準確定申告の必要書類は?準確定申告が必要なパターン5つを徹底解説

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年05月16日
準確定申告の必要書類は?準確定申告が必要なパターン5つを徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 準確定申告とは?
  • どのような場合に準確定申告が必要なのか?
  • 準確定申告に必要な書類とは?

「故人の所得税に関する手続きが必要だが、準確定申告がよくわからない…」という方必見!

この記事では故人の収益や資産があり、相続人になっている方に向けて、準確定申告が必要なパターンや必要書類について解説します。最後まで読めば、準確定申告の手順もわかります。

準確定申告は、税務署に提出する書類に必要な情報を記載し、提出することで納税義務を履行できます。準確定申告で注意すべきポイントも紹介するため、準確定申告を行うことに対する不安や疑問がある方はぜひ参考にしてください。

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準確定申告とは

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準確定申告とは、故人の所得税を申告して納付するため、遺族が代理で手続きを行うことです。相続人全員が共同で確定申告を行い、確定申告書と必要な添付書類を提出します。

故人が生存していた期間の所得金額と税額を計算し、相続が開始された日から4カ月以内に申告と納税を行う必要があります。

準確定申告と確定申告の違い

準確定申告は、故人の所得に対して、相続人が自己申告して納付するものです。確定申告は自己の収入や経費などを申告し、所得や財産評価に基づいて納税額を計算して納付するものです。それぞれの申告時期や申告先には違いがあるため、以下の表で確認してください。

  準確定申告 確定申告
申告期限 相続開始の翌日から4カ月以内 1月1日から12月31日までの所得を翌2月16日から3月15日までに申告
申告者 相続人等全員 納税者本人
申告先 故人の住所を管轄する税務署 納税者本人の住所を管轄する税務署
保険・医療費の控除 故人が亡くなった当日までに支払った金額 1年間の通算金額
配偶者控除・扶養控除 亡くなった当日の状況が対象 12月31日の状況が対象

準確定申告が必要なパターン5つ

準確定申告が必要なケースはいくつかあります。以下では、具体的な5つのパターンを解説します。

  1. 故人が死亡した年の確定申告が未提出の場合
  2. 遺産が現金や不動産などで相続人がいる場合
  3. 遺言や贈与による贈与税の申告が必要な場合
  4. 給与が2,000万円を超えている場合
  5. 公的年金による収入が400万円を超える場合

1. 故人が死亡した年の確定申告が未提出の場合

故人が死亡した年の確定申告が未提出の場合、故人の所得税や贈与税、相続税などを申告するために、故人の準確定申告が必要になります。故人の代理人は、準確定申告により、故人が生前に納めるべきだった税金を自己申告して納付することになります。

2. 遺産が現金や不動産などで相続人がいる場合

遺産が現金や不動産などの形で相続人がいる場合、相続財産がある限り準確定申告が必要です。相続財産は、相続人が受け取る際に相続税が課せられる財産のことで、相続人はその財産を受け取った時点で、準確定申告を行い、相続税を納付します。

不動産である場合、その価値に応じた相続税が課せられるため、相続人は相続財産の不動産の評価額を準確定申告を行い、相続を納付します。

3. 遺言や贈与による贈与税の申告が必要な場合

遺言や贈与による贈与税の申告が必要な場合、準確定申告が必要です。遺言により相続人に贈与される財産や、贈与により受け取った財産は、贈与税が課されます。

相続人や贈与を受けた人は、贈与税の対象となる財産に、その価格を準確定申告で申告し、相続税や贈与税を納付します。

4. 給与が2,000万円を超えている場合

給与が2,000万円を超えている場合も、準確定申告の対象です。所得税法では、年収が一定額を超える場合は確定申告が必要です。

2021年の所得税法改正により、一定額の基準が引き上げられ、2022年以降は年収が2,000万円を超える場合に確定申告が義務化されています。

5. 公的年金による収入が400万円を超える場合

公的年金による収入が400万円を超える場合は、確定申告が必要になります。公的年金は、厚生年金や国民年金、共済年金などが含まれます

公的年金による収入が400万円を超える場合、源泉徴収税額が不足している可能性があるため、確定申告を行い、不足分を納付しましょう。医療費や介護費などの控除が適用される場合があるため、確定申告により税金の還付を受けられます。

準確定申告が不要なパターン3つ

準確定申告の手続きは、すべての場合で必要ではありません。一定の条件を満たす場合には、準確定申告を行わずに済む場合があります。以下3つのパターンに当てはまる場合は、準確定申告が不要なため、参考にしてください。

  1. 会社で年末調査がされている場合
  2. 給与以外の所得が20万円以内の場合
  3. 年間400万円以内の公的年金を受給で、その他の所得が20万円以内の場合

準確定申告の必要書類一覧と書き方

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準確定申告は、遺族や相続人が故人の死後に行う申告であるため、必要書類を正確かつ的確に集めて作成しましょう。ここでは、準確定申告に必要な書類の一覧と書き方を説明します。

  1. 源泉徴収票
  2. 控除証明書
  3. 医療費の領収書
  4. 収支内訳書・青色申告決算書(事業所得がある場合)
  5. 確定申告書
  6. 確定申告書付表
  7. 委任状

1. 源泉徴収票

源泉徴収票とは、給与や退職所得などの所得に対して源泉徴収された税金の金額を示す書類です。源泉徴収票には、給与支払者や年金機関の名称・住所、受取人の氏名・住所・生年月日・受取金額、源泉徴収された税金の金額などが記載されます。

これらの情報をもとに、準確定申告で所得税や住民税の計算を行います。 源泉徴収票は、給与支払者や年金機関から受け取りましょう。

2. 控除証明書

控除証明書とは、雇用者から受け取れる所得税や住民税の控除額を証明する書類です。主なものに、社会保険料や医療費、寄附金、住宅ローン減税などがあります。

準確定申告においては、源泉徴収票には反映されていない控除額を申告するため、控除証明書の提出が必要です。控除証明書は雇用者からもらえるほか、医療費控除や寄附金控除の場合は直接医療機関や寄附先からもらえます。

3. 医療費の領収書

医療費の領収書は、医療費控除を受けるために必要な書類の1つです。領収書は、医療機関名や医師名、患者名、診療日、診療科目、診療内容、支払金額などが記載されたもので、原本である必要があります。

複数枚ある場合は、その合計金額を算出したものを別途添付する必要があります。控除額は年度ごとに限度額があり、金額の上限に達する場合は、それ以上の金額は控除できません。

4. 収支内訳書・青色申告決算書(事業所得がある場合)

収支内訳書・青色申告決算書は、自営業やフリーランスの事業所得を申告する際に提出する書類です。収支内訳書には、取引先や取引日時、支払い先や支払い方法、商品名やサービス名、金額などが含まれます。

青色申告決算書は、売上高や経費、利益などが記載されます。これらの書類は、事業所得を申告する場合に必要な書類となるため、正確かつ詳細に記載しましょう。

5. 確定申告書

確定申告書は、日本国内に所得を得た人が、その年の所得税や住民税を納めるために、税務署に提出する書類のことです。書類には、所得税・住民税の課税対象となる所得の金額、控除額、税額、納付金額などが含まれます。

申告書に不備がある場合は、税務署から指摘があり、再提出が必要になる場合もあるため、記入はていねいかつ正確に行ないましょう。

6. 確定申告書付表

確定申告書付表は、確定申告書に添付する書類の1つで、所得税や住民税などの納税額を計算するための情報を記入します。具体的には、所得の種類ごとに必要な控除額や源泉徴収税額などを明記し、合算した金額を確定申告書に転記します。

記入方法には、申告書付属説明書に記載されている手順に従って記入しましょう。

7. 委任状

委任状とは、他人が代理で申告を行うための書類であり、準確定申告において必要になる場合があります。委任状には、代理人の氏名や住所、委任する期間などを記載しましょう。

代理人が委任状を提示することで、本人の署名や印鑑証明などの手続きが不要となります。

準確定申告を行う手順

以下では、準確定申告を行う手順を詳しく解説します。実際に申告作業を行う場合に参考にしてください。

1. 故人の所得を確認 給与や退職金、不動産の賃料収入、株式投資の利益などから確認する
確認には、故人の源泉徴収票や住民票、銀行口座の通帳などが必要
2. 所得税の計算 計算方法は、故人の所得とその年の税率を使い、税額を算出する
確定申告書や特定口座振替申請書、源泉徴収票などが必要
3. 相続人同士で協力して準確定申告書を作成 相続人全員で協力して準確定申告書を作成し、不備がないようチェックする
準確定申告書は、故人の所得や納税額などを記入する書類のこと
4. 準確定申告書と添付書類を提出 準確定申告書と必要な添付書類をまとめて税務署に提出する
故人の源泉徴収票や住民票、相続人の印鑑証明書などが必要
5. 納税 振込みや現金払い込みで納税する
期限を過ぎると遅延税や罰金が課せられる可能性があり、期限内に納税することが大切

準確定申告で注意すべきポイント3つ

準確定申告を行う際は、注意すべきポイントがあります。把握しておくことで、申告書の不備や漏れを防止し、円滑な手続きを進められるでしょう。ここでは、準確定申告を行う際に特に注意すべきポイントを解説します。

  1. 申告期限や納付期限を守る
  2. 還付金が相続税の対象になる
  3. わからない場合は専門家に相談する

1. 申告期限や納付期限を守る

準確定申告は、故人が亡くなった日から数えて4カ月以内に申告と納税を行う必要があります。期限を守らないと、遅延税や罰金が課せられる可能性があるため、期限を守ることが大切です。

2. 還付金が相続税の対象になる

申告した所得税が還付された場合、その還付金は相続税の対象となることがあります。故人が死亡した時点で所得税の還付申請を行っていない場合、かつ相続人が申請を行い還付金を受け取った後は、相続財産として課税されます。

還付金が相続税の対象となるかどうかは、具体的な事情により異なるため、専門家への相談が重要です。

3. わからない場合は専門家に相談する

準確定申告において、自分で解決できない問題が発生した場合は、専門家への相談が重要です。たとえば、相続税や贈与税の詳細な計算方法がわからなかったり、確定申告書の書き方に自信がなかったりする場合は、税理士や税務署に相談しましょう。

専門家のアドバイスを受けることで、スムーズに準確定申告を行えます。

準確定申告はe-Tax申請が可能

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準確定申告もe-Tax申請が可能です。e-Taxは、国税庁が提供するインターネット申告システムです。所得税や消費税などの税金の申告や納税手続きがオンライン上で行えます。

準確定申告も、e-Taxを利用することで申告手続きを簡便化できます。詳しい手続き方法や注意点は、国税庁HPで確認しましょう。

よくある質問

準確定申告について、よくある質問をまとめました。準確定申告の提出や納税は期間が決まっているため、以下を参考にしながら余裕を持って手続きを進めましょう。

1. 亡くなった人の確定申告は必要か?

亡くなった人の確定申告は、その年に亡くなった場合に必要です。所得税や贈与税は、原則課税制度に基づいて課税されるため、亡くなった人が1月1日から死亡した日までに得た所得が課税対象となります。

2. 準確定申告の期限を過ぎた場合はどうなるのか?

準確定申告の期限が過ぎた場合は、速やかに申告と納税を行う必要があります。申告期限を過ぎると、申告漏れ金額に対して最大20%の遅延税が課せられます。

意図的な申告漏れや虚偽の申告を行った場合は、申告漏れ金額に対して最大40%の罰金が課せられる可能性があるため注意しましょう。

3. 準確定申告をしないとどうなるのか?

準確定申告をしない場合、遺族に対して多額の税金が請求される可能性があります。具体的には、申告期限を過ぎた時と同様に、申告漏れ金額に対して最大20%の遅延税が課せられます。

意図的な申告漏れや虚偽の申告を行った場合は、申告漏れ金額に対して最大40%の罰金が課せられることもあるため注意しましょう。

4. 亡くなった人の医療費控除はいつまで申請できるのか?

亡くなった人の医療費控除は、その年の所得税確定申告時に申請可能です。たとえば、2022年に亡くなった場合、2023年の確定申告時に医療費控除の申請を行います。ただし、医療費控除の適用期間は、亡くなった人の生前の医療費に限定されます。

まとめ

準確定申告は、税務署に提出する書類に必要な情報を記載し、提出することで納税義務を履行できます。提出する書類は必要事項の正確な記入が重要であり、期限内に提出することが求められます。

税務に関する知識や書類の記入に不安がある場合は、税理士に外注することも可能です。比較ビズは、2分ほどの簡単な情報入力で、全国各地の信頼できる税理士を探せます。スムーズで正確な準確定申告を行うために、ぜひ比較ビズへ相談から始めてください。

監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

会社は、その年の最後の給与支給時に在籍する従業員に対し、年末調整をしなければいけないこととなっています。

なお、従業員が年の途中で死亡して場合も、死亡前の最後の給与支給分までは年末調整をする必要があります。例えば、給与締め日が15日、支給日が25日の場合で、10月1日に死亡したときは、9月25日支給分の給与までが年末調整の対象となります。

また、9月26日〜9月30日分の給与は10月25日に支給されることとなりますが、この給与は相続人がその支給をうけることとなり、本来の相続財産として相続税の対象となります。そのため、被相続人の死亡後に支給される給与については所得税は課されませんので、間違えて被相続人の収入に含めてしまわないよう注意が必要です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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