相続税の税務調査まとめ|流れや期間・調査されやすい5つのケースを解説

最終更新日:2023年08月18日
竹中啓倫税理士事務所
監修者
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
相続税の税務調査まとめ|流れや期間・調査されやすい5つのケースを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続税の税務調査の時期・流れは?
  • 相続税の税務調査が入りやすいケースとは?
  • 相続税の税務調査を回避する方法はある?

数ある税金のなかでも、相続税は最も税務調査が入りやすい税金として知られています。税務署は個人の資産の流れを把握しているため、正しく適切な方法で申告を行わなければなりません。

本記事では相続税の税務調査の流れや時期、疑われやすいケースなどを解説しています。最後まで読めば、税務調査でよく聞かれる質問も紹介します。

「税務調査が入ったらどうしよう」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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相続税の税務調査とは?

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相続税の税務調査は、税務署が「申告者は相続税を正しく申告しているか」を確認する目的で実施する調査です。

税務署は、申告者の「預貯金の流れ」や「不動産の状況」などの情報を事前に入手しています。税務署が把握している情報と申告内容を照らし合わせ、ズレや不審な点があると調査の対象になります。

税務調査の種類は2つ

税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」があります。

任意調査は、事前の電話連絡により日時を相談したのち実施される調査です。調査の際は、できる限り相続人全員の参加を求められます。

任意調査には、電話による確認や税務署への来署依頼などの「簡易な接触」も含まれます。無理な調査は行わないものの、原則として任意調査を断ることはできません。

強制調査は、国税局査察部が行う抜き打ち調査です。隠ぺいが悪質で、脱税額が1億円を超える場合に実施されますが、実際はほとんどのケースが任意調査で解決します。

税務調査の時期は8月〜11月

税務調査が行われる時期は、申告の翌年もしくは翌々年の8月〜11月です。申告から2年後の11月を過ぎたら税務調査を免れたと判断できますが、少なからず時期の例外はあります。

法定申告期限から5年が経過すると時効を迎えるため、それ以降に税務調査が行われることはありません。ただし、不正行為による脱税の時効期限は7年に延長されています。

税務調査される確率は約20%

税務調査が入る確率は過去の統計から約20%と導き出されており、申告5件のうち1件は調査に入る計算です。

相続税は、申告に慣れていない人が多く、脱税がある場合に額が大きくなりがちです。そのため所得税や法人税などと比較して、調査に入る確率が高い傾向にあります。

2021年の税務調査は6313件を対象に行われ、申告漏れを指摘された割合は87%でした。追徴課税額は、1件あたり886万円にのぼります。

税務調査が入ることは珍しくなく、多くのケースにおいて申告漏れが発覚していることが読み取れます。

参照:国税庁「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」

相続税の税務調査が入りやすい5つのケース

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相続税の税務調査が入りやすいケースを具体的に解説します。

  1. 申告書に不備がある 
  2. 相続財産における預貯金・現金の割合が高い
  3. 相続人の資産が多い 
  4. 被相続人の社会的地位が高い
  5. 申告を税理士に依頼していない

どれか1つでも当てはまる場合は調査が入る可能性が高くなるため、事前準備を整えておくことをおすすめします。

1. 申告書に不備がある

当然ながら、書類に何らかの不備が見つかると税務調査の対象になります。よくある不備は以下のとおりです。

  • 記載事項の間違い
  • 税金の計算ミス
  • 添付書類の不足

ケアレスミスが心配な場合は、自力で準備を整えたのちに税理士にチェックを依頼できます。

2. 相続財産における預貯金・現金の割合が高い

不動産は評価額の算定が複雑で、明確に申告漏れを指摘しづらい側面があります。預貯金・現金は金額がはっきりしており、申告漏れを見つけるのが容易です。そのため相続財産における預貯金・現金の割合が高い場合は、税務調査が入る可能性が高くなります。

入金・出金の回数が多い場合も「相続税対策で財産の移転をしたのではないか」「お金の貸し借りがあったのではないか」と疑われる要素になります。

貸付金は、返済されていなくても債権として相続財産と見なされるため、相続税の申告が必要です。被相続人がお金の貸し借りをしていた場合は注意しましょう。

3. 相続人の資産が多い

相続人名義の財産が、本人の収入に見合わない場合は税務調査が入りやすくなります。たとえば、専業主婦の妻や子どもなどの口座に多額の残高がある場合「実質的には被相続人の財産なのではないか」と疑われます。

妻や子どもの口座でも、通帳や印鑑を被相続人が管理していた場合は「被相続人の資産(名義預金)」と見なされます。名義預金と認定されると、追徴課税されることがあるため注意が必要です。

相続税対策として生前贈与を受けた場合は、相続税の課税対象となるケースがあります。詳しくは以下をご覧ください。

4. 被相続人の社会的地位が高い

被相続人が医師や弁護士、企業の重役クラスなど社会的地位の高い職業に就いていた場合も、税務調査の可能性が高まります。

税務署は富裕層リストを保持しており、資産家の財産の流れを把握しています。ミスや見逃しのリスクは金額にともなって増加するため、特に相続財産が2億円を超えるケースは税務調査対象となることが多いです。

5. 申告を税理士に依頼していない・無申告

相続税の申告にまつわる書類は数が多く、計算ミスや控除の適用ミス、財産の見落としが起こりがちです。特に土地の評価額は判断が難しいため、税理士に依頼せず自力で申告を行った場合は税務調査が入りやすくなります。

納めるべき相続税がないため申告をしなかったケースにおいても、税務調査の対象から外れるわけではありません。

控除の適用ミスや財産の見逃しが心配な場合には、税理士への依頼を検討しましょう。税理士が相続税の計算を行った証拠があると、税務署からの信頼が高まり、調査をされる可能性が低くなります。

相続税の税務調査の流れ

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税務調査が行われる際の流れは以下のとおりです。

  1. 税務調査の日時を決める
  2. 財産の洗い出し・書類の準備を進める
  3. 調査が開始される
  4. 調査内容の書面を確認して終了

調査は1日で終了することがほとんどですが、事前準備が必須となります。

1. 税務調査の日時を決める

税務署から相続人もしくは担当税理士に、税務調査に入る旨の通達と、日時相談の連絡が入ります。

税務調査は、被相続人の自宅で行うことが一般的です。自宅がない場合は、相続人の自宅で実施します。

2. 財産の洗い出し・書類の準備を進める

税務調査当日までに、財産の見落としがないか以下の項目を中心に再確認しましょう。

  • タンス預金やへそくり
  • 生命保険
  • 美術品・骨董品
  • 貸付金や売掛金などの債権

さらに、申告内容を証明する資料として以下を準備しておくと安心です。

  • 相続税申告の際に用いた資料(原本)
  • 被相続人・相続人それぞれの預金通帳
  • 土地の権利証や不動産購入時の資料
  • 相続人の認印

調査当日に「うまく説明できる自信がない」という場合は、この段階で税理士に立ち合いを依頼できます。

3. 調査が開始される

税務調査当日、午前中は相続人への質問が行われます。質問に対しては、聞かれた内容に的確に回答することを心がけましょう。聞かれていない内容を話す必要はありません。

昼休憩をはさんだのち、午後からは通帳や財産の保管場所などを中心に現物調査が行われます。申告漏れや不審な点が発覚した場合、具体的な指摘が入ります。

4. 調査内容の書面を確認して終了

調査官が、当日の質問内容と回答をまとめた書面を作成します。内容を確認し、問題がなければ署名押印をして終了です。

調査結果に納得できない場合は、一定期間内に税務署へ異議申し立てを行います。

税務調査で聞かれやすい質問

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税務調査で聞かれやすい質問は、以下のとおりです。

  • 被相続人・相続人のプロフィール 
  • 被相続人・相続人の資産  
  • 被相続人・相続人の生活状況

調査当日までにあらかじめ回答内容を用意しておくと安心です。

被相続人・相続人のプロフィール

プロフィールに関する質問の具体例は以下のとおりです。

  • 出身地・職業・趣味など
  • 家族構成・婚姻歴と時期
  • 家族の年齢・学校名・職業など

被相続人・相続人それぞれの基本情報を聞かれるため、嘘偽りなく回答します。

被相続人・相続人の資産

資産に関する質問は、他の質問と比較してボリュームがあります。

  • 収入源や財産を築いた方法など
  • 取引している金融機関名と支店名
  • 出費の状況とその使途
  • 不動産の売買実績
  • 投資の有無や種類・投資額など
  • 生前贈与や寄付の金額・内容
  • 日記や家計簿の有無
  • 貸金庫の有無

上記を証明できる書類は、できる限り用意したうえで回答します。

被相続人・相続人の生活状況

生活状況の質問はケースバイケースですが、主に以下の内容を質問されます。

  • 被相続人が亡くなった際の状況・入院先など
  • 被相続人にかかった医療費や介護費用
  • 被相続人が亡くなる前の財産管理状況
  • 担当税理士との関係性

即答しづらい質問もあるため、入院費や介護費などの請求明細を用意しておくと安心です。

税務調査で申告漏れが発覚した場合のペナルティ

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税務調査で申告漏れが発覚した場合は、以下の追徴課税が発生します。

  • 延滞税
  • 加算税

事態が深刻な場合は刑事罰に発展する可能性もあります。

延滞税

延滞税とは、言葉のとおり延滞利息の意味合いを持つ税金のことです。相続税の申告・納税期限は相続の開始を知った日から10カ月以内のため、申告漏れが発覚した段階で延滞が生じているケースが多いでしょう。

延滞税の税率は、納付期限の翌日から2カ月後を境にして2段階に分かれます。令和5年1月1日〜12月31日の延滞税率は以下のとおりです。

納期限の翌日から2カ月以内 年2.4%
納期限の翌日から2カ月経過した後 年8.7%

2カ月経過後は税率が高くなるため、早めに納税することが税負担を抑えるポイントです。延滞税の計算方法は、国税庁のホームページを参考にしてください。

加算税

加算税は、相続税を正しく申告しなかったことへの懲罰となる税金です。加算税は3種類に分けられ、課されるケースと税率は以下のとおりです。

  課税される条件 税率
無申告加算税 必要なはずの申告を行わなかった場合 正しい納税額に対し、50万までは15%、50万超の部分は20%
過少申告加算税 本来収める額より少なく申告した場合 修正申告後の税額の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%)
重加算税 故意に財産隠しや偽装を行った場合 無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%

故意に相続税を免れようとした場合には、特に重いペナルティが課せられることがわかります。

刑事罰

不正な手段を用いて相続税を逃れた場合、悪質性が高いと判断されると逮捕・起訴されることもあります。

量刑は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金です。

参照:相続税法第六十八条

税務調査を回避する3つの方法

税務調査を回避するためには、以下の施策が有効です。

  1. 財産を把握し正しく申告する 
  2. 生前贈与・相続にまつわるやり取りは書面に残す
  3. 相続税に強い税理士に依頼する

これから申告を行う方は、ぜひ参考にしてください。

1. 財産を把握し正しく申告する

相続税における申告漏れは、被相続人の財産を正しく把握していないことに起因します。預貯金口座や骨董品、不動産などに把握漏れがないか、可能な限り生前に確認しましょう。

計算の結果、相続税がゼロになる場合でも、申告が不要になるわけではありません。小規模宅地の減額配偶者の税額軽減など特例適用には、相続税の申告が必要なため注意が必要です。

相続税の控除については以下で詳しく解説しています。

2. 生前贈与・相続にまつわるやり取りは書面に残す

生前贈与や相続にまつわるやり取りは、すべて証拠に残る形をとりましょう。口約束で済ませたり、財産を現金で手渡したりすると税務署から疑いの目を向けられやすくなります。

具体的には、以下の施策が有効です。

  • 生前贈与は銀行振り込みで行う
  • 贈与の契約書を作る
  • 遺産分割の詳細はすべて書面に残す

証拠が残っていれば納税額が正しいことを証明できるため、可能な限り用意することをおすすめします。

3. 相続税に強い税理士に依頼する

相続税の申告書作成を税理士に依頼すると「税理士が計算・整理・相談に応じた」旨の書類をもらえるため、税務調査が入る確率を最小限に抑えられます。

上記の書類を申告書提出の際に添付することで、税務署からの信頼感が高まります。万が一疑問点がある場合でも、税務調査は行わず税理士へのヒアリングのみで済むことが多くなります。

税理士選任の際は、相続に精通した税理士を選ぶことが大切です。事前に実績を十分確認したうえで、費用を比較し検討しましょう。

税理士報酬については以下で詳しく解説しています。

まとめ

本記事では、相続税の税務調査の流れや時期、疑われやすいケースなどを解説しました。申告漏れはほとんどのケースでばれるため、ミスによるペナルティを避けるためには任意のタイミングで税理士の力を借りることが有効です。

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監修者の一言

相続をされた場合、残念ながら税務調査の確率は高くなると思われます。税理士関与の場合は、税務調査はないのではないか、とも言われる方も見えますが、決して税務調査が免除されることはありません。

それは、相続税という税目によるところが大きいと思います。相続税は資産の再配分という役割を担っており、国に納付された税金は広く社会のために使われます。ここから先はうがった見方なのかもしれませんが、相続税を「人生の年末調整」とか「人生の確定申告」と呼ばれる方も見えます。

毎年、所得税の確定申告(年末調整)で納税をされていますが、そこでの税金計算について税務調査が入るケースはそんなに多くありませんが、亡くなった時に、一定以上の多くの財産を相続された方には相続税申告が課され、比較的多い頻度で税務調査が入り、適切であるかどうかがチェックされます。

だから、相続税の税務調査の割合が高いという考え方もあるように、昔、私の若いころに聞いた記憶があります。真偽のほどは確かではありませんが。

竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
監修者

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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