
次に、控除を減算します。
- 国民健康保険料申告による控除分は、申告し忘れたため0円
- 給与から天引きされた健康保険の合計額40万円
- 基礎控除48万円(誰にでも適用される控除で令和元年分以前は38万円)
237万円−(40万円+0円+48万円)=149万円
次に、年末調整のための算出所得税額の速算表(令和4年分)を参照し所得税額を算出しましょう。
1,490,000円×5%=74,500円
所得税額に復興特別所得税102.1%を乗じたものが、納税額です。
74,500円×102.1%=76,064円
納税額と源泉徴収税額10万円の差額が還付金です。
76,064円−100,000円=−23,936円
国民健康保険料を控除申告した場合の還付金
給与所得控除後の給与は、国民健康保険料を控除申告しなかった場合と同じで、237万円です。
次に、控除を減算します。
- 国民健康保険料申告による控除分は25万円
- 給与から天引きされた健康保険の合計額40万円
- 基礎控除48万円(誰にでも適用される控除で令和元年分以前は38万円)
237万円−(40万円+25万円+48万円)=124万円
年末調整のための算出所得税額の速算表(令和4年分)を参照し所得税額を算出しましょう。
1,240,000円×5%=62,000円
所得税額に復興特別所得税102.1%を乗じたものが、納税額です。
62,000円×102.1%≒63,302円
納税額と源泉徴収税額10万円の差額が、還付金です。
63,302円−100,000円=−36,698円
国民健康保険料を控除申告した方が節税できる
今回のシミュレーションでは、国民健康保険料を控除申告した方が、12,762円多く還付されることがわかりました。所得税額を算出する際の控除金額が多ければ多いほど、課税所得が減少し節税が可能です。
まとめ:国民健康保険料の控除申請は節税になる
国民健康保険料の控除申請は、条件を満たした場合のみ可能です。年末調整時に控除申請を忘れた場合、確定申告をおこなえば控除が受けられます。
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よくある質問とその回答
1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
勤務会社にその年中に支払った国民健康保険料の金額を申請することで、年末調整で国民健康保険の控除を受けることができます。この場合、自分で確定申告をする必要はありません。
個人事業主の場合、「青色申告」をすることで国民健康保険料が削減されます。国民健康保険料は1年間で得た所得金額に応じて料金が決定されます。青色申告特別控除は、個人事業主で青色申告をしている人に対し、確定申告で最高65万円までの控除を受けることができるというものです。
国民健康保険の保険料計算においても、所得から最高65万円までの控除を差し引くことができます。国民健康保険料を節税したい場合は、青色申告を考えましょう。
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