青色申告を申請する必要書類は2種類!書き方や申告方法まで解説

喜多弘美公認会計士・税理士事務所
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最終更新日:2023年04月03日
青色申告を申請する必要書類は2種類!書き方や申告方法まで解説
この記事で解決できるお悩み
  • 青色申告には何を書くの?
  • 青色申告に必要な書類と気を付けるポイントは?
  • 実際に青色で確定申告する時のやり方は?

個人事業主として独立し、事業を営むときに必要になる青色申告。節税をはじめとしたさまざまな特典を受けられるため、多くの人々が利用しています。

青色申告に慣れていないと初めは難しく感じるでしょう。この記事を読めば、青色申告をすると受けられる優遇措置や申請方法まで詳しくマスターできます。青色申告とは一体何のことなのか分からない方でも、基礎を身に付けることができるでしょう。

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そもそも青色申告とは

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青色申告は特別な控除を受けられたり、白色申告とは違った優遇措置を受けられたりといった特徴がありますが、対象者が限られます。

青色申告を申請する説明に入る前に、まず青色申告とは何かを把握しましょう。

優遇措置を受けられる申告納税制度のこと

青色申告は白色申告にはない優遇措置を受けられる申告納税制度です。優遇措置は主に大きく分けて2つあります。

10万円あるいは65万円の所得控除を受けられる

青色申告を申請すれば、10万円か、もしくは65万円までの特別な所得控除を利用できます。65万円の控除を受けるためには青色申告承認申請書の提出、かつ継続した事業での収入(事業所得)が必要であるといった複数の条件があります。

借方・貸方と摘要を書いた複式簿記で日々の取引を記帳する必要もあるため、副業よりは本業で個人事業を行う方向けです。青色申告のさらに詳細な情報は下記の記事をご覧ください。

家族や身内などの従業員の給与を経費にできる

青色申告をしている場合、家族や親戚といった血縁関係にある15歳以上の従業員に支払う給与を必要経費にできます。「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、かつ「専従者の労務の対価として適正な金額である」と税務署に認められることが条件です。

注意点としては、青色事業専従者は控除対象配偶者および扶養親族にはなれないことが挙げられます。

白色申告との大きな違い

さらに、「減価償却」の特例を受けられることがあります。減価償却とは、青色申告の場合では30万円以上の高額資産を一括で経費にできる制度です。

青色申告で減価償却ができればその年の所得金額を大きく減らせるため、結果として効果的な節税対策になるのです。

青色申告の対象者

青色申告の対象者は「事業所得」「不動産所得」「山林所得」がある個人事業主および法人のみです。注意したいのはどれも「継続した収入がある」ことです。

会社員の退職金や利子所得、譲渡所得、ギャンブルなどの一時所得、ほか雑所得しかない場合は、青色申告はできません。

確定申告で青色申告をする際に必要な書類2つ

青色申告は白色申告よりも申告しなければならない項目が多いです。 実際に青色申告が必要になった段階で集めても、時間が足りない場合があるため、事前に必要書類を集めておくとよいでしょう。

なお、令和4年分の確定申告から申告書Aが廃止され、申請書Bに一本化されています。

確定申告書B

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引用:国税庁HP

青色申告をするためには確定申告書Bが必要です。確定申告の際に用意する書類には2種類ありますが、そのうちのBが必要なため間違えないでください。

反対に、確定申告書AはサラリーマンやOLなど給与所得者をはじめとする人が使用します。確定申告書Bは個人事業主や法人など、自営業者が扱います。

青色申告決算書

名称未設定のデザイン (31)

引用:国税庁HP

青色申告決算書も必要です。 所定の形式に記入する書類ですが、初めて青色申告をするような人にとっては少々難しいでしょう。

青色申告決算書を完成させるためには、複式簿記の知識が必要であり、貸借対照表や損益計算書など会計に関する知識も理解している必要があります。 正確に作成するために、税理士や公認会計士への相談を検討しましょう。

初めて青色申告をする前に必要な書類2つ

青色申告は確定申告の際にいきなりできるものではなく、事前に申請が必要です。青色申告をする際には「青色申告承認申請書」と「開業届」を提出する必要があります。

上記の2つを理解すれば青色申告の事前申請は完璧であるため、覚えておきましょう。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は「これから青色申告をします」と宣言するものであり、事前に管轄の税務署に提出します。青色申告をする年の3月15日までに提出する期限があること、開業日から2ヶ月以内に提出しなければならないことも忘れないでください

開業届

青色申告をするためには開業届の提出も必要です。開業届は青色申告だけではなく、その他の手続きの条件になってくることもあります。 開業届の期限は、開業日から1カ月以内です。期限を超過してしまった場合は、速やかに管轄の税務署に相談しましょう。

確定申告における青色申告の書き方

流れのコピーのコピーのコピー

損益計算書を書く(1枚目)

最初に1枚目である「損益計算書」を書きます。いきなり書くのではなく、事前に準備が必要です。損益計算書とは、1年間の収支がいくらかを示すための書類です。

1枚目の損益計算書には以下の記載項目があります。

申告者の情報 氏名、住所、事業所の所在地など
売上 1年間の収入
売上原価 1年間の収入を得るための仕入にかかった費用
経費 事業でかかった経費を勘定科目ごとに集計したもの
専従者給与 雇用している従業員の給与総額
青色申告特別控除額 10万円、55万円、65万円いずれかの特別控除額
所得金額 売上から経費を引いた金額

上記を書くためには、損益計算書をいきなり書くのではなく仕訳帳や会計ソフトにあらかじめ必要な項目を記載しておく必要があります。日頃から事前準備を怠らないようにしましょう。

損益計算書の内訳を書く(2〜3枚目)

2〜3枚目は1枚目で書いた損益計算書をより詳細に記入するための書類です。記入項目は以下の通りです。

月別売上(収入)金額及び仕入金額 売上と仕入を月別で書いた金額
貸倒引当金繰入額の計算 売掛金を回収できない場合のための見込み試算額
給料賃金の内訳 従業員がいる場合、従業員に支払った給与・賞与・源泉徴収税額などの費用
専従者給与の内訳 家族を青色申告専従者としているときには、家族に支払った給与
青色申告特別控除額の計算 10万円、55万円、65万円いずれかの特別控除額
減価償却の計算 10万円以上の高額商品を購入した際の分割経費
利子割引料の内訳  銀行や証券など金融機関以外での金銭の貸し借りがある場合に記入する費用
地代家賃 事業所の土地代や家賃などの費用
本年中における特殊事項 前年と比べて収入が大きく増減した場合の理由やその他特記事項

ポイントは「給料賃金の内訳」と「専従者給与の内訳」にあります。専従者給与の場合は家族を従業員としているときであることが注意点です。家族や親戚など身内以外は給料賃金の内訳に該当するため、注意してください。

貸借対照表を書く(4枚目)

貸借対照表とは期末や歳末など「ある特定の時点」における資産と負債の内訳を示す書類です。現金や不動産、銀行など、借りているローンの金額まで明確になります。

資産の部 現金や売掛金、預金などといった金額
負債・資本の部 買掛金や借入金、未払金などといった負債と資本金
製造原価の計算 製造業を営んでいる場合、仕入金額を記入

貸借対照表は左側が資産の部、右側が負債・資本の部という構成です。損益計算書と似ていますが、損益計算書は「一定の中長期間における収支」を表すため、貸借対照表とはれっきとした違いがあります。

確定申告書Bを書く

損益計算書と貸借対照表まで書けたら確定申告書Bの記入に移ります。確定申告書Bは今までに記帳してきた情報をもとに書けば問題なく完成しますが、注意したいのは確定申告書Bへの記入で所得税額が決定する点です。

所得税額は「課税所得×税率ー控除額」で算出します。控除は青色申告特別控除や寡婦控除・ひとり親控除、保険料控除などさまざまなものがあるため、自分が該当するものがないか確認して少しでも節税できるようにするとよいでしょう。

青色申告をする際の注意事項

青色申告をスムーズに行うにあたって、特に注意すべきポイントをまとめて紹介します。

青色申告をする際の注意事項

青色申告ができる区分かどうか

青色申告ができるかどうかは、申告しようとしている所得の区分によって異なります。 青色申告ができる人は下記の通りです。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得

青色申告特別控除は不動産所得・事業所得・山林所得から控除することができるため、一時所得や雑所得から控除することはできません

事前手続きが必要

青色申告承認申請書と開業届の提出という事前手続きが必要な点も忘れてはいけません。この2つを提出しておかなければ、青色申告ができる所得区分に該当していたとしても認められなくなります

既に白色申告で事業がスタートしている場合でも、期限さえ守れば青色申告に切り替えることは可能です。

申告には期限がある

青色申告の期限は3月15日までのため、青色申告を初めてするなら余裕を持って書類を準備しましょう。

書類の用意自体は難しくありませんが、書類に記入する際に、さまざまな会計知識が必要なので、予習をしておくとスムーズです。自分1人での対応が難しければ、会計ソフトを購入することや税理士に相談してみるのもよいでしょう。

書類の提出方法

青色申告は複数の提出方法が用意されています。

  • 管轄の税務署で手続きをする

    一般的な方法で、その場で担当者から指摘をしてもらえるため手間がかからない。ただし、直接税務署へ出向く時間が割かれる。

  • 郵送提出

    税務署の職員から直接指摘をしてもらえないため、手続きに不備があった場合、余計に手間がかかってしまう可能性がある。 ある程度慣れた人におすすめの提出方法。

  • 国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用する

    ウェブ上で提出することができる便利なシステムであり、事前の手続きが必要。65万円の青色申告特別控除の適用を受けるには、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことが必要がある。

青色申告を少しでもラクにするソフト2選

日々の仕事に追われるあまり、青色申告に必要な書類に関する情報を学ぶ時間や余裕がないという方も多いでしょう。会計ソフトは申告のストレスを軽減させてくれるため、個人事業主であれば導入することをおすすめします。

以下では初心者にもおすすめの会計ソフトを2つ紹介します。

freee

freeeは非常にメジャーであり、無料から使えるクラウド会計ソフトです。データ取り込みや仕訳を自動化してくれるため、経理への負担を限りなく減らせます。強いセキュリティ対策も人気のひとつです。

参照:freee

弥生会計

弥生会計は直感的に操作できるところが多くの個人事業主から定評を得ている会計ソフトです。自動で取引明細を仕訳してくれるAIが搭載されているため、自分で勘定科目を考えて記入する必要がありません。

税理士も弥生会計を使用していることが多く、税理士に少しでも申告を委託しようとしている場合は引き継ぎが面倒ではないというメリットがあります。

参照:弥生会計

まとめ|早めの対応でしっかり準備しましょう

青色申告で注意すべき点は、事前に提出が必要な書類がある点です。 手続きが済んでいなければ、いきなり青色申告しても無駄になってしまいます。

いくつか用意する書類もあるため早い対応を心がけて、しっかりと特別控除を受けられるようにしましょう。 うまく控除を受けられれば、かなりの節税効果を見込めます。

青色申告に自信がない、脱税だと思われないか不安、など悩みごとを抱えている方は、ぜひ弊社の「比較ビズ」をご利用ください。多数の税理士に一括で無料相談できます。

監修者のコメント
喜多弘美公認会計士・税理士事務所
代表 喜多弘美

兵庫県神戸市出身。趣味は筆跡診断・筆文字。神戸大学経済学部、甲南会計大学院卒業。2010年公認会計士試験論文試験合格後、上場会社経理部に所属し、固定資産・消費税を担当。その後、大手監査法人で会計監査、グループ会社で内部監査・人事に携わる。2020年4月から東京都品川区で個人事務所を開業し、会計システム導入支援・記帳代行に従事。2020年11月税理士登録。

上記の通り、青色申告をするためには期限内に申請書を提出する必要があるので、余裕をもって準備するといいでしょう。期限をきちんと守る必要があるので、開業後のスケジュール・提出書類の期限を事前に把握しておくと漏れが少なくなります。

開業するにあたり青色申告制度を利用するか検討し、青色申告制度を利用する場合には開業届と一緒に青色申告申請書を提出すると提出漏れが少なくなります。

また、必要書類を提出することと同様、一定水準の記帳を行い、記帳に基づいて正しい申告をすることも大切です。

そのため、開業準備の段階で、記帳を税理士などにお願いするか、会計ソフトを利用するか、領収書の保管方法などを検討しておくと、開業後に慌てずにすみます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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