合同会社設立の必要書類は?自分でできる手順を解説

青木征爾税理士事務所
監修者
青木征爾税理士事務所 税理士 青木征爾
最終更新日:2022年12月27日
合同会社設立の必要書類は?自分でできる手順を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 設立に必要な書類と手順は?
  • 設立手続きを自分でするか専門家に依頼するほうがいい?

「合同会社を自分で設立したい」という方必見!

この記事では、自分で合同会社を設立するための必要書類と手順について解説。 合同会社の設立は、手順と必要書類がわかれば自分で手続きができ設立まで完了できます。

必要書類を事前に把握しその書類を提出する順番が分かっていなければ、時間と手間がかかります。最後まで読めば、必要な準備と書類の提出手順、自分でできない場合に専門家に依頼するかどうかの判断基準にもなりますので、ぜひ参考にしてください。

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合同会社設立に必要な書類とは

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合同会社を設立するためには、定款をはじめ以下の書類を用意する必要があります。

  • 定款
  • 登記のために必要な書類
  • 定款2部(会社保存用と法務局提出用)
  • 代表社員の印鑑証明書
  • 払込証明書
  • 印鑑届書
  • 代表社員就任承諾書(場合によって必要)
  • 本店所在地及び資本金決定書(場合によって必要)

定款

定款とは、法人の組織や運営に関する基本的な規定を定めた憲章のことです。法人を設立する際に提出する必要がある書類の一つで、法人の組織や運営のあり方を定めます。

定款には、法人の名称、資本金をはじめ、会議の開催や決定の仕方などが記載されます。法人を設立する際に提出するだけでなく、法人が運営される上で重要な「決まり」として、法人の運営に従って守られるものです。

登記のために必要な書類

株式会社の設立と同様に、定款以外に準備しなければならない書類があります。1つでも不足すると法務局から書類不備で差し戻し、もしくは連絡がきてしまいます。

書類が添付されていて内容について質問される場合は、電話でのやりとりで終わります。電子の場合、改めて必要書類を全て添付し直すこともあるため、注意が必要です。

  • 定款2部(会社保存用と法務局提出用)
  • 代表社員の印鑑証明書
  • 払込証明書
  • 印鑑届書
  • 代表社員就任承諾書(場合によって必要)
  • 本店所在地及び資本金決定書(場合によって必要)

定款2部(会社保存用と法務局提出用)

会社保存用と法務局提出用に2部必要です。法務局に提出した定款は手元に返却されないので予備を持っておくのがよいでしょう。

電子定款の場合、定款PDFのほか、電子認証用のコードが一緒に貼付されなければなりません。ファイルごと貼付することで、添付漏れによる不備を防止できます。

代表社員の印鑑証明書

使用する印鑑証明書は、代表個人の印鑑証明書です。個人の印鑑を実印登録していない場合は、役所で実印登録を済ませ印鑑証明書を発行します。

実印登録は、すぐにできるので印鑑証明書を発行するときでも問題ありません。発行から3カ月以内のものであれば有効なので、事前に準備しておく方がよいでしょう。

払込証明書

払込証明書は、合同会社側が受け取ったことを証明する領収書のようなイメージです。証明書には次の記載が必要です。 

  • 払い込みを受けた金額
  • 日付
  • 払込みを受けた法人名
  • 法人代表者名

取引明細表や預金通帳の写し、代表社員の作成に係る出資金領収書等を合わせてとじます。

振込みに関する部分にマーカー又は下線を付しましょう。設立時には法人口座がないため、代表者個人の通帳を利用しているからです。プライベートな預金の出入りの記載と一緒なので、必ず出資金とわかるようにしておきましょう。

印鑑届書

設立登記と同時に、法人印の実印登録ができます。専用の用紙を法務局のHPからダウンロードし、登記書類に添付します。

法人の印鑑証明書発行には必ず印鑑カードが必要になります。直接法務局に出向いて申請する場合はカードの持参、電子で申請する場合は印鑑カードの番号が必要です。

印鑑カードの発行依頼書も法務局のサイトからダウンロードし、依頼書も一緒に貼付しておけば郵送で受け取れます。

代表社員就任承諾書(場合によって必要)

代表社員就任承諾書は、代表社員になることを承諾した証明書です。代表社員は、株式会社であれば「代表取締役」にあたる人です。

合同会社の出資者が複数人いる場合、全ての人が「社員」扱いになるため、代表社員を1名決めておく必要があります。「ひとり社長」のように「ひとりだけ」の場合は不要です。

代表社員就任承諾書に記載する内容は、次のとおりです。

  • 就任を承諾した日付
  • 承諾書作成日
  • 承諾した法人名
  • 承諾した代表社員   
  • 就任を依頼した法人名

本店所在地及び資本金決定書(場合によって必要)

以下の3つが定款で規定されていない場合、本店所在地及び資本金決定書が必要です。

  • 詳細な本店所在地住所
  • 設立時の代表社員
  • 設立時の資本金の額

定款作成時にすでに決まっているのが通常ですが、何らかの理由で決まっていない場合もあります。

詳細な住所とは、番地まで記載している住所のことを指します。「本店を〇〇県〇〇市に置く」などの場合は作成が必要がです。

同様に「問う会社の資本の総額は、金〇〇万円とする」「当会社の設立時の代表社員は、〇〇とする」と金額や社員名が記載されていない場合も、本店所在地及び資本金決定書の作成が必要です。

合同会社設立の必要書類作成のための準備とは

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必要書類を作成するためには準備が必要です。穴埋めのように作成できる書類もありますが、設立する合同会社の内容に合わせて、イチから作成する場合もあります。

定款作成のための準備

定款には、以下の3つの記載が必要です。この3つを網羅した定款の雛形は日本公証人連合会のHPにあります。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

合同会社の場合、株式会社のように定款認証の手続きを受ける必要はありませんが、定款は「会社の決まり」であり重要です。

絶対的記載事項

絶対的記載事項の代表的な例は次の6つです。

  • 商号(会社の名前)
  • 事業目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所

事業目的は、将来取り組むであろう内容も先に記載しておくことができます。追加することもできますが、記載している事業を設立時にする必要はないので、将来的な手間を省けます。

相対的記載事項

相対的記載事項の代表的なものは次の4つです。

  • 業務を実際に行う社員(執行社員)の定め
  • 代表社員の定め(社員が複数人いる場合)
  • 利益の配当に関する事項(出資金額にかかわらず自由に決定)
  • 社員の退社に関する定め(出資金額の払い戻しに関するルール)

上記の記載があれば、相対的記載事項は記載されていると判断できます。

任意的記載事項

任意的記載事項とは「任意」という言葉の通り、法律に違反しないもので合同会社のルールとして記載できる内容です。多くの合同会社が規定しているものは以下の4つがあります。

  • 社員総会の開催条件と権限
  • 会社の事業年度
  • 代表社員の人数
  • 社員の報酬に関する事項

「会社の事業年度」と「社員の報酬に関する事項」の2つについては、法人税の計算に影響が出るので決めておくのがよいでしょう。

定款作成と同時進行できる準備がある

定款と同時に「印鑑の作成」をしておくと、定款作成後の流れがスムーズに流れます。印鑑は「実印」のほか「銀行印」「角印」は実務上、必要になる場面があります。

場合によっては「認め印」を別に作成している法人もありますが、必須ではありません。

税務上の届出

合同会社は、株式会社と同様に法人税や消費税の申告対象になります。申告するためには届出が必要で、提出先は税務署と県税事務所、市区町村役場です。

提出先 必要書類
税務署 法人設立届(履歴事項全部証明書を添付)、青色申告の承認申請書
県税事務所 法人設立届出書(法人等の設立等の報告書)
市区町村役場 法人設立届出書(法人等の設立等の報告書)

社会保険の加入準備

社会保険に加入するには「健康保険・厚生年金保険新規適用届」が必要です。社会保険は、代表者でも加入しなければならず、代表者が加入していないと他のメンバーが加入できないので注意が必要です。

新規適用届と被保険者資格取得届を同時に提出することで、手続きにかかる時間を短縮できます。

ほとんどの手続きは電子申請可能!

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合同会社の設立手続きは、マイナンバーカードを利用することで電子申請できます。

マイナンバーカードがない方は、電子認証ファイルを作成することで電子申請が可能です。法人設立ワンストップサービスを利用すれば、法人設立登記の手続きから税務の届出まで一度にできます。

自分で合同会社の設立届出をしたい人は、一度法人設立ワンストップサービスを確認してみましょう。

定款認証は株式会社と異なり不要

合同会社の設立には、公証人役場での定款認証は不要です。定款認証にかかる手数料も必要ありません。

電子申請可能な手続き一覧

合同会社の設立は、電子申請可能なものばかりです。法人設立ワンストップサービスを活用すれば、税務署や県税事務所、市町村役場に提出する税務の届出も一度で完結します。

社会保険の手続きや、消費税のインボイス制度にかかわる適格請求書発行事業者の登録申請もできるので、郵送で申請するよりも大幅に時間と経費の短縮になります。

  • 設立登記の申請 ※合名・合資・合同会社用及び株式会社の定款認証同時申請以外用
  • 商業登記電子証明書の発行申請
  • 法人設立届出
  • 給与支払事務所等の開設等届出
  • 青色申告の承認申請
  • 棚卸資産の評価方法の届出
  • 減価償却資産の償却方法の届出
  • 申告期限の延長の特例の申請
  • 消費税課税事業者選択届出
  • 消費税簡易課税制度選択届出
  • 消費税課税期間特例選択・変更届出
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
  • 消費税申告期限延長届出
  • 適格請求書発行事業者の登録申請(国内事業者用)
  • 法人設立・設置届(都道府県)
  • 法人設立・設置届(市町村)
  • 申告書の提出期限の延長の承認申請
  • 事業所等新設・廃止申告
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届(2022年10月以降手続き)
  • 保険関係成立届(継続)(一元適用)
  • 雇用保険の事業所設置の届出(令和4年6月以降手続き)
  • 雇用保険被保険者資格取得届(令和4年6月以降手続き)
  • GビズIDプライムアカウント発行申請

※一部抜粋

まとめ

合同会社の設立は、事前に必要書類を確認しておくことで専門家に依頼しなくても簡単に設立できます。税務の届出も法人設立ワンストップサービスを利用すれば、同時にできるので時間短縮に繋がります。

どうしても自分で出来そうもないという場合には、専門家に依頼するのも選択肢に加えておくことで確実に合同会社が設立できます。

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監修者のコメント
青木征爾税理士事務所
税理士 青木征爾

札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。

合同会社の設立のメリットはいくつかあります。まずは設立費用が株式会社に比べ低い点が挙げられます。株式会社を設立する場合少なくとも20万円程度は費用が必要であるのに対し、合同会社は6万円程度の費用で設立できる場合があります。

また、株式会社には役員の任期が定めれれており変更や再任する場合は登記が必要です。これに対し合同会社の社員(株式会社でいう役員)には任期の定めがありません。

個人事業主に比べ合同会社は税制上のメリットがあります。代表的なものとしては欠損金の繰越です。個人事業主は損失の繰り越しは最大3年しか認められませんが、合同会社が青色申告法人であれば欠損金を最大10年繰り越すことができます。

ただし、デメリットもあります。個人事業主は損失が生じた場合は所得税がかかりませんが、合同会社のような法人の場合は損失が発生した事業年度であっても地方税の均等割を納付しなければなりません。均等割は地域によって金額が変わりますが年間7万円の地域が多いです。

合同会社の設立を考えている方はメリット、デメリットを把握したうえで検討してみてはいかがでしょうか。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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