退職金の相場や支給額・税金の計算方法を解説!退職金の額は勤続年数で決まる?

更新日:2021年11月26日 発注カテゴリ: 退職金・企業年金制度
退職金の相場や支給額・税金の計算方法を解説!退職金の額は勤続年数で決まる?

退職金の仕組みや平均相場、税金や計算方法については難しく不明点も多くあります。この記事では、勤続年数3年以上でなければ退職金はもらえないのか、20年働いた人や定年した人はどれくらいもらえるのかなど、退職金をもらうにあたって気になる勤続年数やもらえる額の差について詳しくご紹介。自己都合と会社都合、年齢や勤続年数によってどれほど退職金の額に差が出るのでしょうか?ぜひ参考にしてください。

※本記事は、退職金の相場や支給額・税金の計算方法を知りたい会社員の方に向けて解説しています。退職金制度の導入・見直しを検討している経営者の方は、以下の記事を参考にしてください。

退職金制度の基礎知識

退職金とは、従業員の退職に伴って支給される賃金のことで、退職金が支給される条件や、計算方法、支払い方法などの規定が整備された制度のことを「退職金制度」と呼びます。

会社組織で働く会社員であれば、だれにでも退職金が支給されるものだと思いがちですが、法律で退職金制度の整備が義務付けられているわけではありません。退職金の支給条件・計算方法が会社によって大きく異なるのはこのためであり、退職金制度のない会社さえあります。

2018年度の厚生労働省による調査結果によれば、従業員数30名以上の企業で「退職金制度が整備されている企業」は80.5%、つまり、19.5%の企業は退職金制度が整備されていないのが実態です。

参考元:厚生労働省「退職給付(一時金・年金)制度」

退職一時金とは

退職一時金とは、退職金制度で定められた支給条件・計算方法に従って算出された退職金を一括で支払う制度のこと。上述した厚生労働省の調査によれば、退職金制度の整備される企業のうち、73.3%が「退職一時金制度」のみを採用しており、企業独自の退職金制度としては現在でも主流だといえる方法です。

退職年金とは

退職年金とは、一時金とは反対に、退職金を一定期間「年金」として分割で支払う制度のこと。「退職年金制度」のみを採用する企業は、全体の8.6%と少数派だとはいえますが、一時金・年金の両制度を併用する企業も18.1%存在しています。

一般的には、会社側で規定した退職金制度に従った支給されますが、一部の企業では従業員側が「退職一時金制度」「退職年金制度」「両制度の併用」を選択できる場合もあります。

また、近年では企業独自の年金制度を維持していくことが困難になりつつある経済状況を鑑み、「中小企業退職金共済」「企業型確定拠出年金(DC)」の活用にシフトする企業が増えています。

万一、退職金制度が整備されているにも関わらず、支給されないといったことがあれば、すぐにでも行動を起こすことが重要です。

退職金の相場はどのくらい?

退職金制度を採用する・しないの判断はもちろん、支給条件・計算方法も個別の企業に委ねられているため、一般的な退職金の相場というものは紹介しにくいのが現実です。

ただし、退職金制度を整備したいと考える中小企業の参考となるよう、東京都産業労働局が「従業員10名から299名までの都内中小企業」を対象に調査した「モデル退職金」を公表しています。高校卒・大学卒に絞って紹介しておきましょう。

学歴 勤続年数 年齢 自己都合退職の退職金支給額 会社都合退職の退職金支給額
高校卒 10年 28歳 896,000円 1,148,000円
15年 33歳 1,684,000円 2,091,000円
20年 38歳 2,788,000円 3,332,000円
25年 43歳 4,073,000円 4,719,000円
30年 48歳 5,433,000円 6,227,000円
定年 - - 10,314,000円
大学卒 10年 32歳 1,135,000円 1,483,000円
15年 37歳 2,149,000円 2,660,000円
20年 42歳 3,534,000円 4,250,000円
25年 47歳 5,243,000円 5,980,000円
30年 52歳 7,059,000円 7,856,000円
定年 - - 11,189,000円

参照元:東京都産業労働局「モデル退職金(集計表 第8表)」

高卒よりも大卒、自己都合よりも会社都合の方が支給される退職金が多く、定年まで勤務した場合は最大1,120万円程度の退職金が支給されることがわかります。

これが資本金5億円以上、従業員数1,000名以上の企業規模になると退職金の支給額がグンと大きくなります。一部の調査結果によれば、大卒で定年まで勤務した場合の退職金支給額は、約2,500万円程度になることもあるようです。

退職金支給額の計算方法

退職金の支給額を計算する方法には、大きく4つの方法があります。

  • 定額制
  • 基本給連動型
  • 別テーブル制
  • ポイント制

退職金制度を採用している企業であれば、就業規則・賃金規定などに記載されている場合があります。これらの4つを把握しておけば、退職金がどのくらい支給されるのか?自身でおおまかに計算できます。それぞれを簡単に解説しておきましょう。

定額制

定額制とは、勤続年数のみに連動して退職金の支給金額を決める方式のことです。基本給や会社に対する貢献度に関係なく算出される定額制では、一例を挙げると勤続年数が5年の場合は20万円、6年の場合は25万円といった形で退職金が支給されます。

基本給連動型

基本給連動型は、勤続年数だけでなく基本給・退職理由も加味する方式で、下記の計算式で退職金が算出されます。

計算式

退職金 = 退職時の基本給 × 支給率(勤続年数により変動)× 退職事由係数

企業ごとで支給率・退職事由係数は異なりますが、一般的に勤続年数が長いほど、退職金の金額が高くなる傾向です。また会社によっては、役職などに応じて金額を加算するケースもあります。

例えば勤続年数が10年、支給率が8.0、自己都合で退職したときの係数を0.8で設定した上で、退職時の基本給が30万円だった場合、退職金の金額は下記のように算出されます。

退職時の基本給が30万円だった場合の計算式

退職時の基本給(30万円)× 支給率(8.0)× 退職事由係数(0.8)= 192万円

別テーブル制

別テーブル制とは、前述の基本給連動型と同じように、勤続年数と退職事由を加味して退職金が算出される制度です。ただ基本給連動型と異なり、基礎となる金額が、退職時の基本給ではなく役職や等級に応じて設定されます。ちなみに計算式は下記の通りです。

計算式

退職金 = 基礎金額(役職・等級などに応じて変動)× 支給率(勤続年数により変動)× 退職事由係数

ポイント制

ポイント制を導入している企業では、従業員に付与したポイントに応じて退職金の金額が決定します。一般的には勤続年数を評価するポイントや、会社に対する貢献度を評価するポイントなどを足し合わせて、退職金のポイントを決定するケースが多いです。

ちなみにポイント制における退職金は、下記の計算式で算出されます。

計算式

退職金 = 退職金ポイント × ポイント単価 × 退職事由係数

例えば退職時に以下の状況だった場合、上記の計算式に当てはめて退職金を算出してみましょう。

退職金ポイントの設定 従業員の状況
勤務年数1年ごとに20ポイント 勤続年数:10年
役職が主任の場合は20ポイント、係長の場合は30ポイント 役職:主任
自己都合退職の場合は退職事由係数0.8 退職事由:自己都合
ポイント単価は10,000円  
計算式

退職ポイント(勤続年数ポイント 200ポイント + 役職ポイント 20ポイント)× ポイント単価(10,000円)× 退職事由係数(0.8)= 176万円

3年以上働かないと退職金は支給されない?

東京都産業労働局の調査によると、自己都合による退職の場合、最低3年継続して働かないと退職金が支給されない会社は50%あり、最低2年継続して勤務すればもらえる会社は14%、最低1年継続して勤務すればもらえるという会社が16%ありました。

もし在職期間が3年未満で退職を考えている人がいましたら、会社の規定をよく読んでみるとよいでしょう。1年以上働いていれば支給されるという可能性があります。もしあと少し働けば退職金をもらえる要件に達するという場合は頑張って働き続けてみるというのも一つの方法です。

退職金の支給額が決まる要因

退職金が多ければ多いほど、その後の生活が楽になるのは確かです。では、少しでも多く退職金をもらえるようにするためにはどのようなことに留意すればよいでしょうか。

最も重要な要因は勤続年数です。高校や大学を卒業した後に就職し、転職することなく退職まで働き続けた場合が最も退職金が高くなるといえます。

また長く働けば退職年金をかける年数もそれだけ長くなりますので、受け取る額も比例して増えるというのは当然といえば当然のことです。退職金を多くもらいたいという人は最初に就職した会社を辞めずに定年まで働き続けることを目指すか、30年以上働き続けることを目指すとよいでしょう。

退職金の支給額が大きく異なる要因は会社の規模です。特に従業員数が1,000人を超える会社は退職金も多く支給されるという傾向があります。大企業の方が経営的な体力があるので退職金も上乗せできるということです。

退職金の税金・税金の計算方法

支給された退職金に税金はかかるのか?気になる方も多いのではないでしょうか?もちろん、退職金も所得税・住民税・復興特別所得税の対象となるため、課税される場合もあります。

しかし、通常の給与所得や雑所得と異なり、退職金は税制面で大きな優遇措置を受けられることが大きな特徴。簡単に解説していきましょう。

課税退職所得とは

年末調整で受け取る源泉徴収票をしっかり確認している方であれば、給与支給額と課税給与所得額が異なっていることに気が付くはず。これは、所得税が「収入から各種控除を差し引いた所得」に対して課税される仕組みだからです。

退職金にも「退職所得控除」という控除枠が設けられており、所得税・住民税・復興特別所得税は、支給された退職金から控除額を差し引いた「課税退職所得」金額に対して課税されます。つまり、課税退職所得金額がゼロであれば退職金に課税されることはありません。

退職所得控除・課税退職所得の計算方法

ただし、給与所得控除とは異なり、退職所得控除の計算方法はやや複雑です。勤続年数20年を境に計算方法が異なるため特に注意が必要。退職所得控除額を算出するための計算方法は以下の通りです。

勤続年数 計算式
勤続年数20年以下 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

また、給与収入から控除額を差し引けば課税所得が計算できる給与所得と異なり、課税退職所得額は別の計算方法で算出しなければなりません。具体的な課税退職所得額の計算方法は以下の通りです。

課税退職所得額の計算式

(退職金支給額 - 退職所得控除額)× 1/2

参照元:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

退職金にかかる税金の計算例

退職金の税金がどのくらいかかるのか?イメージできるように、具体的な例を挙げながら計算してみましょう。定年まで38年間勤務した方が、3,000万円の退職金を支給された場合、計算は以下のようになります。

  計算式
退職所得控除額 800万円 + 70万円 ×(38 - 20)= 2,060万円
課税退職所得額 (3,000万円 - 2,060万円)× 1/2 = 470万円

退職金にかかる税金は、ほかの所得とは分離されたうえで課税されるため、課税退職所得が470万円の方は、以下の表に従って所得税・住民税・復興特別税の合計「993,262円」を支払うことになります。

課税退職所得額 所得税・住民税・復興特別所得税の税率 控除額
195万円以下 15.105% 0円
195万円超〜330万円以下 20.210% 99,548円
330万円超〜695万円以下 30.420% 436,478円
695万円超〜900万円以下 33.483% 649,356円
900万円超〜1,800万円以下 43.693% 1,568,256円

2022年から適用の税法改正に注意!

給与にかかる通常の所得税よりも優遇されていた退職金の税金ですが、こうした措置を悪用されないよう、従来は勤務年数5年以内の「役員」を対象に、課税退職所得計算式の「1/2」を適用しないという条項が設けられていました。

しかし、この条項が「従業員」には適用されないことを逆手に取って、給与を低く、退職金を高く設定して所得税の納税額を抑える方法が悪用されはじめました。

これを受け、2021年に税法改正が施行され、2022年からは「従業員であっても勤務年数5年以内の場合は、課税退職所得計算式の1/2を適用しない」ことになりました。

勤務年数5年以内で退職する方にとっては、課税退職所得額が増える、イコール税金が高くなる結果になります。勤続年数の計算方法は切り上げ(5年1か月であれば6年)になるため、退職のタイミングは慎重に検討した方がいいでしょう。

退職金に関する近年の傾向

退職金の相場や計算方法が分かっても、実際に自分の退職金はどのくらい支給されるのか、退職後お金が足りなくなって困窮するのではないか、不安になる方も多いでしょう。

少子高齢化が進んでいる日本では、会社を定年退職した後でも退職金に頼らず、自分自身の力で老後の資金を確保する必要性が高くなりつつあります。

退職金の支給額は年々減っている

退職金の支給額は年々減少しており、退職金制度がある企業の割合も低下し続けています。実際に2003年と2018年を比べると、退職金制度を設けている企業は約9%低下しており、さらに退職金の平均支給額も711万円も低下しているため、退職金を当てにした老後設計はリスクが高いです。

退職金の導入率・支給額が低下した背景として、少子高齢化をはじめ、長期間続いている低金利の影響で会社の資産運用が上手くいっていないなど、さまざまな要因が挙げられます。

成果主義型の退職金も増加

また従来の退職金制度である年功型を廃止する企業が増え、長く働くことで退職金の額を増やす、といった常識が通用しなくなっています。

特に2000年前後から、ポイント制といった成果主義型の退職金制度を導入する企業が増加しており、結果を残したり昇進したりすることが、退職金を増やす手段として新たに認知されています。

まとめ

退職金には2種類あり、退職一時金と退職年金に分かれます。退職金支給は会社の義務ではないため、退職金制度のない会社もあります。退職金支給の要件として勤続3年以上という会社が半数以上ありますが、3年に満たない場合でも退職金を支給している会社も3割ほどあります。

退職金を最も多く受給するためには転職せずに30年以上勤務し続ける必要があります。中小企業より大企業の方が、退職金が多く、大企業よりも公務員の方が退職金が多いという傾向があります。

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