退職金の平均相場と計算方法を徹底解説!勤続3年、20年、定年でもらえる額の差は決まる?

更新日:2020年09月30日 発注カテゴリ: 退職金・企業年金制度
退職金の平均相場と計算方法を徹底解説!勤続3年、20年、定年でもらえる額の差は決まる?

退職金の仕組みや平均相場、税金や計算方法については難しく不明点も多くあります。この記事では、勤続年数3年以上でなければ退職金はもらえないのか、20年働いた人や定年した人はどれくらいもらえるのかなど、退職金をもらうにあたって気になる勤続年数やもらえる額の差について詳しくご紹介。自己都合と会社都合、年齢や勤続年数によってどれほど退職金の額に差が出るのでしょうか?ぜひ参考にしてください。

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※本記事は会社員として退職金の相場を知りたい方向けの記事です。退職金制度の導入や見直しを検討されている経営者の方々は以下の記事からご確認ください。

退職金制度とは?

退職金とは文字通り退職後に会社から支給されるお金です。退職金は大きく分けて2つに分けられます。退職一時金と退職年金です。退職一時金とは退職時に1回でまとめて支給されるお金のことです。世間で一般的に退職金と呼ぶ場合、こちらの退職一時金を指すことが多く見られます。

退職年金とは、退職後何回かに分けて、ある程度長期間にわたって支給されるお金のことです。退職年金とは企業年金とも呼ばれており、国民年金等とは別に企業が社員のために用意する年金であり、生命保険会社等の外部の機関に積み立てるタイプの年金です。

退職一時金と退職年金の両方とも導入している場合もあれば、どちらか一方だけという場合もあります。また、ある程度の期間働いた場合は、退職金は必ず支給されると考えている人もいますが、実は会社が必ず退職金を支給しなければならないという法律はありません。

つまり退職金の支給は会社の義務ではないのです。そのため、退職一時金も退職年金もどちらも導入していないという会社もあります。ちなみに人事院の調査によると、従業員が50人以上いる会社、つまりある程度の規模がある会社でも退職金制度がないケースが7.2%もありました。

また厚生労働省の調査では2008年に退職金制度がある企業が全体の87%あったのが、5年後の2013年には75%に減ってしまっていたということが分かりました。退職金がもらえるというのは当たり前のことではないということをまず認識する必要があります。

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退職金を未払いにされるケース

退職金を未払いにされるケースでは、迅速かつ適切な対応をとる必要があります。詳しくは給料の未払いが起きたらすぐにとるべき対応と依頼先【時効に注意】で解説していますので、気になる方は参考にしてください。

退職金の相場はどれくらい?

東京都労働産業局の調査によると、中小企業で大卒、自己都合退職の場合、勤続10年から15年で110万円から230万円程度、勤続20年から25年で380万円から560万円程度、勤続30年で750万円程度となっています。

大企業(資本金5億円以上、従業員数1,000人以上)の相場は、勤続10年から15年で190万円から430万円程度、勤続20年から25年で820万円から1300万円程度、勤続30年で1970万円程度となっており、中小企業の相場と比べ、高額となっており、特に勤続30年の場合、1000万円以上も違ってきています。

勤続年数 退職金の額
中小企業 10年〜15年 110万円〜230万円
20年〜25年 380万円〜560万円
30年 750万円
大企業(資本金5億円以上、従業員数1,000人以上) 10年〜15年 190万円〜430万円
20年〜25年 820万円〜1,300万円
30年 1,970万円

なお、厚生労働省の2018年の調査によると勤続年数35年以上の定年退職者の退職金相場は大卒で1997万円となっています。また、内閣人事局の発表によると国家公務員の定年退職者の退職金は平均2,108万円(2017年度)となっていますので、公務員の方が民間企業より退職金が多いことが分かります。

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退職金の計算方法は?

退職金を計算する方法として、主に下記の4つが挙げられます。

  • 定額制
  • 基本給連動型
  • 別テーブル制
  • ポイント制

退職金制度を導入している企業の多くは、就業規則の中に上記のような算出方法が記載されており、自分がもらえる退職金のおおよその額が算出可能です。

ここからは、それぞれの算出方法について解説していきます。

定額制

定額制とは、勤続年数のみに連動して退職金の支給金額を決める方式のことです。

基本給や会社に対する貢献度に関係なく算出される定額制では、一例を挙げると勤続年数が5年の場合は20万円、6年の場合は25万円といった形で退職金が支給されます。

基本給連動型

基本給連動型は、勤続年数だけでなく基本給・退職理由も加味する方式で、下記の計算式で退職金が算出されます。

退職金 = 退職時の基本給 × 支給率(勤続年数により変動)× 退職事由係数

企業ごとで支給率・退職事由係数は異なりますが、一般的に勤続年数が長いほど、退職金の金額が高くなる傾向です。また会社によっては、役職などに応じて金額を加算するケースもあります。

例えば勤続年数が10年、支給率が8.0、自己都合で退職したときの係数を0.8で設定した上で、退職時の基本給が30万円だった場合、退職金の金額は下記のように算出されます。

退職時の基本給(30万円)× 支給率(8.0)× 退職事由係数(0.8)= 192万円

別テーブル制

別テーブル制とは、前述の基本給連動型と同じように、勤続年数と退職事由を加味して退職金が算出される制度です。

ただ基本給連動型と異なり、基礎となる金額が、退職時の基本給ではなく役職や等級に応じて設定されます。ちなみに計算式は下記の通りです。

退職金 = 基礎金額(役職・等級などに応じて変動)× 支給率(勤続年数により変動)× 退職事由係数

ポイント制

ポイント制を導入している企業では、従業員に付与したポイントに応じて退職金の金額が決定します。

一般的には勤続年数を評価するポイントや、会社に対する貢献度を評価するポイントなどを足し合わせて、退職金のポイントを決定するケースが多いです。

ちなみにポイント制における退職金は、下記の計算式で算出されます。

退職金 = 退職金ポイント × ポイント単価 × 退職事由係数

例えば退職時に以下の状況だった場合、上記の計算式に当てはめて退職金を算出してみましょう。

退職金ポイントの設定

  • 勤続年数1年ごとに20ポイント
  • 役職が主任の場合は20ポイント、係長の場合は30ポイント
  • 自己都合退職の場合、退職事由係数は0.8
  • ポイント単価は10,000円

従業員の状況

  • 勤続年数:10年
  • 役職:主任
  • 退職事由:自己都合

上記の条件を、ポイント制の計算式にそれぞれ当てはめると、以下のように退職金が算出されます。

退職ポイント(勤続年数ポイント 200ポイント + 役職ポイント 20ポイント)× ポイント単価(10,000円)× 退職事由係数(0.8)= 176万円

退職金はいつ受け取れる?

結論から申し上げると、退職金が支払われる時期は企業によって異なります。

退職金に関しては支給日を定めた法律がなく、支払時期が明確に決められているわけではないので、いつ支給するのかは会社の自由です。

実際の現場では、社員の退職が正式に決まると、人事担当者が社内規定に沿って退職金の金額を計算し、書類を作成した後に入金の手続きを進めます。さらに退職金共済の場合、間に別の会社や組織を介するため、退職金を受け取るまで時間がかかります。

上記の状況を加味すると、一般的に退職金は、退職後1ヶ月から6ヶ月の間で支給されるケースが多いです。

ただし中には退職して1年後に支払われたケースも存在します。正確な退職金の支給時期を知るには、まず就業規則に記載されている退職金の規程を確認し、人事部に問い合わせると良いでしょう。

3年以上働かないと退職金はもらえないのか?

石の上にも3年ということわざもあるように、日本では3年くらい物事を続けないと評価に値しないとされる傾向があります。退職金の場合も、同じ会社に3年以上支給されないと支給されないといわれることがありますが、本当のところはどうなのでしょうか。

東京都産業労働局の調査によると、自己都合による退職の場合、最低3年継続して働かないと退職金が支給されない会社は50%あり、最低2年継続して勤務すればもらえる会社は14%、最低1年継続して勤務すればもらえるという会社が16%ありました。

つまり最低3年は働かないと退職金が支給されないという会社が半分もあるということです。見方を変えれば3年働かなくても退職金が支給される会社が3割もあるということです。このことから分かるように3年働くというのは一つの目安ではありますが、退職金をもらう上では絶対条件ではないということです。

もし在職期間が3年未満で退職を考えている人がいましたら、会社の規定をよく読んでみるとよいでしょう。1年以上働いていれば支給されるという可能性があります。もしあと少し働けば退職金をもらえる要件に達するという場合は頑張って働き続けてみるというのも一つの方法です。

退職金が増える要因は何?

退職金が多ければ多いほどその後の生活が楽になるのは確かです。では、少しでも多く退職金をもらえるようにするためにはどのようなことに留意すればよいでしょうか。最も重要な要因は勤続年数です。高校や大学を卒業した後に就職し、転職することなく退職まで働き続けた場合が最も退職金が高くなるといえます。

退職金の額を見ても30年以上働いた人と30年に満たない人ではかなり金額に差が開くという傾向があります。長く働いたということはそれだけ会社に貢献しているという考え方ができますので、会社もその労に応えているということです。

また長く働けば退職年金をかける年数もそれだけ長くなりますので、受け取る額も比例して増えるというのは当然といえば当然のことです。退職金を多くもらいたいという人は最初に就職した会社を辞めずに定年まで働き続けることを目指すか、30年以上働き続けることを目指すとよいでしょう。

次に退職金が増える要因として重要なのは会社の規模です。特に従業員数が1000人を超える会社は退職金も多く支給されるという傾向があります。大企業の方が経営的な体力があるので退職金も上乗せできるということです。

退職金にかかる税金と計算方法

退職金にも税金はかかります。ただ、退職金は老後や退職後の重要な生活資金のため退職所得として扱われ、通常の給与や賞与と比べて税制面でも優遇されています。また、通常は退職金を支給する前に会社の方で所得税等を源泉徴収していますが、会社によっては退職金にかかる税金を引かずに支給する場合もあります。

退職金をもらう前に会社の方で源泉徴収をしてくれているのか確認するとよいでしょう。念のため退職金の源泉徴収票も確認し、所得税などが引かれているか確認することも大切です。なお、退職金にかかる所得税ですが、税制の優遇枠があるため、支給された額が控除額以下の場合は税金がかかりません。

退職一時金の控除額の計算式は勤続年数が20年以下と20年超で分けられています。20年以下の場合は、勤続年数×40万円が退職所得控除額です。なお、この金額が80万円に満たない時は80万円が退職所得控除額となります。

勤続年数が20年超の場合は、勤続年数から20年を引いた数に70万円をかけ、その額に800万円を足した金額が退職所得控除額です。例えば勤続年数5年6か月の人は端数の6か月は1年に切り上げて6年として計算します。

上の式に当てはめて計算すると240万円が退職所得控除額となりますので、支給された額がこの控除額以下の場合は税金がかかりません。また、勤続年数が25年の人の場合は、上の計算式により退職所得控除額が1150万円となります。

なお、障害者になったことが直接の原因で退職した人の場合は上記の計算式で出された金額に100万円を加えた金額となります。また、退職金には所得税以外に住民税もかかります。

税率は住んでいる市町村によって違いますが、例えば神奈川県鎌倉市の場合、計算式は退職金の額から退職所得控除額を引いた額を2で割った数字に税率をかけるとなっており、税率は市民税と県民税を合わせて10%となっています。

つまり支給された退職金の額が退職所得控除額に満たない人は住民税もかからないということです。言い換えれば所得税がかからない人は住民税もかからないということになります。このように退職金には税制による優遇措置がありますので、かなりの人が非課税でそのまま受け取ることができるようになっています。

最近の退職金事情

退職金の相場や計算方法が分かっても、実際に自分の退職金はいくら貰えるのか、退職後お金が足りなくなって困窮するのではないか、不安になる方も多いでしょう。

少子高齢化が進んでいる日本では、会社を定年退職した後でも退職金に頼らず、自分自身の力で老後の資金を確保する必要性が高くなりつつあります。

退職金の支給額は年々減っている

退職金の支給額は年々減少しており、退職金制度がある企業の割合も低下し続けています。

実際に2003年と2018年を比べると、退職金制度を設けている企業は約9%低下しており、さらに退職金の平均支給額も711万円も低下しているため、退職金を当てにした老後設計はリスクが高いです。

退職金の導入率・支給額が低下した背景として、少子高齢化をはじめ、長期間続いている低金利の影響で会社の資産運用が上手くいっていないなど、さまざまな要因が挙げられます。

成果主義型の退職金も増加

また従来の退職金制度である年功型を廃止する企業が増え、長く働くことで退職金の額を増やす、といった常識が通用しなくなっています。

特に2000年前後から、ポイント制といった成果主義型の退職金制度を導入する企業が増加しており、結果を残したり昇進したりすることが、退職金を増やす手段として新たに認知されています。

まとめ

退職金には2種類あり、退職一時金と退職年金に分かれます。退職金支給は会社の義務ではないため、退職金制度のない会社もあります。退職金支給の要件として勤続3年以上という会社が半数以上ありますが、3年に満たない場合でも退職金を支給している会社も3割ほどあります。

退職金を最も多く受給するためには転職せずに30年以上勤務し続ける必要があります。中小企業より大企業の方が、退職金が多く、大企業よりも公務員の方が退職金が多いという傾向があります。

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