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独自の顧客管理システムを構築する際の費用相場/見積例をエンジニアが解説

更新日:2020年06月22日 発注カテゴリ: 業務システム開発
独自の顧客管理システムを構築する際の費用相場/見積例をエンジニアが解説

大規模な事業を展開しようとした場合、顧客のことを考えずにビジネスを成り立たせるのは難しいです。昔からの台帳と営業担当者の頭の中で顧客管理、分析し、営業担当者の経験と勘でアプローチするだけでは、経営的な目標を達成するには難しい状況となっています。そこで顧客の情報を集め、蓄積し、分析する顧客管理システムが登場してきます。顧客管理システムにより、顧客を分析し、需要や嗜好にあったサービス提供が可能となります。本記事では、顧客管理システムの概要と構築方法、費用相場、近似の営業管理システムについて解説いたします。

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顧客管理システム、営業管理システムとは

顧客管理システムとは、本来的には、ビジネスの相手である顧客の情報を収集、蓄積、分析して、顧客との良好な関係性を築くための管理手法です。略語として、CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれており、この管理システムを情報システム化した物を顧客管理システム(CRM)と本記事では呼称します。

また、近似のシステムとして営業管理システム(SFA:Sales Force Automation)があります。こちらは営業業務の支援がメインとなるシステムで、営業担当者が利用することが顧客管理システムと共通しており、両者が導入される場合や、両者を統合したシステムといったものも存在します。

以下、本記事内ではCRM、SFAで記述を統一します。

目的

CRMの主な導入目的は、「顧客が求める商品、サービスを提供すること」です。このために顧客の情報を集め、蓄積、分析し、顧客の求めるものをマーケティングします。顧客が求める商品、サービスを提供することにより、顧客満足度を高め、売りあげを高めることに貢献するという、One to Oneマーケティングという手法の実現を情報システムを用いて行うためにCRMが導入されています。

SFAの主な導入目的は、「営業組織を強化し、営業支援を行うこと」です。営業という業務そのものを情報システム化することで形作り、可視化、情報共有、業務効率化を実現することを目指して導入されるものです。注意しないといけないのは、売上をあげることはSFAを導入する直接的な目的ではありません。営業の支援を行うことが導入目的であり、その結果、業務が効率化され、営業業務がスムーズにできるようになったため以前より売上があがるという関係性です。システムの導入そのものでは売上はあがりません。

機能概要

顧客管理システム(CRM)

  • 顧客情報管理

顧客の情報を管理する機能です。顧客の企業名、事業内容、連絡先、担当者名など基本的な情報や各種取引の履歴に加え、決裁者の情報や自社イベントへの参加履歴、コンタクトの回数、現在取引を行っている案件の状態など、顧客との関係に関する情報を細かいところまで収集し管理します。名刺の取り込みや顧客内の人脈管理等も管理対象に含むことが多いです。

  • マーケティング

顧客情報管理で得た情報より、顧客への理解を深め、有効な営業的アプローチをするための機能です。既存顧客に対しては、マーケティングを行い、有効な方針をシステムで示すことでクロスセル、アップセルを目指します。また、自社イベントに出席頂いた顧客の見込みとなるユーザには、フォローを行い、新たな顧客獲得も目指します。

  • 顧客情報分析

蓄積してきた顧客情報をグラフやレポートにまとめ、顧客の傾向をつかみ、より強い顧客との関係性を作り上げるための機能です。また傾向をつかむことが出来れば、似た傾向の顧客での有効な方法を展開し、よい効果を波及させることにも繋がります。実現度合いはシステムによりますが、さらなる行きつく先としては収集したデータのビッグデータ化とその分析への利用までが見込めます。

営業管理システム(SFA)

  • 商談、案件管理

顧客との取引における商談の状況、受注後の案件の状況を管理する機能です。商談、案件の状態をSFA上で管理することにより、やらなくてはいけないことが明確化され、他メンバーとの情報共有を図ることができます。

  • 営業活動、日報管理

営業担当者の業務活動を記録する機能、管理する機能です。顧客とのアポイントメント、テレアポ、訪問数や受注率等を記録し、営業担当者の営業活動における課題分析等に役立てることができます。また、日報という形をとり個々の営業メンバーの状況把握、履歴取得を行うこともできます。

  • 予実管理

営業活動においては、一定のスパンで業務を区切り、そこに目標値を設定してそのクリアを目指す形が取られます。この売上の目標値、達成状況である実績値、そして将来の見込みを登録し、可視化する機能です。営業目標の予実が可視化することにより、部門別などの切り口での傾向や対策を取ったり、目標達成に向けて状態がよくないところをフォローするなどの対処を取ることができます。

※SFAには顧客管理機能を持つものもありますが、本記事ではCRMと重複するため除外します。

CRM、SFAに関する他システム連携

  • 販売管理システム等業務システムとの連携

CRMからは顧客情報、組織情報、SFAからは商談や案件の情報を連携し、社内での情報の共有を図ります。また、商談や案件についてはステータスの変更が外部システムから連携されることも想定されます。

  • 経費システムとの連携

営業活動において発生する経費の入力を可能としておくことで、経費のシステムとの連携も可能です。営業担当者は別システムで入力する必要がなく、業務の利便性が高まります。

  • ワークフロー

商談や案件の管理などで、上司の決裁を仰ぐ必要が発生する場合、ワークフローとの連携を図れる機能があるとスムーズです。

CRM、SFAを導入した方が良い状況

営業業務におけるシステム導入の目安です。もちろん、この目安に加えてシステム導入による費用対効果面の検討も必要です。

顧客の需要が知りたい

継続している顧客はいるものの、顧客が本当に求めているものは何なのかは見失われがちです。顧客の経営課題を分析し、満足度を上昇させ、自社の利益も増やすためのマーケティング、分析をCRMで導入することができます。

マス向けのマーケティングから顧客を絞ったマーケティングに変えていきたい

自社営業で旧来的なマスに向けたマーケティングを行っている場合、顧客の要望に沿ったマーケティングをしている競合先に負けてしまうことがあり得ます。顧客に合わせたマーケティングをCRM、SFAではサポートしてくれます。

営業担当者間で情報の共有が出来ていない

営業部門の業務において、個々の業務が共有されていないためにロスが発生していることがあります。それぞれの状況を共有し、有効な施策は展開していくことで、業務の効率化を図ることができます。

営業業務におけるコストが高い

営業業務において、作業が明確化されておらず、ロスが発生し、コストが高くなってしまっていることもあり得ます。営業業務の明確化、可視化を行うことにより、無駄の排除をおこないコスト削減に貢献することができます。

クラウド/パッケージ/オンプレミス(独自システム構築)の違い

システムを導入を考える場合、方式や環境といったものを決めていけなければなりません。ここでは大まかに三種類の方式、環境について概要とメリット・デメリットを説明します。

  • クラウドサービスの利用(SaaS)
  • パッケージ製品の利用(オンプレミス)
  • 業務に合わせた独自システムの構築(オンプレミス)

ここでいう、クラウド/オンプレミスというのはシステムをどこで動かすかという環境の違いです。クラウドサービスとはインターネット上に別の事業者が持つ環境、システムを利用する方式です。オンプレミスの場合は自社でサーバー他のハードウェアを方式となります。

オンプレミスでは、さらにパッケージ製品と独自システムの構築に分かれます。パッケージ製品はよくある業務をシステム化し、完成させてパッケージとして販売しているものです。独自システムの構築は、ここでは業務の要件にあわせてシステムを開発することを指しています。

クラウドサービス利用のメリット・デメリット

メリット

  • ハードウェアは利用端末以外用意しなくてよいため、初期投資やハードウェアメンテナンスは比較的安価で済む
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを抑えて利用可能
  • インターネット接続環境がある端末ならばアクセスでき、複数端末での利用も可能

デメリット

  • 継続的に費用が掛かる。システム利用が増えると利用料金も増える場合もある
  • 業務上の機密情報となりえるデータをクラウドサービスに預けることになる。ハッキング、情報漏洩等のリスクは高い。
  • 拡張性は低い。バーコード、RFIDなどと組み合わせて現物管理するには一工夫必要
  • 柔軟性は無く、自社業務に合わせたカスタマイズ、改修などはできないことが多い
  • クラウドサービスの運用停止(メンテナンスなど)やネットワーク切断に業務が影響される

パッケージ(オンプレミス)のメリット・デメリット

メリット

  • 独自システム構築よりは安価なことが多い
  • 買い切りや年単位のライセンスなどの契約形態が選べる
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを掛けずに利用可能

デメリット

  • 柔軟性は低く、自社業務に合わせた機能追加、カスタマイズ、改修が不可能だったり、大きなコストがかかることもある
  • パッケージの更新に影響を受ける
  • 独自にシステム構築した場合と同様にハードウェア等の導入、運用が必要となる

オンプレミスで独自システム構築のメリット・デメリット

メリット

  • 業務に合わせて柔軟なシステム開発が可能
  • HHT(ハンディ端末)、RFID等デバイスとの組み合わせも自由にでき、大きな効率化を図ることも可能
  • 拡張性が高く、機能の追加はしやすい

デメリット

  • コストは構築するシステムによっては高価になる
  • 規模によっては開発期間が長期的になることもある
  • ハードウェアやサーバーの運用、保守業務が必要となる

CRM、SFAで気軽にクラウドサービスを利用できない理由

クラウドでのCRM、SFAは昨今増え続けています。価格面でも利用しやすいものも多いです。どこからでもインターネットを経由して接続できるという利点もあります。とても便利なものですが、クラウドサービスを利用することにより、データの消失や悪意あるサイバー攻撃による情報漏洩のターゲットとなってしまう大きなリスクを抱えます。特にCRM、SFAで取り扱うデータは顧客の情報など業務上機密性の高いデータです。情報が漏洩した場合のリスクはとても大きなものです。また、どこでも接続できるという利点はユーザID、パスワードなどのログイン情報がフィッシング等により流出してしまった場合、簡単に機密情報が見られ、悪用されてしまう可能性があるのです。本当に信頼できるクラウドサービスであるかを見極めるのは、かなり難しいといえます。

クラウドサービス利用上の注意点(総務省)

CRM、SFAの一般的な費用相場

先にあげた三つの方式で価格帯は様々です。もちろん機能の充実性、使いやすさといった面でも費用は変わってきます。

クラウドのCRM、SFAを利用する場合、多くが期間(および使用量、使用人数)による課金制となっています。月額や年額といった単位で支払いを行う形です。その価格は中小企業や個人事業主向けの無料から月額数百円〜のものや、機能の充実したものではユーザ数により変動はありますが、月額数万円〜が主流のようです。CRM、SFAとそれら両方を兼ね備えたサービスも存在します。ただし、CRM、SFAについては扱うデータの内容は非常に機密性が高いです。機密事項をクラウドに預けるリスクの考慮が必要です。

オンプレミスでパッケージ製品を利用する場合、パッケージ製品本体価格とカスタマイズ費用、セットアップ費用、ハードウェア等の設備費用が必要となります。パッケージ本体の価格は高機能でシステム連携機能なども充実したもので数十万円単位〜が主流です。また、パッケージ製品の販売形式にはライセンス数×期間のタイプも存在します。顧客管理業務、営業管理業務は、比較的に業務が明確なため適用しやすいパッケージも探しやすいかもしれません。パッケージの導入とそのカスタマイズを組み合わせたプランを持っているシステムベンダーと相談してみると、より明確になります。

オンプレミスで独自システム構築を考えた場合は、SIerやシステムベンダーと呼ばれる業者に開発を依頼する形となります。この場合、システムで実現することを決める要件定義(仕様定義)、設計、開発、試験といった各工程を実施するための工数から料金が決まってきます。システム構築は実現機能や方式により複数のレベルの価格が考えられます。業務に合わせて、他の業務システムと連携可能なCRM、SFAを構築する場合を考えると、ソフトウェア開発費用はパッケージ製品を利用した場合と同等かそれ以上となります。オンプレミスで独自システム構築を行う場合は、要件定義で必要な機能をきちんと決めることで、コストが削減できる場合もあります。

CRM、SFAの見積例

オンプレミスでパッケージ製品を業務に合わせてカスタマイズする場合の見積もり例

実現機能

6画面2バッチ2帳票

システム 機能 種別 作成方法
CRM 顧客情報管理 画面 パッケージ機能カスタマイズ
マーケティング 画面 パッケージ機能カスタマイズ
顧客情報分析 画面

レポート

パッケージ機能カスタマイズ
外部インタフェース バッチなど 新規作成
SFA 商談、案件管理 画面 パッケージ機能カスタマイズ
営業活動、日報管理 画面 パッケージ機能カスタマイズ
予実管理 画面

レポート

パッケージ機能カスタマイズ
外部インタフェース バッチなど 新規作成 

開発工程

  • 要件定義(FIT&GAP)
  • 設計
  • プログラミング
  • テスト
  • 運用保守

Webシステム(パッケージ製品+カスタマイズ)

SE費用 160万円 2.0人月
パッケージ製品費用 100万円(25ユーザライセンス) -

パッケージ製品を使ってシステムを構築する場合、パッケージそのものの費用と、パッケージのセットアップ、機能のカスタマイズ、追加機能の作成などのSEの作業に掛かる費用が発生します。パッケージ製品費用は定価が定められていますが、CRM、SFAでは利用ユーザ数により価格が違うことが多いです。SE費用は業務にシステムを導入するための設計およびカスタマイズの作業量を人月で算出し、それに開発者の単価を欠ける形で算出されます。

※別途、ハードウェア、設備等に関する費用が必要となります。既存資産の流用なども可能ですので、システムベンダーにご相談ください。

CRM、SFA開発時の注意点

システムの導入で業務運用が変わる場合は、システム利用者の教育を行っていくことが必要となります。教育計画を立てて、スムーズに業務が実施できるように事前に準備しておかないと、システム導入で見込んだ効率化等の実現は出来ません。

自社の営業業務特有の手順、作業がある場合はシステム導入時にはどう実現するかを検討する必要があります。システムに合わせて業務を変えるか、業務に合わせてシステムをカスタマイズするか、営業部門の担当者の意見も聞きながら決めましょう。

現場は業務が変わることを嫌います。営業担当者(のキーマン)をプロジェクトに取り込み、要件や使い勝手など各ポイントで業務との親和性を確認して、業務が変わることへのネゴシエーション準備をします。

総括

CRM、SFAは適用対象がとても幅広いシステムです。顧客がおらず、営業をする必要のないビジネスなど無いとも言えます。多くの業界でマス向けのマーケティングから顧客に沿ったマーケティングへの変化が起きている中、CRM、SFAの導入によりマーケティングを見直す機会が来ているのかもしれません。また、顧客情報の蓄積、ビッグデータ化、そしてその分析は、将来的なマーケティングにも有効利用できるものです。投資ととらえ、データを蓄積、分析する仕組みを今導入する戦略も必要かもしれません。

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