【保存版】不動産所得は「青色申告」が有利!メリット3選や経費一覧を解説
- 不動産所得の青色申告とは?
- 不動産所得は青色申告の方が有利?
- 青色申告を受けるために必要なものは?
不動産所得では青色申告と白色申告があります。青色申告には、白色とは異なり多くの特典があります。
この記事では不動産所得の基礎知識や青色申告の方がメリットが多い理由を解説します。
青色申告で不動産所得を計算するポイントも紹介するため、不動産所得の青色申告をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
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不動産所得とは?事業所得との違いを解説
まずは不動産所得と事業所得の違いを解説します。不動産所得とは賃貸物件の家賃収入や看板の使用料、駐車場収入などがあります。最近増えているトランクルームやコンテナの貸し出しも不動産所得です。
事業所得は、不動産所得と同様に家賃収入や駐車場収入がありますが、不動産所得よりも規模が小さいため事業所得になります。
不動産所得とは「家賃収入がある場合」
不動産所得とは、不動産という資産を他人に貸したときに受け取る所得です。関係する資産は、土地や建物、住む場所に関する権利です。具体的には次の3つがあてはまります。
- 土地や建物などの不動産の貸付け
- 地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
- 船舶や航空機の貸付け
所得を求める計算式は「総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得の金額」で求められます。
総収入金額とは以下のとおりです。
総収入金額 |
・名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの ・敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの ・共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など |
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必要経費とは以下のとおりです。
総収入金額 |
・固定資産税 ・損害保険料 ・減価償却費 ・修繕費 |
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事業所得とは「不動産の貸付のほかにサービスの提供がある場合」
事業所得とは、不動産の貸付け以外で商品やサービスの提供を提供した際に得る所得です。
事業的規模の判定
不動産所得と事業所得のどちらで処理すべきか判断する際は、不動産賃貸による収入が占める割合を考慮します。賃貸収入が事業への負担が比較的小さい場合は、事業所得です。
賃貸収入が事業所得なのか不動産所得なのかを決めるには以下の方法があります。
5棟10室基準 | ・アパート等は、貸付できる独立室数が、おおむね「10室」以上であること。 ・家屋の貸付けは、おおむね「5棟以上」であること。 |
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5台1室基準 | 駐車場は5台分でアパート1室分となり50台以上が対象 |
白色申告 | 10万円 |
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青色申告 | 10万円(現金主義適用者・簡易簿記による記帳) |
青色申告特別控除 | 55万円(複式簿記による記帳) |
青色申告特別控除 | 65万円(55万円控除の要件に加え電子帳簿による保存・e-Taxによる申告) |
2. 身内への給与支払いが経費となる(専従者給与)
事業の専従者である家族への給与の支払い分が、収益から控除できる経費として計上できます。
「事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額」もしくは以下の表の金額を比較し、低い方を採用します。
事業主の配偶者 | 86万円 |
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事業主の配偶者以外 | 1人につき50万円 |
3. 損失の繰越が認められる(3年間)
不動産所得を青色申告することで、損失の繰越ができます。青色申告では、最長3年分の累積損失を申告し、課税所得を減らすために利用ができます。
適用を受けるには、毎年申告時に所得のマイナス分の金額を申告しなければなりません。
不動産所得を「青色申告」で行うデメリット2つ
不動産所得を青色申告で行うデメリットは以下の2つです。
- 帳簿作成が簡易的なものでは認められない
- 届出の提出タイミングによっては申告年度の適用が受けられない
1. 帳簿作成が簡易的なものでは認められない
青色申告では、簡易記録での帳簿作成は認められていません。納税者は領収書などの経費の整理から帳簿を作成し書類の保管しておく必要があります。
必要な帳簿の記載方法は以下のとおりです。
現金出納帳 | 不動産貸付用の現金の出し入れ状況を取引順に記載 |
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収入帳 | 貸家や貸地などの不動産ごとに、賃貸料や礼金、敷金、更新料、共益費を記載 |
経費帳 | 不動産の貸付に係る費用を租税公課、修繕費、地代家賃、給料賃金に分けて記載 |
固定資産台帳 | 不動産貸付用の減価償却資産を個々の減価償却資産ごとに記載。取得日や異動があった日の記載も必要 |
2. 届出の提出タイミングによっては申告年度の適用が受けられない
届出書の提出時期によっては、申告年度に青色申告の適用が受けられない場合があります。開業初年度は開業届と一緒に提出することで漏れを防止できます。
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出することで適用が受けられます。新たに開業した場合、その年の1月16日以後、事業開始等の日から2月28日または29日以内であれば可能です。
青色申告で不動産所得を申告するときに認められる経費一覧
不動産所得の申告で使われる主な経費科目は以下のとおりです。
旅費 | 事業で使用している事務所へ行くための交通費 |
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交通費 | 事務所以外の場所へ移動するときの交通費 |
消耗品費 | 事務用品代など |
地代家賃 | 土地を借りて建物を建て、建物を貸し出している場合に地主に支払う地代 |
水道光熱費 | 賃貸物件の共用部分の電気代や水道代など |
通信費 | 電話代や切手代、振込手数料など |
荷造運賃 | 宅配便の費用など |
租税公課 | 固定資産税や事業税、登録免許税、印紙代など |
広告宣伝費 | 入居者募集のために支払った広告宣伝費 |
修繕費 | 賃貸している建物等の修繕のために支払った費用 |
車両費 | ガソリン代や車両にまつわる修繕費用 |
青色申告で不動産所得を計算する5つのポイント
青色申告で不動産所得を申告するには、控除を受けられるメリットを生かすために計算方法を知っておくと役立ちます。主に挙げられるポイントは5つあります。
- 貸倒損失を計算する
- 専従者給与の届出は事前に提出する
- 減価償却をする
- 賃貸物件を売却した場合は「譲渡所得」として申告する
- 修繕費は経費として計上する
1. 貸倒損失を計算する
貸倒損失とは、未収家賃や売掛金などの債権が回収できなくなった場合に、その金額を損失として計上することです。貸倒損失の金額は費用とみなされ、所得から控除できます。
計算方法は簡単で、テナントが負担した金額から家賃の原価を差し引き、残った金額が損金算入される金額です。不動産所得の場合、貸倒損失はテナントが家賃を滞納し、債権が回収できない場合に発生します。
2. 専従者給与の届出は事前に提出する
専従者給与は、事前に税務署に届け出を提出しなければなりません。届け出に記載した金額と同額を毎月支給します。
未払金で月末に残高を残すこともできないため、経費にできるメリットはありますが、支給可能な金額を設定する必要があります。
3. 減価償却をする
減価償却費は、課税対象となる不動産所得を減らすために利用できます。一般的に定額法による償却が認められています。
控除を適用するために、建物や設備の取得価額と償却できる年数の把握が必要です。事業用として所有しているか、個人的に使用している賃貸物件であるかを確認する必要もあります。
4. 賃貸物件を売却した場合は「譲渡所得」として申告する
賃貸物件を売却した場合は「譲渡所得」として売却収入を確定申告が必要です。金額は一般的に通常の所得よりも低い税率で課税され、分離課税として申告します。売却益は通常の賃貸経営に関わる所得とは別に計上する必要があります。
5. 修繕費は経費として計上する
不動産に関連する修繕費は、事業を行うための費用とみなされるため、経費として計上可能です。修繕に付随する費用も計上でき、人件費や材料費・消耗品費なども含まれます。
修繕費は内容により「雑損控除」の適用もありますが、経費として収入と相殺し申告するのが一般的です。
まとめ
青色申告は、不動産所得のある方が税金の控除を受けられるため、有利な申告方法です。不動産所得で青色申告書を作成する際の5つのポイントと、控除できる経費の一覧を解説しました。青色申告のルールを理解することで、メリットを最大限に活用できます。
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1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。
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