【確定申告最新版】事業所得の経費はどこまで?項目一覧と6つの節税対策
- 個人事業主や中小企業経営者はどんなものが必要経費にできるの?
- 事業所得にできる必要経費はどこまでなの?
- 確定申告の際に節税するためにはどうすればいいの?
確定申告を初めて行う方にとってよくあるのが「事業所得に使える経費はどのくらいまでなの?」という疑問です。
確定申告の必要経費の項目や計算方法は覚えてしまえば簡単です。
この記事を読めば事業所得の経費にどんなものがあるか、またその判断基準、節税方法まで丸ごと分かるようになります。「そもそも事業所得とは何かよく分かっていない」という方、必見です。
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そもそも事業所得とは
確定申告で使える事業所得の経費について知る前に、そもそも事業所得について理解していない方に向けて、事業所得について解説します。
事業所得とは事業を営む中で生じる所得のこと
事業所得とは、何らかの事業を営む中で生じる「事業収入ー必要経費」のことです。事業とは職人、ハンドメイド作家、ライター、エンジニア、デザイナー、プログラマーなど、生活に必要な収入を得ている事業であれば全てが該当します。
注意したいのは「継続した事業」でなければならないことです。特定の限られた日数で仕事をして得られた収入は含みません。
事業所得は青色申告でのみ適用可能
事業所得は青色申告でのみ使用できます。開業届を出していない状態での白色申告では使えません。
青色申告は白色申告にはない優遇措置がありますが、事業所得もそのうちのひとつです。事業所得には10万円、あるいは55万円(要件を満たせば65万円)の特別控除が利用できるのです。
事業所得にならない所得もある
事業所得にあたらない所得のうち、間違えやすいのは以下の2項目です。
- 「譲渡所得」
銀行や手形といった利子所得や賃貸からの不動産所得などは「譲渡所得」にあたるため、事業所得にはなりません。
- 「雑所得」
専業ライターではない人が得た原稿料や専業の講師ではない人が得た講演料など、臨時的な報酬は「雑所得」のため、事業所得にはあたりません。
事業所得の経費にあてられる勘定科目20項目
事業収入における必要経費はどのようなものが当てはまるかを、6カテゴリーに分けて説明します。全てを把握して覚える必要はありませんが、覚えておくべきものをピックアップしていきます。
- 人に支払う費用
- 物品にあてる費用
- 不動産関連の費用
- 取引にかかわる費用
- その他の費用
- 保険と税金にかかわる費用
人に支払う費用
給料賃金 | 従業員に支払う給料のこと |
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外注工賃 | 塗装や工事など外部の業者に支払った費用のこと |
福利厚生費 | 従業員のために支払った住宅・飲食・交通費・慶弔見舞金など多様な費用のこと |
人に対して支払う費用に関して、特に注意すべきポイントは上記のものが挙げられます。特に注意したい点は「福利厚生費」です。
法人格を持つ会社であれば問題はありませんが、個人事業主自身や個人事業主の家族には福利厚生費は使えません。個人事業主がもし福利厚生費を使う場合は「家族以外」の従業員がいるときのみです。
物品に支払う費用
減価償却費 | 10万円以上の固定資産の耐用年数似合わせて分割される費用のこと |
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荷造運賃 | 商品を販売するときに生じた荷造費や発送費のこと |
修繕費 | 経営に必要な建物を修理するときに使った費用のこと |
消耗品費 | 電池や帳簿、文房具など短期間で使うものの購入費のこと |
通信費 | スマホやパソコンなどの接続代のこと |
減価償却費は、10万円以上の高額商品を1年ずつ分割して経費として計上するものです。計算方法は「取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」で算出します。
消耗品費については注意が必要です。事業で使うボールペンやメモ帳といった小さな出費のものは経費にするのは面倒、という方も多いです。ただ塵も積もれば山となるように、一年単位で見ればなかなかの金額になってしまいます。
事業にかかわるものであれば原則的にほとんどが経費になるため、しっかり領収書を保管しておくようにしましょう。
不動産で支払う費用
地代家賃 | テナントや土地を借りている場合の賃貸費用のこと |
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固定資産等の損失 | 事業に使う固定資産の取り壊しや滅失、処分などによる損失費用のこと |
オフィスがある土地のオーナーに払う費用や、事業用の自動車や機械装置をなどの処分費用も、必要経費に計上できます。
固定資産等の損失に関しては「処分」がポイントです。捨てなかったとしても使わずに既に放置している機械装置やその他物品などは経費にできるので、注意しましょう。
取引にかかわる費用
旅費交通費 | 取引先や出張先などに行くためにかかった交通費のこと |
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広告宣伝費 | チラシ、試供品など自社の製品やサービスを宣伝するときにかかった費用のこと |
接待交際費 | 取引先をもてなしたり会食をしたりしたときにかかった費用のこと |
営業活動に関わる費用のうち、上記3項目は確定申告で頻繁に使います。特に旅費交通費は領収書を取ることが難しいため出金伝票に記載したり、ICカードの履歴をコピーしたりしておくことが求められます。
保険と税金にかかわる費用
租税公課 | 国や地方に納める租税と公共団体に納める公課を合わせた費用のこと |
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損害保険料 | 商品やオフィスなどの事業に使われる資産に対しての損害保険料費用のこと |
税金・保険にかかわる費用も必要経費として数えられます。租税公課の内訳は印紙税や固定資産税・都市計画税、自動車税・軽自動車税、個人事業税など多岐に渡りますが、消費税は含まれないので注意してください。
商品が傷ついた場合や事務所が損害を受けた場合などもあるでしょう。この場合に保険料がおりた時は損害保険料として計上できます。
その他の費用
繰越資産の償却費 | 支出効果が10年以上に及ぶ支出を償却(分割)した費用のこと |
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貸倒金 | 取引先から回収できなくなった損失費用のこと |
利子割引料 | 借入時の利息と報酬の手形を現金に変えるときの割引料の費用のこと |
繰越資産の償却費の例は、会社設立のための創立費や開業費、株式発行費などが挙げられます。個人事業主であれば気にしなくても大丈夫です。
確定申告で注意したい経費の項目5つ
個人事業主が家賃やスマホ代などを経費にする場合、いくつかの注意点があります。以下の費用は、基本的に全額を経費にあてられないと覚えておきましょう。
- 家賃
- スマホ代
- 光熱費
- ガソリン代
- 自動車の購入費
家賃
自宅で事業をしている場合、家賃を経費に算入することが可能です。全額算入は難しく、最大で5割程度だと思った方がよいでしょう。
これは「家事按分」と呼ばれる考え方に基づくものです。家事と仕事を完全に切り離し、事業で使っている割合がどれくらいかを部屋の面積、滞在時間などから考えます。
スマホ代
スマホ代は仕事で使うことが多いケースであれば、高い確率で経費として認められます。「営業や仕事の打ち合わせで電話を使う」ということを税務署に説明して、経費を計上できます。
水道などの光熱費
電気代はある程度経費として認められることがあります。自宅の水道代やガス代は、調理関連の事業をしているといった、明確な使用目的がない限りは経費算入は難しいです。
ガソリン代
自家用車を仕事でも使っている場合は、事業使用の割合に応じて経費計上が可能です。ある程度車を使う理由を説明できるようにしておくといいでしょう。
自動車の購入費
業務上必要という場合は、車の購入費は経費に入れることができます。名義も個人名義で構いません。
購入費用の全額をまとめて経費とすることはできず、「減価償却費」として算入することになります。購入費はそのまま固定資産として計上します。
事業所得における6つの節税対策
事業所得のメリットはいろいろな控除や経費算入がしやすいという点にあります。以下の説明で上手な利用法を覚えて、効果のある節税をしましょう。
- 青色申告は必須
- 短期前払費用特例を利用する
- 少額減価償却資産の特例を利用
- 個人年金や介護医療保険に加入する
- 小規模企業共済に加入する
- ふるさと納税を使う
青色申告は必須
青色申告ができるのは事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある人のみです。青色申告による確定申告で、最大で65万円もの控除を受けることができます。白色申告では最大で10万円のため、そのメリットはかなり大きいです。
短期前払費用特例を利用する
レンタルサーバー代やドメイン費用などは、1年間の前払い、もしくはまとめ払いができます。こうした代金は通常同じ時期の経費としては入れられません。
契約書がある・料金の支払いが実際にあるなどの条件を満たせば、経費としてまとめて算入できます。
少額減価償却資産の特例を利用
通常は10万円以上の物品購入は、減価償却をする必要があります。購入費は分割して何年にもわたって経費算入することになります。
青色申告をしている場合、30万円未満のものについてはまとめて経費算入ができるのです。経費がぐっと大きくなるので、節税効果も高くなります。
個人年金や介護医療保険に加入する
保険などの支払い分は、所得控除の対象となります。具体的には生命保険、個人年金、介護医療保険などがあります。
個人事業主の場合は年金保障が少なくなってしまうため、将来に備えるという意味でも個人年金に加入することには意味があります。しかも、控除対象とできるので、税額を抑えることにもなって一石二鳥です。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、主に個人事業主を対象とした共済制度です。事業廃業後の生活資金のために積み立てる「退職金制度」となります。
この掛金は全額所得控除が可能なうえ、事業資金の借入もできます。個人事業者・小規模企業経営者のための制度です。
ふるさと納税を使う
ふるさと納税は、自治体へ寄附をすると翌年の住民税が控除される制度です。返礼品としてその土地の特産品がもらえるほか、確定申告において寄付金控除の対象になります。
会社員よりも控除上限額が大きいため、個人事業主はぜひ活用すべき制度でしょう。
事業所得の経費の計算方法が脱税と思われないためには
もし不自然なほど多額な必要経費が算入されていた場合、時として税務調査に発展することがあります。このとき「脱税だ」と判断され、追加の徴税を食らってしまうケースが後を絶ちません。
こうならないためにも正しい経費の計算方法を知っておきましょう。
節税も方法を誤ると脱税と見られるケースがある
節税は個人で事業をやる上では欠かせませんが、脱税と見られるケースもあります。ポイントは、事業規模に見合った経費の額や計上数かどうかです。大きな収入がないのにやたらと接待費などの経費が多いのであれば、明らかに事業支出とは見なされないでしょう。
高額な自動車や物品の購入を繰り返し、経費として入れるというのもリスキーです。家賃やスマホ代などの経費算入が可能なものでも、算入割合が高いと指摘を受けることもよくあります。
間違いなく節税したい場合は税理士に相談するのが有効
安全な節税対策というのは、素人には線引きがかなり難しいところです。この分野におけるプロである税理士に依頼するのがベストでしょう。
税理士は素人が知らないような効果的な節税対策を知っています。もちろん、税務署の指摘を受けないような、安心の方法を採ってくれます。
たとえある程度の費用を支払うことになるとしても、元を取る以上の効果がありますので、是非とも相談してみましょう。
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昭和50年生まれ大分県生まれ。埼玉県さいたま市西区在住個人の税理士事務所での勤務5年、税理士法人での勤務7年を経て、平成25年2月に独立。埼玉県さいたま市で中小企業・個人事業主の新規設立から経営コンサルまで、クライアントのニーズに合わせたトータルサポートを実践している。最近では、事務所のIT化にも積極的に取り組み、ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを始動し、クライアントは全国に。
その時、家事按分を行って、仕事で使った割合を算出して、その割合で経費化する金額を決定していくこととなります。その際、注意して頂きたいのは、実態に即しているかどうかです。その一つの目安としては、算出した割合の根拠をきちんと説明できることが挙げられます。
もし説明できずに、適当に決めたと税務署に思われたら、割合自体を過去に遡って修正するなんてことも起こり得る話ですので、その割合の根拠を説明できるかの観点は意識していきましょう。
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