相続分割調停とは?手続きや必要書類をまとめて徹底解説
- 相続分割調停とは?
- 相続分割調停の手続きは?
- 相続分割調停のメリットや注意点は?
「相続人同士で遺産相続のトラブルがあるが、相続分割調停が役に立つかわからない…」という方必見!
この記事では相続に関して家族間で意見や主張が対立している方に向けて、相続分割調停の手続きや必要書類について解説します。最後まで読めば、相続分割調停のメリットや注意点もわかります。
弁護士へ相談することで専門的なサポートを受けながら、円滑な遺産分割と公正な解決を実現できます。相続分割調停を弁護士に相談する費用相場も紹介しているため、相続の分割に関する公正な解決方法を探している方はぜひ参考にしてください。
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相続分割調停とは?
相続分割調停は、遺産を複数の相続人間で公平に分割するために行われる手続きのことです。遺産の価値や内容、相続人間の意見の違いなどから、分割に関する紛争が生じることがあります。
遺産をどのようにわけるか合意できない際や、遺産分割に関するトラブルが生じた際に、裁判所の介入を避けるために利用されます。相続分割調停は、法的手続きを通じて紛争を解決するための柔軟な手段として利用され、当事者の関係を保ちながら公平な解決を図ることが可能です。
相続分割調停の手続き
相続分割調停は、法的な専門知識や紛争解決のスキルを持つ調停委員の存在により、円滑に進められることが期待されます。相続分割調停の手続きは、家庭の事情により異なる場合がありますが、一般的な手続きの流れは以下のとおりです。
1. 申し立て | 相続人の中から調停委員を選出し、委員に相続分割の調停を申し立てます |
---|---|
2. 調停委員の選任 | ・相続人たちが調停委員を選出します ・調停委員は公平・中立な立場で遺産分割に関する調停を行います |
3. 調停の開始 | ・選出された調停委員のもとで、相続人たちは遺産の評価や分割方法に関する協議を行います ・調停委員は相続人の意見や要望を聴取し、公正な解決策を探求します |
4. 合意の形成 | ・相続人たちが調停の結果として合意に達することで、遺産分割の内容が決まります ・合意が公平かつ公正なものであることが重要です |
5. 調停合意の確定 | ・相続人たちが合意に達した場合、調停委員は合意を文書化し、調停合意書を作成します ・調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始され、裁判官により審判が下されます |
相続分割調停に必要な書類一覧
相続分割調停に必要な書類は、家庭の事情により異なる場合がありますが、一般的に以下の書類が必要です。申立書関係の書類は、裁判所HPからダウンロードできます。
- 申立書(当事者等目録や遺産目録、相続関係図、申し立ての実情)
- 収入印紙と郵便切手
追加で添付書類関係が必要です。以下の書類は、住所のある役所から入手しましょう。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した除籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本(3カ月以内の原本)
- 被相続人の住民票除票(廃棄済の場合は戸籍の附票)
- 相続人全員の住民票(3カ月以内の原本)
相続分割調停に必要な書類は、調停委員が紛争解決をサポートする際の重要な情報源となります。正確かつ完全な書類を提出することで、円滑な手続きと公正な解決を促進できます。
相続分割調停のメリット2つ
ここからは、相続分割調停のメリットを2つ紹介します。
- 公正かつ中立的に解決できる
- プライバシーが守られる
1. 公正かつ中立的に解決できる
相続分割調停は、公正かつ中立的な解決が可能です。裁判所から選任された一般の有識者が関与し、専門的な知識と公平な立場から紛争を解決できるでしょう。
調停委員は、すべての相続人の意見や要求を均等に考慮し、遺産の価値や法的な規定に基づいて公平な判断を下します。感情的な影響を最小限にしつつ、遺産分割の合理的な解決策を見つけることを重視します。
公正かつ中立的なアプローチにより、調停は個々の主張や感情に左右されることなく、客観的かつ適切な解決が可能です。
2. プライバシーが守られる
相続分割調停は、プライバシーの保護が確保されます。家族や親族の間での相続は、個々の関係性や感情に影響を与えることが多く、その過程は非常にプライベートです。しかし、公開される裁判手続きでは、個人的な情報が知られてしまう可能性があります。
調停手続きは当事者たちの個人情報が保護され、外部に漏れることはありません。感情的なトラブルや家族内の事情が公に知られることなく、遺産の分割を円滑に進められます。
相続分割調停をスムーズに進めるポイント3つ
ここからは、相続分割調停をスムーズに進めるポイントを3つ紹介します。
- 主張すべきことをしっかり伝える
- 譲れる点と譲れない点をはっきりさせる
- 隠し事をしない
1. 主張すべきことをしっかり伝える
相続分割調停をスムーズに進めるために、主張すべきことをしっかり伝えることが重要です。遺産の特定の資産や財産の取り分、遺産分割の方法など、具体的な要望を明確にしましょう。
自身の主張の根拠となる事実や理由を、具体的に示すことが重要です。財産の評価や法的な規定、過去の関わりなど、説得力のある根拠を持って主張をサポートしましょう。自身の主張を明確に伝えることで、調停の進行をスムーズにし、公平な結果を導くための土台を築けます。
2. 譲れる点と譲れない点をはっきりさせる
相続分割調停をスムーズに進めるために、自身の主張に関してどこまで譲歩できるか、どの点で譲れない立場を取るかを明確にすることが重要です。遺産分割の一部や分配比率など、譲歩可能な点を柔軟に検討しましょう。
譲れる点と譲れない点に関しては、その背後にある理由や根拠を説明することが大切です。調停委員や他の相続人に、なぜその点で譲歩できるか、なぜ譲れないかを理解してもらうことが重要です。
自身の主張に関して明確な譲歩のポイントを持ち、柔軟な協議と調整を通じて合意形成に向けて努力することで、相続分割調停を円滑に進められます。
3. 隠し事をしない
相続分割調停をスムーズに進めるためには、隠し事をせずにオープンなコミュニケーションを心がけることが重要です。遺産に関する情報や資産に関して、正確かつ適切に情報を共有しましょう。隠し事や情報の隠蔽は信頼を損ない、調停の進行を妨げる可能性があります。
隠し事をせずに率直なコミュニケーションを心がけることで、信頼関係を築きながら相続分割調停を進め、解決策を見つけるための基盤を強化できます。
相続分割調停の注意点2つ
ここからは、相続分割調停の注意点を2つ解説します。
- 時間と手続きの負担がかかる
- 自身の主張が必ず認められるわけではない
1. 時間と手続きの負担がかかる
相続分割調停は1カ月に1回程度の頻度で行われ、最低でも4〜5回のセッションが行われることが一般的です。結論が出るまでの所要時間は通常1年ほどかかりますが、場合により2年以上かかることがあります。一定の時間と手続きを要し、相続人たちの関与と協力が求められるでしょう。
遺産の評価や分割方法、合意形成のための討議など、多くの段階を通じて情報提供や意見交換が行われます。特に複雑な事情や紛争が存在する場合は、解決までに負担がかかることが考えられます。
2. 自身の主張が必ず認められるわけではない
相続分割調停は、自身の主張が必ずしも認められるわけではありません。調停は公正で中立的な立場から進行しますが、すべての相続人が自身の主張を100%とおすことは保証されていません。
調停委員は、公平かつ公正な解決策を見つけるためにさまざまな要因を考慮します。すべての主張や要求が一律に認められるわけではなく、遺産の実際の価値や法的な規定、相続人たちの状況などを総合的に判断します。
調停の目的は相続人間の合意形成や公正な解決を図ることであり、自身にとって満足のいく結果を導き出せない可能性があることを考慮しましょう。
相続分割調停を弁護士へ相談するメリット2つ
ここでは、相続分割調停を弁護士へ相談するメリットを2つ紹介します。
- 最大限の利益になるよう依頼人のために動いてくれる
- 他の相続人と直接顔をあわせなくていい
1. 最大限の利益になるよう依頼人のために動いてくれる
弁護士は、法的枠組みに従いながらも、クライアントの味方として行動します。クライアントの最大の利益を追求するために奮闘するため、弁護士を選ぶかどうかで結果が大きく変わる可能性があります。
大きな損失が予測される状況でも、弁護士に依頼することで損失額を軽減し、利益を最大化できる可能性があるでしょう。
2. 他の相続人と直接顔をあわせなくていい
相続分割調停に移行する過程で話し合いが難航すると、相続人同士の関係が悪化し、顔をあわせることが嫌になるケースがあります。しかし、弁護士に依頼することで、代理人として相手方と交渉してもらえるため、相続人同士が直接顔をあわせる必要はありません。
面と向かって伝えづらい事柄を、円滑に伝えられるでしょう。結果的に話し合いが円滑に進行し、自身にとって有益な結果が得られる可能性が高まります。
相続分割調停を弁護士に相談する費用相場
弁護士費用には、相談料や着手金、報酬金、実費手数料、日当などが含まれますが、主要な費用は着手金と報酬金です。着手金は、弁護士に依頼をする際に支払う料金で、調停が成功しなかった場合でも返金されません。報酬金は、調停が成立した際に支払われる報酬で、調停の成果に応じて支払われます。
着手金と報酬金は「経済的利益」の観点から計算する仕組みです。経済的利益とは、遺産分割の場合において、関連する相続財産の時価相当額を指します。相続分割調停を弁護士に相談する費用相場は、以下のとおりです。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下の部分 | 8% | 16% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 5%+9.9万円 | 10%+19.8万円 |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 3%+75.9万円 | 6%+151.8万円 |
3億円を超える部分 | 2%+405.9万円 | 4%+811.8万円 |
まとめ
弁護士に相続分割調停の相談をすることで、専門的なサポートを受けながら、円滑な遺産分割と公正な解決を実現できます。弁護士はクライアントの代理人として交渉に参加し、相手との合意形成に努めます。
比較ビズには、相続分割調停に詳しい弁護士が多数在籍しており、一括見積が可能です。弁護士はクライアントの状況や目標にあわせて適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。比較ビズの利用は完全無料であるため、まずは相談から始めてみてください。
岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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遺言状をしっかり作ったから、揉める心配はないと思っていませんか。確かに、遺言状をしっかり作成しておけば大丈夫と思いがちですが、遺言状に納得いかない等によってトラブルがないわけではありません。
遺言状は被相続人の最後の意思表示ですので尊重されますが、例えば、民法上定められている法定相続分を大きく下回る場合ですと、当該相続人は遺留分を主張してトラブルが発生するケースはあります。また、相続全員の同意のもとに、遺言状とは異なる遺産分割は認められます。
遺産分割で争いが発生した場合には、遺産分割調停が行われ、裁判所が中に入りますが、あくまでも相続人全員での話し合いで決められます。それでも決まらない場合には、遺産分割審判によって決定されます。